JICAが共同出資するエチオピアにおけるマルチプライヤーの関心表明書(Expression of Interest)がGPEの理事会において承認されました

エチオピアの学校給食プログラムの様子 (今年1月撮影)
出典:GPE/Translieu

エチオピアの教育省がGPEに提出していたマルチプライヤーの関心表明書(Expression of Interest)が2023年6月に承認されました。

当該マルチプライヤーは共同出資者であるJICAからの資金(約8百万USドル)を基に、GPEのマルチプライヤー資金(約2百万USドル)と合わせ、合計10.7百万USドルが承認されました。

エチオピアのマルチプライヤー事業では、紛争の影響が色濃く残るティグレイ州、アムハラ州を中心に、教育関連施設の修繕・改修を行います。実施にあたっては、共同出資者であるJICAが中心となり、現地のグラント・エージェントであるUNICEFエチオピア事務所と協働しながら取り組みます(詳細はインタビュー記事を参照)。
GPEマルチプライヤーの枠組みを活用することで、JICAとUNICEFが協働的に現地の教育問題に取り組み、連携を通じて支援の効果が高められることが期待されます。 GPEが推進する「パートナーシップ」:援助協調がJICAと共に実現できる良い例とも言えます。

JICAが共同出資として参加するカンボジアとエチオピアにおけるGPEのマルチプライヤーが承認されました!

エチオピアとカンボジアの教育省がそれぞれGPEの理事会に提出をしたマルチプライヤー事業が承認されました。今回は、カンボジアのマルチプライヤーについて取り上げます。

カンボジアの学校にて
出典: GPE/Roun Ry

カンボジアの教育省は、合計1億590万USドルの外部からの資金調達を達成し、それによってGPEのマルチプライヤーがカンボジアにとって上限である3000万USドルで承認されました。JICA(200万USドル)、EU(4390万USドル)、世界銀行(IDAのローン,6000万USドル)が共同出資者となり、共にカンボジア教育省の優先課題である教師の能力強化に取り組み、教育・学習状況の改善を支援します。このプログラムは、ユニセフと世界銀行がグラント・エージェントとなる予定で、来年度中にスタートする予定です。JICAが共同出資する分については、教師教育センターとその支援機構の能力を向上させることで、持続可能な教育・学習支援を行います。

カンボジアのマルチプライヤーについてCEOのコメント

GPEは、JICAがパプアニューギニア、ラオス、セネガルに続き、カンボジアでも新たに共同出資者となったことを喜ばしく思っています。これにより、カンボジアの重要な課題である教員能力強化において、JICAとGPE、その他の機関による支援のシナジーが期待されます。

GPEマルチプライヤー:教育への投資をより多く、より良くするためのインセンティブと財源を提供する革新的な資金調達手段のこと。他の外部資金源と同様に機能。助成金として投資したり、多国間開発銀行や二国間ドナーなどからの譲許的融資の金利を下げるために使用することが可能で、民間資本を含む他の非伝統的な開発資金源と併用することも出来ます。

ウガンダの新・反同性愛法成立についてCEOが声明

ウガンダで世界で最も厳しいといわれている「反LGBTQ(性的少数者)法」が29日に発効したことを受け、ラウラ・フリジェンティCEOが声明を発表しました。原文(英語)はこちらです。

新しい法律では、新たに終身刑や死刑が加わりました。

通学中のウガンダの生徒たち
出典:GPE/Livia Barton

日本財団とベトナムの学校を視察。教育関係者と交流も

4月17日~19日、GPEと日本財団は、ユニセフとセーブ・ザ・チルドレンのベトナム代表とともに、ベトナムでの視察を実施。北部ラオカイ省とハノイにある複数の学校を訪問しました。GPEと日本財団は協業の機会を模索していて、今回の訪問は、政府関係者やすべてのパートナーから歓迎されました。

ラオカイ県にて視察団

視察団は、少数民族の子どもたちや障害を持つ子どもたちの教育上の課題やニーズについて、地域の関係者や親、子どもたち、教育関係者と交流する機会を持ちました。過去数十年の間に教育システムを大きく変革し、学習成果において目覚ましい成果を上げているベトナムでは、インクルーシブ教育における公平な機会のための、まさにラストマイルです。

GPEのCEOが来日していました

3月6日から10日まで、1月にCEOに着任したラウラ・フリジェンティCEOが来日していました。

来日翌日からCEOは、GPEを継続的に支援して下さっている牧島かれん議員を皮切りに、多くの国会議員、政府関係者、NGO関係者と面会しました。国会開催中にも関わらず、面会の時間を作って下さった皆様ありがとうございました。今回お会いできなかった方々とも、次回来日の際に面会出来ればと思います。

武井俊輔外務副大臣と
これまでの日本の貢献への感謝と教育チャンピオンとしての日本への更なる期待をお伝えしました
野中厚農林水産副大臣との面会には鈴木憲和議員もご一緒して下さいました。
学校給食についての良い議論が出来ました。日本人職員も一緒に
秋野公造財務副大臣とは途上国の子どもたちの教育支援について意見交換しました
上川陽子議員は
SDGs、そして教育分野の活動も 熱心になさっています
鈴木貴子議員
教育をアジェンダのトップに入れる サポートをありがとうございます
お会いした最初の議員 牧島かれん議員と
森まさこ議員とも面会
女子教育の 素晴らしいチャンピオンに感謝します
山本順三議員には
タンザニア訪問についてお聞き出来ました

スペースの関係で掲載出来ませんが、外務省・赤堀毅地球規模課題審議官、文部科学省・岡村直子国際統括官、日本財団・笹川陽平会長、味の素ファンデーション倉島薫理事長、山崎一郎専務理事らにもお会いしました。

国会議員によるエチオピアの現地視察

トゥリグルド(ハジ・ヨニス)小学校の教室(出典:UNICEF/GPE/Hiba Mohamed)

1月の上旬に教育のためのグローバルパートナーシップ(Global Partnership for Education/GPE)と教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait/ECW)の支援を受けている学校とコミュニティを鈴木貴子議員、鈴木憲和議員が訪問しました。

エチオピアでは自然災害や紛争が重なり、それが教育にも影響を与えている国です。現在は、GPE、ECW、世界銀行、UNICEF、Save the Childrenとのパートナーシップにより支援が行われています。

今回の視察では、エチオピアの教育大臣やアフリカ大陸全体を管轄するアフリカ連合の教育・科学・技術・イノベーション担当委員との面会等に加え、首都アディスアベバから東へ約600kmに位置するソマリ州とオロミア州の小学校4校を訪問しました。

これらの学校は、教育における内部効率、公平なアクセス、教育の質の向上を目的としたエチオピア政府の主要プログラムである「公平のための一般教育質向上プログラム」の支援を受けている学校です。このプログラムでは、女児や障害があったり貧困地域に住んでいたりする児童生徒の教育支援や学校給食などを含む支援が行われています。

参加者たちは、 児童だけでなく、その保護者達とも対話を行いました。 彼らの多くは紛争を経験し、学校へ行くことができなかったと言います。それでも、子どもたちにとって教育がいかに大切かを語ってくれました。 「教育は平和につながると思いますか」という鈴木憲和議員の問いかけに、「言うまでもなく、銃ではなく知識と知恵があれば解決できたことはたくさんある」、「あなたたちは、教育を受けたからこそ、ここにいる、それが答えではないか」と、保護者は答えました。

エチオピアでは、まだまだ多くの学校と子どもたちが困難な状況にあります。限られた日本のODAを有効に活用し、効果を高めるためには、複数のドナーがバラバラに単発のプロジェクト型援助を行うのではなく、教育セクター全体で各アクター(教育省、ドナー、国際機関、NGOなど)がGPEが推進をしている援助協調の精神のもと連携し、質の高いセクター計画を策定・実施できるような仕組みを強化していくことが必要です。

鈴木貴子議員による衆議院予算委員会での質疑

1月30日に行われた衆議院予算委員会での質疑で、エチオピアの現地視察に参加した鈴木貴子議員から、教育支援やその中に含まれる学校給食の役割について日本がさらに力を入れていくこと、GPEへの拠出の増額について取り組むべき、という発言が行われました。それの対して、岸田総理大臣からは、GPEへの支援を前向きの取り組むことについては、その通りであるという発言、そして最近は、イエメンの教育回復施策のために620万ドルの拠出を行っており、実績を進めていきたい、という発言をいただきました。

GPEユースリーダーコーナー

GPEユースリーダー達は、1年から2年間の期間で活動を行っています。2022年に活動した日本のGPEユースリーダー 達が、GPEユースとしての2022年の活動をを振り返りました。彼女達の1年間の軌跡をぜひご覧ください。

2022年度の活動を振り返って~中野~

アドボカシー活動

GPEユースとして、日本の国会議員の先生方のもとへ直接伺い、GPEを通じたパートナー国への教育支援の必要性を伝えるアドボカシー活動を行っておりました。当初はこんな私の声なんて聞いてもらえるのだろうかと不安しかありませんでした。しかし、時間を作って面談の機会をくださったほとんどの先生方が、真摯に若者の声に耳を傾けてくださいました。この活動を通じて、声を上げることの大切さを学びました。

多くの人々との出会い

世界のすべての子供たちが質の高い教育を受けられる世界にしたい、誰かのために何かをしたい、と思ってはじめた活動でしたが、実際は自分自身にとっての学びが大きく、得るものがたくさんありました。

 活動当初は戸惑うこともありましたが、GPE事務局の方々の丁寧なトレーニングやサポートのおかげで、1年間ユースとして活動することができました。本当にありがとうございました。

  GPEユースとして、多くの教育に情熱を注ぐ方々と出会ったことで、自分自身ももっと教育について考え、行動していきたいと感じました。これからユースの経験を活かし、パートナー国の教育の質向上に貢献できるように、活動したいと思います!

2022年度の活動を振り返って~畑岡~

背を押してくれた

この一年の活動で一番心に残っているのは、9.11から21年の節目に開いたオンラインイベントです。イベントにはアフガニスタン出身の学生も登壇しました。

 多くの人の支えのもと開催することができました。イベント参加者から多くの力強いメッセージもいただきました。第2部のユースのディスカッションでは熱い議論が交わされました。

 世界の分断が危ぶまれる今、教育の意味を再確認するとともにその重要性をかみしめるイベントとでした。

 周りにも日々汗水流して活動されていること、教育の重要性を 共感してくださる方がいることを再認識し、私の背を押してくれるイベントともなりました。

これをもっと当たり前に

GPEの活動を通し、国会議員の方を訪問して、意見を伝えるという活動に参加しました。ただの大学生の一人にすぎない、私の話に耳を傾けてくださる方がいるということに驚きました。しかしそもそも国会議員は選挙で選ばれた市民の代表者です。市民の声を聞くのも仕事の一つでしょう。意見を聞いて終わりにするのではなく、政治にしっかり反映していただきたいです。それを見張るのもやはりまた、市民の役割だと思いました。

 活動を通して、民主主義について体感することができたように感じます。議員を訪問することはそんなに目立つことではありません。だから、人の目を あまり気にしなくともすみます。もっと多くのユースに、政治参加のハードルがそこまで高くないということを経験してほしいです。

GPE幹部によるJapan Mission

12月15日、16日にポウレグ・パワー(最高財務責任者)、 カレン・シュロー(最高対外関係責任者代理)、 松吉由希子、(アジア地域における対外関係の上級責任者)が日本を訪問し、GPEと日本の各機関とのパートナーシップについて議論しまいた。

日本の訪問では、3名はまずFriends of Educationのキックオフ会に参加し、カレン・シュロー(最高対外関係責任者代理) が、参加者に対して来年のG7において「教育」を課題として掲げることの重要性を訴えました。また、外務省、経済産業省、文部科学省、財務省、JICA、日本財団、そして国会議員の方々を訪問させていただきました。ご対応いただいた皆様大変ありがとうございました。

慈善財団とGPEとの連携の促進:LEGO財団の事例

授業中に教科書を共有するMakbel Henokさん(左、7歳、2年生)とクラスメイト。エチオピア、2019年1月。(Credit: GPE/Alexandra Humme)

GPEでは慈善財団との連携を進めています。その一つとして、今回はLEGO財団とGPEの連携事例を紹介します。

LEGO財団はデンマークに拠点を置く慈善財団で、紛争国・脆弱国、発展途上国でも大規模な プログラムを世界的に実施してきました。同財団は、今後10年間で年間7,500万人の子どもたちに支援の手を差し伸べることを目標とし、特に就学前教育・ 幼児教育の普及に力を入れています。

2021年7月、GPEとLEGO財団は、5年間の多面的パートナーシップを正式に締結し、両団体が協力し て就学前から初等教育までの連続した教育システムの変革に取り組むこととになりました。同時に、 LEGO財団は、GPE理事会の⺠間財団の代表として選出されました。

1. 革新的資金調達による投資:デンマーク政府と共同でGPEの女子教育アクセラレータへ共同プレッジ(1,500万ドル)。さらにサハラ以南のアフリカでGPEの マルチプライヤーを活用し教育プログラムに投資するため2,000万ドルを確保。

2. GPE KIX:サハラ以南のアフリカの、早期学習における遊びに基づく教育法開発支援のKIXに300万ドルを投資。5つのリサーチ・プロ ジェクトを選定。

3. アドボカシー活動:ジェンダー平等を中心に、ドナー、⺠間セクター、フィランソ ロピー間の協力を促す目的でアドボカシー活動をGPEと共同で行う予定。