GPEは戸田敦子氏に「教育の力」について5つの質問をしました。GPEの資金調達キャンペーンでは、90の国と地域で最大10億人の子どもたちの教育を変革するために、少なくとも50億ドルの資金調達を目指しています。

1. 「2020年版アフリカ経済見通し(The 2020 African Economic Outlook)」では、アフリカ大陸の教育達成が遅れている原因として、公的教育資金とアフリカの公的支出の効率の低さに焦点を当てました。新型コロナウイルス(COVID-19) パンデミックの間、政府はどのように教育支出を守り、改善することができるのでしょうか。
教育予算の削減に対する懸念は、十分な根拠があります。
アフリカでは、2013年から2016年にかけてのエボラ出血熱の大流行に伴い、シエラレオネやリベリアなどの国で教育予算の削減が行われました。残念ながら、2030年までにアフリカの教育資金ギャップを埋めるために、年間400億ドル以上の予算が必要な時期に、今回の教育予算削減が行われました。
パンデミックがもたらす社会経済的な悪影響に立ち向かうためには熟練した労働者が不可欠なため、教育は、新型コロナウイルス(COVID-19) パンデミックの被害者であるだけでなく、
復興プロセスの推進役にもなり得ます。
教育財源の減少に直面している国内外の政府は、革新的な国内財源から追加財源を動員したり、外部の開発パートナーからのドナー資金で補完したりする必要があります。
技術関連企業は、パンデミックにより長期化する遠隔教育のために、教育システムの情報化支援に向けた緊急の要請に応えてきました。政府は、このような民間の教育投資を誘致し、その規模を拡大するために、さらなる努力が必要であるといえます。
2. アフリカ開発銀行とGPEは、同じアフリカ諸国の一部で教育を支援しています。アフリカ開発銀行が新たなスキル開発行動計画を策定するにあたり、アフリカのリーダーやGPEのようなパートナーとどのように協力して、教育改革を支援するための国内資金調達を改善していくのでしょうか?
COVID-19による アフリカの教育分野復興のためには、教育のための革新的な融資スキームの開発におけるパートナーシップが必要です。このような観点から、アフリカ開発銀行は2つの融資ファシリティの設立において主導的な役割を果たしています。
1つ目のファシリティは、2030年までに約100億米ドルの教育資金を確保することを目的とした、多国間開発銀行による融資メカニズム「教育のための国際金融ファシリティ(International Finance Facility for Education、IFFEd)」です。
2つ目のファシリティは、アフリカ諸国の政府やアフリカ連合と共同で開発を進めている「アフリカ教育科学技術革新基金(African Education Science Technology and Innovation Fund、AESTIF)」です。アフリカ教育科学技術革新基金は、パートナーである多国間開発銀行、財団、信託、フィランソロピーから約3億米ドルを動員し、アフリカのスキル開発、高等教育の研究とイノベーションへの投資を促進します。
この取り組みを強化するために、アフリカ開発銀行はGPEとパートナーシップを締結し、アフリカにおける教育とスキル開発の拡大に向けた共同行動を促進しているところです。
3. COVID-19は、サハラ以南のアフリカの1億2,100万人の遠隔教育にアクセスできない子ども達を含めて、何百万人ものアフリカの子ども達や若者の教育・訓練に支障をきたしました。このような状況下で、なぜGPEの「Raise Your Hand」資金調達キャンペーンが重要なのでしょうか?
学校が閉鎖されると、子どもたちは、仲間と一緒に学んだり遊んだりするスペースや、学校給食や医療を受けることなど、子ども達の成長にとって重要な環境を利用できなくなります。
また、少女たちは休学が長引くと、ジェンダーに基づく暴力など、特有のリスクにさらされてしまいます。このため、教育資金に対する政治的、地域的、国際的な支援を組織し、動員し、活気づけることが急務となっています。
GPEの「Raise Your Hand」資金調達キャンペーンは、
教育分野の復興を支援に向けた、地域的・世界的な連帯が強く求められている重要な時期に実施されます。
GPEは、低所得国の教育改革を目的とした世界最大の基金を保有しているため、このようなグローバルな支援を盛り上げるのに適した立場にあると考えています。
4. アフリカ開発銀行は最近、「2021年版アフリカ経済見通し(the 2021 African Economic Outlook 2021)」を発表しました。この報告書の主要な結論と、アフリカの教育・保健分野への支出の影響について教えてください。
報告書によると、2020年、アフリカは半世紀ぶりに最悪の経済不況に見舞われ、実質GDPは2.1%縮小しました。2021年には実質GDPが3.4%回復すると予測されていますが、COVID-19のパンデミックが収束しないなど、逆風が多く吹いています。
アフリカ全体の財政支出の大部分は、主に緊急時の保健と社会保障に充てられ、重要ではあるけれど緊急ではない分野の保健や教育全般に充てられる資源は少なくなると考えられます。
報告書では各国政府に対し、可能な限り早く対面式の学習を再開すること、対面式の学習が現実的に難しい場合は、遠隔教育の対策を講じることを求めています。
5. 学校について特に印象に残っていることは何ですか?特に大きな影響を受けた出来事や先生はいましたか?
私は幼少期をアメリカで過ごし、その後、日本の学校に戻りました。日本に戻ると、まず日本語を学ばなければなりませんでしたが、それだけでなく、突然、制服を着て、歩いて学校に行き、学校の廊下やトイレを掃除し、学校のスポーツグループに参加し、放課後は一生懸命勉強しなければならなくなったことを覚えています。学校生活でみんなと同じように努力することを学びました。
人生の後半になると、人は表現の自由についてより理解できるようになります。私の場合は、住んでいる場所によって教育システムが異なるように、人生で提供されるツールが大きく異なることを早い段階で理解することができたと言えます。

<原語版>5 reasons for $5 billion: Interview with Atsuko Toda
https://www.globalpartnership.org/blog/5-reasons-5-billion-interview-atsuko-toda