エジプトがGPEのパートナ国に

エジプトの学校にて
(出典:UNICEF/Egypt 2017/Ahmed Hayman)

本日9月7日、エジプト・アラブ共和国がGPEのパートナー国に加わりました。エジプトは、5,000万ドルのGPEマルチプライヤーのグラントと、最大440万ドルのシステムキャパシティーグラントの対象となります。
詳細は英語のホームページをご覧ください。

GPE2022年度次報告書を発表

GPEが発足して以来、パートナー国では1億6,000万人以上の子どもたちが学校に通うことができるようになりました。これは、教育の力によって影響を受けた1億6,000万人の個人の生活です。2022年度の主な動きを紹介します。

・GPEは41カ国に対し、約3億USドルの新規助成金を承認しました。また、9カ国でマルチプライヤーグラントが承認され、総額1億5600万USドル、26のパートナーから7億8600万USドルを活用することができました。

・2022年6月に開催された「教育の変革」プレサミットでは、80のパートナー国の教育大臣が「教育の変革」に関する閣僚コミュニケに署名。2022年5月にもサブサハラ・アフリカの14人の教育大臣が「教育におけるジェンダー変革のためのリーダーシップに関するフリータウンマニフェスト」に署名しました。これらの大臣からの緊急の呼びかけを受け、GPEは2022年9月に開催された「教育変革サミット」において、世界のリーダーに対し、教育への資金拠出を緊急に増やすよう呼びかけました。

・新たにアンゴラ、エルサルバドル、エスワティニ、フィジー、グアテマラ、インドネシア、フィリピン、チュニジア、ウクライナの9カ国がGPEに加盟しました。

・GPE Knowledge and Innovation Exchange(KIX)とEducation Out Loud (EOL)は、それぞれ8000万USドル、6000万USドルを追加。レゴ財団、GPE、国際開発研究センターの間でKIX専用の窓口が設けられたことで、5つの新しい研究イニシアチブが生まれました。Education Out Loudはこれまでに、教育分野における市民社会の活動を支援するため、63カ国で70件の助成金を提供しています。

・ケニアで、政府および民間セクターのパートナーであるエコバンク財団、アバンティ・コミュニケーションズ、国際ロータリーとともに、女子教育啓発プログラムを開始しました。

ODA大綱改定版が公表されました

6月12日に改訂されたODA大綱が公表されました。

重点政策の中で「複雑化・深刻化する地球規模課題への国際的取組の主導」の項目に教育が含まれ、
”「人間の安全保障」を推進するために不可欠な「人への投資」として極めて重要である。万人のための質の高い教育、女性・こども・若者のエンパワーメントや紛争・災害下の教育機会の確保の観点も踏まえて、引き続き強力に推進する”
と記されています。全文はこちらのページに掲載されています。

エチオピアの学校の様子
出典:GPE/Alexandra Humme

ウガンダの学校で40人が死亡したとされる襲撃事件をCEOが非難

ウガンダの学校の教室
出典: GPE/Livia Barton

教育のためのグローバル・パートナーシップは、
ウガンダ西部のムポンドウェのルビリハ中等学校で16日夜に起こった襲撃事件で、子供を含む少なくとも40人が死亡したとされることについて最も強い言葉で非難します。

「教育施設に対して行われたこのような行為は、全く容認できるものではありません。」とGPEのラウラ・フリジェンティCEO。また、CEOは「子どもや教師はターゲットではありませんし、決してターゲットになってはいけません」と述べています。「この恐ろしい事件の犠牲者、影響を受けた人々、そして殺された人々の家族に深い哀悼の意を表します」とも加えています。

学校とその周辺での暴力は、ウガンダの子どもたちの教育にまた新たな障害をもたらします。この分野では、教師や生徒の欠席率が高く、学校レベルの管理体制が脆弱なうえ、学習教材が不十分で、クラスの人数が多いなど、複数の課題に直面しています。

GPEは2011年以来、ウガンダの政府や現地の教育パートナーと協力し、同国の教育の質を向上させ、より多くの子どもたちが基本的な学校教育を修了できるように努めています。
2013年以降、ウガンダは1億1,600万米ドル以上のGPE助成金を受領しています。

ウクライナの教育: GPE、グーグル、マイクロソフトが約70億円の助成金と物資の支援を発表

戦争が続くウクライナで教育に深刻な影響が出ている中、教育のためのグローバルパートナーシップ(GPE)、グーグル、マイクロソフト、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、紛争の影響を受けた地域の子どもたちへの遠隔学習や心理社会的支援に5100万米ドル以上、日本円で69億円超を支援します。発表原文

このプログラムは、ウクライナのユネスコと国際連合児童基金(ユニセフ)が教育科学省と連携して展開するものです。子どもたちと教師に、遠隔学習、心理社会的支援、教員研修、教育セクター計画などのための機器やツールを提供する予定です。

GPEのマルチプライヤーを通じて、GPEは、マイクロソフト、グーグル、ユネスコからの現金および現物支援で合計2500万ドル(約34億円)以上、ウクライナへの教育支援で合計5100万ドル(約70億円)以上のマッチングを行いました。 (GPEのマルチプライヤー:資金調達手段の1つ。国の優先事項に沿った教育プログラムに新たな資金源を活用することを目的としている。)

マイクロソフトの支援には、民間のパートナーおよびユネスコからの現金での寄付に加えて、生徒や教師がオンライン/オフラインで使用できる同社のソフトウェアへの無償アクセス、ソフトウェアプログラムに関する教師のトレーニングが含まれます。

グーグルの支援には、5万台のChromebookの寄贈が含まれています。これは、民間セクターのパートナーが、現金と物資の寄付を組み合わせて、GPEのマルチプライヤーの資金を引き出すために必要な共同資金を提供した初めての例です。

これらの寄付は、ウクライナの教育・学習の継続と教育システムのデジタル化のための既存の取り組みを促進し、緊急対応と紛争の影響に耐えるための長期的な支援の架け橋となります。

ユネスコが実施するプログラムでは、教師の専門能力開発、精神的健康と心理社会的支援、教育計画と管理、さらに国内避難民の子どもたちを含む紛争の影響を受けた初等・中等教育段階の学習者への機器の調達と配布が行われる予定です。6,800人の子どもたちと、政府関係者、校長、学校心理学者、教師、両親、介護者などの6万人以上の教育関係者が、このプログラムの恩恵を受けることになります。

ユニセフが実施するプログラムでは、端末や接続環境の提供、デジタル学習センターの拡大、遅れを取り戻すための教育の提供、教材へのアクセスに重点を置き、戦闘が最も激しいウクライナ南部と東部の推定35万人の子どもたちが恩恵を受ける予定です。フィンランドは、ウクライナ全土におけるGPEの支援を調整する「コーディネートエージェンシー」の役割を担っています。

ウクライナ教育科学省コメント:

“教育のためのグローバル・パートナーシップ “は、ウクライナで教育の継続を支援するために、ハイテク企業と主要な人道支援団体を見事に結びつけました。資金調整のおかげで、私たちは今、最も脆弱で不利な立場にある少女や少年をターゲットにし、さまざまな学習様式やツールへのアクセスを提供するとともに、彼らのウェルビーイングを向上させることができます。 私たちの包括的かつ全体的なアプローチは、GPE、ユネスコ、ユニセフ、グーグル、マイクロソフトの総力を結集した結果です。私たちは、世界の教育界に優れた模範を示したパートナーを称賛します。

GPEラウラ・フリジェンティCEOコメント:

マイクロソフトとグーグルの貢献は、ウクライナのような激しい紛争に見舞われた国を含め、教育を変革するために民間パートナーが果たす重要な役割を明確に示しています。 GPEは、すべての子どもたちが12年間の質の高い教育を受け、地域社会に有意義に貢献できるよう、パートナーと共に新たな資金源の獲得に取り組んでいきます。

戦争が教育と子どもたちに与える影響に関する数字(ユニセフ)

・2023年2月現在、ウクライナでの戦争により、1,300人以上の子どもたちが死傷しています。

・3,000以上の教育機関が爆撃や砲撃によって被害を受け、420以上が完全に破壊されました。

・小学校の生徒を通信教育でカバーしていると回答した教師は、村では31%、都市では56%に過ぎません。

ウクライナ北部の破壊された学校の体育館にて、8年生の生徒
出典:GPE/Dmytro Maksymenko

G7国会議員、教育に関する共同声明に賛同

世界中の国会議員が一致団結し、G7首脳に対し、教育に対する政府開発援助(ODA)の保護や優先順位付け、増額を約束するよう要請しました。発表原文

声明

「G7各国の国会議員として、我々はG7諸国に対し:

・2023年のG7外相会合の際に国際教育協力を議題に入れること

・G7首脳のコミュニケの中に国際教育協力に関する資金の保護や優先順位付け、増加に対する明確なコミットメントを確保することにより持続可能な開発目標のゴール4の進展を早急に推進すること 以上を要請します」

この声明は、G7の国会議員が、教育を後回しにはできない基金(ECW)、International Parliamentary Network for Education(IPNED)、Global Campaign for Education(GCE)と共同で、教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)が主催するオンラインでの意見交換会に参加し、ハイチとエチオピアの教育大臣から、ずっと続く教育危機の深刻さと規模について現場からの状況の発表があり、その内容を受けて国会議員たちが立ち上がって出来たものです。

GPEのラウラ・フリジェンティCEOと共同議長を務めた鈴木貴子議員は、 「世界の主要な経済大国が広島に集まるG7首脳サミットで、多くの開発途上国において深刻な教育危機があることを認識しなければなりません。日本を含むG7諸国が、教育を最重要課題として取り上げ、国際教育協力に関する資金の増額を確保することは非常に重要です。私たちには、理想を語るだけではなく、行動を起こす責任があります。」と述べています。

GPEのラウラ・フリジェンティCEOは、2017年に遡って毎年G7諸国が国際教育協力を重要視する文言をG7首脳の共同コミュニケに盛り込んできた強力なレガシーに言及し、G7の国会議員間における団結を示したことを歓迎しました。 フリジェンティCEOは「G7の各国の代表が教育問題だけでなく、数多くの困難な国際課題に直面していることはあきらかです。その中でも平和と世界秩序を守るという決意をG7の議長国として表明している岸田首相に拍手を送ります」と述べています。

署名議員抜粋

日本:鈴木貴子衆議院議員、谷合正明参議院議員、高橋光男参議院議員

カナダ:ヘザー・マクファーソン下院議員ら

フランス:アンドレ・ヴァリニイゼール上院議員

ドイツ:スザンヌ・メンゲ連邦議会議員

イタリア:リア・クアルタペレ外交・地域問題委員会副委員長

イギリス:ヴィッキー・フォード元外務・英連邦・開発省大臣ら

アメリカ:ロイス・フランクル下院議員ら

コンゴ民主共和国の学校にて
出典:GPE/Elvix Kwanu

GPEはシリア・トルコ地震による緊急の教育支援としてシリア側に約400万ドルを拠出

2023年2月9日、シリア北西部、地震で倒壊した建物の瓦礫の中を歩く子ども
出典:UNICEF / UN0781628

2月6日にトルコとシリアの国境付近でマグニチュード7を超える大地震が起きました。被害の詳細はまだ明らかになっていませんが、国連は400以上の学校が被害を受けたと推測しています。加えて、数百の学校が避難所として利用されています。GPEは最大で5000万ドルを長期的な支援として拠出すると発表しました。

まずは、シリアの被災地の子どもたちの緊急ニーズに応えるため、GPEから375万ドルの資金が拠出されました。これにより、一時的な学習場所の設置、破損した学校の清掃と修復、学校給食の提供、心理社会的支援をすることが出来ます。

GPEのラウラ・フリジェンティCEOは「このような大規模災害の影響は、今後何年にもわたって続きます。GPEは、今後3年間でシリアの子どもたちの教育支援のために最大5,000万ドルを動員することを目指し、地震被災地の子どもたちが学び続け、未来への希望を持てるように、パートナーと協力します。私たちは、被災地で活動する団体と毎日連絡を取り合い、ECW、国連機関、その他の開発パートナーと非常に緊密に連携を取ります。」とコメントしています。

このような悲劇的な出来事の後では、子どもたちができるだけ早く学校に戻れるようにすることが重要です。学校は子どもたちに安全と平常心を与え、危険から守り、安全な場を提供します。また、カウンセリングやその他の重要なサービスを受ける場にもなります。

日本政府からGPEへ新たな資金拠出が決定!

ソマリア・ソマリランドでの教育(出典:UNICEF/Hana Yoshimoto)

1月24日の教育の国際デーに、日本からGPEに対して500万ドル超の拠出に関するプレッジが行われたことに、GPEは感謝いたします。

日本からの資金の大半は紛争中の国々に割り当てられます。約400万米ドルはソマリアの教育支援に、約50万米ドルはモルドバの難民支援に充てられる予定です。これらの資金は、継続中の紛争、暴力、食糧不足により生活に深い影響を受けている最も脆弱な立場にある子どもたちの、学習の継続を維持するために役立てられます。残りの60万米ドルはパートナー国がが教育セクター計画を策定・実施することを支援するために用いられる予定です。

教育の国際デーは、国際社会にとって、教育が平和と発展のために果たす役割を称え、すべての子どもたちが質の高い教育を受けられるようにするための重要な機会です。GPEでは引き続き、パートナー国の教育の変革に取り組んで参ります。

エチオピア:危機や紛争のさなかにあっても教育は優先課題である

日本の国会議員や開発パートナー達が、エチオピアの学校やコミュニティを訪問し、日本国民が国際協力の必要性を理解するために、教育の重要性をどのように進めていくかについて、より深い理解を得ることができました。これは、今年に開催されるG7サミットに向け、開発協力大綱を改定中の日本が、国際教育協力の援助政策を再構築するのに貢献するものです。

2022年2月8日 鈴木憲和(衆議院議員)、鈴木貴子(衆議院議員)、大野容子(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)

学校の図書館で読書をする生徒(エチオピア、バハル・ダール、メスケレム小学校)
(Credit: GPE/Kelley Lynch)

私たちは先月、教育のためのグローバルパートナーシップ(Global Partneship for Education/GPE)と教育を後回しにはできない基金(Education Cannot Wait/ECW)の支援を受けている学校とコミュニティを訪問しました。日本は今年広島で開催されるG7サミットを控え、開発援助大綱の改定を進めており、日本の教育支援政策を見直す上で、今回の訪問はタイムリーなものでした。本ミッションは、世界銀行、ユニセフ、セーブ・ザ・チルドレンのエチオピア事務所が共同で実施運営にあたり、本訪問にも参加しました。

エチオピアにおけるGPEの投資

現在、エチオピアでは300万人以上の子どもたちが学校に通っていないと言われています。同国は2004年からGPEのパートナーであり、GPEは助成金の中でも最も高額な5億5,800万ドル以上を長年にわたって投資しています。GPEは、エチオピア政府や開発パートナーと緊密に連携し、同国の教育システムを強化し、すべての子どもたちが質の高い教育を受けられるよう改善を図っています。セーブ・ザ・チルドレンは学校給食プログラムを実施し、その他の助成金は、世界銀行がグラント・エージェント(GA)として支援を行い、教育省によって実施がされています。

今現在も危機の影響を受けている、子どもたちや若者との出会い

私たちは、首都アディスアベバから東へ約600kmに位置するソマリ州とオロミア州の小学校4校を訪問しました。これらの学校は、一般教育における内部効率、公平なアクセス、質の向上を目的としたエチオピア政府の主要プログラムである「公平のための一般教育質向上プログラム(GEQIP-E)」の支援を受けている、または現在受けている学校です。

私たちが最初に訪問した2つの小学校は、ソマリ州都ジジガから車で1時間ほどの農村部にある小学校です。現地に向かう車中では、広大な大地が完全に乾き、深刻な干ばつで多くの作物が枯れているのが見て取れました。2019年頃まで州の境界で起きていた紛争により、破壊されてしまった学校もありました。小学校は以前GPEが支援し、現在、当学校でのプロジェクトはECWの支援のもと、セーブ・ザ・チルドレンとユニセフが実施しています。国内避難民とホストコミュニティの子どもたちの両方が学校に通っています。

Tuliguled (Haji-Yonis) 小学校で授業に参加する鈴木憲和、鈴木貴子両議員。
(Credit: GPE/Hiba Mohamed)

教育は平和の礎

私たちは子どもたちの親たちにも会いました。彼らの多くは紛争を経験し、学校へ行くことができなかったと言います。それでも、子どもたちにとって教育がいかに大切かを語ってくれました。

紛争を経験し、平和を希求する彼らの声は貴重で重みがありました。教育が生きる力そのものであることを強く実感しました。

また、「教育は平和につながると思いますか」という私たちの問いかけに、彼らはこう答えました。「言うまでもなく、銃ではなく知識と知恵があれば解決できたことはたくさんある」、「あなたたちは、教育を受けたからこそ、ここにいる、それが答えではないか」と。

学校給食プログラムは重要

家庭で十分な食事がとれない貧困地域の子どもたちのために、毎日学校給食が提供されています。学校給食は大切な栄養源です。子どもたちが学校に通い、学ぶ意欲を高めるだけでなく、親が子どもを学校に通わせる動機づけにもなっています。児童婚が根強く残る地域では、親が教育や就学に対するインセンティブを持つことが重要です。

学校給食は、栄養面に配慮し、地域住民の協力のもと実施しています。水と衛生設備も整っています。特に女子が安心して学校に通えるように、安全で清潔なトイレが必要です。学校給食プログラムの実施は、子どもたちの就学率の向上に寄与しています。

Tuliguled (Haji-Yonis) 小学校で給食の準備をする地域コミュニティの方
(Credit: GPE/Hiba Mohamed)

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルは、GPEの支援を受け、2020年から教育省と協力して、いくつかの州・郡で学校給食プログラムを実施しています。この包括的なプログラムは、学校給食の提供だけでなく、水と衛生への配慮、省エネ調理、コミュニティへの参加、子どもの参加と心理的サポート、制度改善、能力開発にも重点を置いています。2022年からは、紛争や干ばつなどの緊急事態の影響を受けた子どもたちにも焦点を当てた学校給食プログラムを開始しました。学校給食プログラムは、就学率の向上と中途退学者の減少を目的としています。

インクルーシブ教育

訪問した他の2つの小学校は、ソマリア州の州都ジジガ市に位置しています。GPE/GEQIP-Eの支援を受け、教育省地域教育局が運営しています。教室の脇には車椅子が置かれ、聴覚障害児のための特別クラスでは手話を使った授業が行われていました。

地域教育省と視察参加者(Credit: UNICEF/Mulugeta Ayene)

教育大臣、AU委員と意見交換

アディスアベバのエチオピア教育省では、伊藤在エチオピア日本大使に同行していただき、Berhanu Nega教育大臣と意見交換を行いました。大臣からは、現状と課題についての説明があり、日本からの支援を必要としている点として、以下が挙げられました。

– 紛争で破壊された学校の再建

– 学校給食の提供の継続

– 就学前教育支援

また、識字率ほぼ100%の日本の経験から、就学前教育や初等教育が非常に重要であるとの認識で一致しました。

Berhanu Nega教育大臣、伊藤在エチオピア大使と面会(Credit: Save the Children/Yoko Ono)

さらに、堀内AU日本政府代表部大使とともに、アフリカ大陸全体を管轄するAU教育・科学・技術・イノベーション担当委員のMohamed Belhocine委員とも面会しました。紛争や気候変動などの緊急事態、新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響、債務危機などがアフリカの教育にとって大きな課題であり、教育資金も不足していると説明されました。日本の一般市民が国際協力の必要性を理解するために、どのように教育の重要性をアピールすればよいかを尋ねたところ、「教育は平和のための最も重要な資産である」という答えが返ってきました。委員からは、次回のアフリカ開発会議(TICAD)では、これまでなかった「教育」をメインテーマにしてほしいとの強い要望が出されました。

より効果的な日本の教育支援に向けて

エチオピアでは、まだまだ多くの学校と子どもたちが困難な状況にあります。限られた日本のODAを有効に活用し、効果を高めるためには、複数のドナーがバラバラに単発のプロジェクト型援助を行うのではなく、教育セクター全体で各アクター(教育省、ドナー、国際機関、NGOなど)が連携し、質の高いセクター計画を策定・実施できるような仕組みを強化することが必要です。日本の教育支援政策に対する第三者評価で指摘されたように、日本政府はマルチステークホルダー・パートナーシップを推進し、より効率的かつ効果的な教育支援を現場で実施することが必要と思われます。

私たちがエチオピアで目の当たりにした現実は、胸をしめつけるものでした。貧困と闘い、より公平な社会を築くためには、日本ではあたりまえだと思われているシンプルなことが大きな力になります。まず、栄養のある食事、きれいな水、少女や女性を含むすべての人が読み書きを学ぶことができること、そして数を数えることができることなどです。

エチオピアで出会った人々は、教育の重要性、必要性、可能性、そして教育を支援する国際社会への感謝の気持ちを繰り返し語ってくれました。このメッセージを私たちは日本に持ち帰り、日本で開発に携わる人々に伝えたいと思います。

英語の記事はこちらをご覧ください

In Ethiopia, Education Remains a Priority Despite Crises and Conflict

プレスリリース:日本政府、GPEに500万米ドル超の拠出を表明

Education in Somaliland, Somalia (Credit: UNICEF/Hana Yoshimoto)

2023年2月2日ワシントンD.C.

教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)は、日本からの500万米ドル超のプレッジに感謝の意を表しました。

「この資金は、特に紛争の影響を受けている最も弱い立場にある子どもたちを支援するものです。」とラウラ・フリジェンティGPE最高執行責任者は述べています。「日本が引き続き世界の教育に関与し、すべての子どもたちが学ぶことができるよう支援することを期待しています。」

資金の大半は紛争中の国々に割り当てられ、約400万米ドルがソマリアの教育支援に、約50万米ドルはモルドバの難民支援に充てられる予定です。これらの資金は、継続中の紛争、暴力、食糧不足により生活に深い影響を受けている最も脆弱な立場にある子どもたちの、学習の継続を維持するために役立てられます。

残りの60万米ドルによりGPEは、各国が教育セクター計画を策定・実施することを支援する予定です。

「我が国は、紛争影響国の子ども等、最も脆弱で不利な立場に置かれた人々への教育支援を喫緊の課題として重視しており、今般のモルドバ、ソマリアの教育支援を含むGPEへの拠出により、これら厳しい状況にある子供たちの教育へのアクセスが維持されることに貢献したいと心から願っています。」と松本 好一朗外務省国際協力局地球規模課題総括課長は述べています。「日本は引き続き国際社会と連携し、SDG4「質の高い教育を皆に」の達成に向け、教育分野の支援を強化していきます。」

このプレッジは、国際デーに行われました。教育の国際デーは、国際社会にとって、教育が平和と発展のために果たす役割を称え、すべての子どもたちが質の高い教育を受けられるようにするための重要な機会です。

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教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)について

GPEは、世界の学習危機を終わらせるための共通のコミットメントです。GPEはパートナーと資金を動員し、90の低所得国が教育システムを変革し、すべての少女と少年がその潜在能力を最大限に引き出し、より良い世界の構築に貢献するために必要な質の高い教育を受けられるよう支援しています。www.globalpartnership.org

本件及び取材等に関するお問い合わせ先

Tamara Kummer(GPEメディア部門責任者) tkummer@globalpartnership.org, + 33 7 82 26 07 18

英語のプレスリリース