GPEの資金供与の仕組みを通じた自助努力の促進:ウガンダの事例

ウガンダの小学校の外で児童たち
出典:GPE/Livia Barton

2022年9月に行われたGPEの理事会で、ウガンダ教育省に対する追加の資金供与が承認されました。
この追加資金供与は、ウガンダ教育省からプロポーサルを受けるも、一度は保留にされていたものでした。どのような理由で保留となった後、資金供与が承認されたのでしょうか。

GPEはパートナー国のオーナーシップの下に資金供与を行うことを重要理念として掲げています。そのため、パートナー国政府自身が教育の重要性を認識し、教育環境の改善のために尽くすコミットメントがあることが、GPEの資金を受ける際の条件です。このことは、パートナー国の自助努力を促すという意味に加えて、ドナー国など資金の拠出元に対するアカウンタビリティを確保するという意味でも重要です。

それでは、実際どのようにパートナー国の教育に対する「コミットメント」を測っているのでしょうか。
今回はウガンダの事例を紹介します。国が抱える歴史背景や時々の国際情勢によって各国の財政状況は大きく異なるので、一概には言えませんが、一つの指針としてGPEが掲げているのは、途上国政府が国内予算の20%程度以上を教育予算に充当することがあります。ウガンダ教育省がGPEに対して追加の資金供与を要請した際、当初はウガンダ国内予算の内、教育に充てられた予算が全体の17%しか占めていなかったため、追加資金供与については決定が保留され、GPEの理事会の承認が下りませんでした。
この理事会での決定を受けて、ウガンダ政府は国内予算の見直しを行い、教育に充てる予算を19%に引き上げました。予算をこれだけ増額するというのは、一つの「コミットメント」の現われであると考えられます。ウガンダ政府側の予算見直しを受け、GPE理事会で保留していた追加の資金供与が承認されました。

このウガンダの例は、国内予算編成により教育へのコミットメントが示されたわかりやすい例です。
こうした仕組みを通じてコミットメントを促すことは、教育予算の拡充につながり、当該国において教育の重要性が高まるという波及効果も期待されます。一方、昨今の厳しい国際情勢も踏まえて、最近は20%程度の教育予算を充てるという条件に限らず、他の条件も検討されています(例えば教員の採用人数を増やすこと、など)。

GPEの特徴は単なる基金ではなく、パートナーシップ基金であることです。ドナーから調達した貴重な資金を、効果的に、効率的に使うことと、厳しい状況に置かれた途上国の実情を把握しながら、パートナー国のオーナーシップの下に資金供与することの両輪をマネージするのが、GPE事務局の重要な仕事です。

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