G7国会議員、教育に関する共同声明に賛同

世界中の国会議員が一致団結し、G7首脳に対し、教育に対する政府開発援助(ODA)の保護や優先順位付け、増額を約束するよう要請しました。発表原文

声明

「G7各国の国会議員として、我々はG7諸国に対し:

・2023年のG7外相会合の際に国際教育協力を議題に入れること

・G7首脳のコミュニケの中に国際教育協力に関する資金の保護や優先順位付け、増加に対する明確なコミットメントを確保することにより持続可能な開発目標のゴール4の進展を早急に推進すること 以上を要請します」

この声明は、G7の国会議員が、教育を後回しにはできない基金(ECW)、International Parliamentary Network for Education(IPNED)、Global Campaign for Education(GCE)と共同で、教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)が主催するオンラインでの意見交換会に参加し、ハイチとエチオピアの教育大臣から、ずっと続く教育危機の深刻さと規模について現場からの状況の発表があり、その内容を受けて国会議員たちが立ち上がって出来たものです。

GPEのラウラ・フリジェンティCEOと共同議長を務めた鈴木貴子議員は、 「世界の主要な経済大国が広島に集まるG7首脳サミットで、多くの開発途上国において深刻な教育危機があることを認識しなければなりません。日本を含むG7諸国が、教育を最重要課題として取り上げ、国際教育協力に関する資金の増額を確保することは非常に重要です。私たちには、理想を語るだけではなく、行動を起こす責任があります。」と述べています。

GPEのラウラ・フリジェンティCEOは、2017年に遡って毎年G7諸国が国際教育協力を重要視する文言をG7首脳の共同コミュニケに盛り込んできた強力なレガシーに言及し、G7の国会議員間における団結を示したことを歓迎しました。 フリジェンティCEOは「G7の各国の代表が教育問題だけでなく、数多くの困難な国際課題に直面していることはあきらかです。その中でも平和と世界秩序を守るという決意をG7の議長国として表明している岸田首相に拍手を送ります」と述べています。

署名議員抜粋

日本:鈴木貴子衆議院議員、谷合正明参議院議員、高橋光男参議院議員

カナダ:ヘザー・マクファーソン下院議員ら

フランス:アンドレ・ヴァリニイゼール上院議員

ドイツ:スザンヌ・メンゲ連邦議会議員

イタリア:リア・クアルタペレ外交・地域問題委員会副委員長

イギリス:ヴィッキー・フォード元外務・英連邦・開発省大臣ら

アメリカ:ロイス・フランクル下院議員ら

コンゴ民主共和国の学校にて
出典:GPE/Elvix Kwanu

こども庁創設に向けた、インドネシア・英国へのヒヤリング

29日に「こども政策の推進に係る有識者会議」より提出された報告書を踏まえ、政府はこども庁の2023年度創設に向けた基本方針策定に向けて動き始めました。GPEは、こども庁創設に向けた動きを支援するため、山田太郎議員と自見はなこ議員の依頼を受けて、英国・インドネシアにヒヤリングを実施しました。

こども庁創設に向けた議論の背景

日本では、今年の9月16日には内閣官房にて「こども政策の推進に係る有識者会議」が発足、岸田文雄首相のもとで、こども庁創設に向けた担当大臣として野田聖子議員が任命されました。また11月29日には有識者会議より岸田首相に「こども基本法(仮称)」の制定などを求める報告書が提出され、政府がこども庁の2023年度設置に向けた基本方針策定に向けて動き始めています。

日本ではこのように、こども庁設置に向けた動きが加速していますが、諸外国では既にこどもに関する政策について進んだ取り組みを行っている国があります。GPEはこれまで、パートナー国において、子どもや若者の支援を教育政策の改革を通して行ってきました。また、質の高い教育の実現に向け、国際教育協力に関心のある世界各国の国会議員を結ぶ、国際教育議連(IPNEd)とも深い関係を築き、世界中の国会議員を繋いで教育課題についてお互いに議論し、学びあう場を設けてきました。GPEでは今回、こども庁設置に向けて取り組んできた、山田太郎議員と自見はなこ議員の依頼を受け、こども庁設置に向けた設置法案の検討のために、インドネシアと英国へのヒヤリング支援を行いました。

インドネシアへのヒヤリング

インドネシアは、政府系の非営利シンクタンクであり、LEG(Local Education Group)のメンバーでもあるPSPKとインドネシアの教育におけるこどもの福祉について議論を行いました。本ヒヤリングには、内閣府と外務省(国際協力局とアジア大洋州局)からもご出席いただきました。PSPKからは、教育におけるこどもの福祉政策を推進するために、児童生徒の学習環境のサーベイも含んだ全国テストの導入や、テストの点数だけでなく、児童生徒の幸福と個性を重視した新カリキュラムの策定などの取り組みが共有されました。

英国へのヒヤリング

英国からは、過去に教育大臣などを歴任したスティーブン・ツイッグ氏(英連邦議会協会事務局長)、スコットランド第一大臣や、教育大臣などを歴任したジャック・マコネル卿議員に参加いただきました。また、当日参加できなかったティム・ロートン議員には事前にお送りした質問への回答として、ビデオメッセージをお送りいただきました。

山田議員からは、こども庁の機能として、省庁間の「縦割りの壁」、国家、都道府県、地方自治体の各レベルにおける政策の「横割りの壁」、出産、幼稚園から小学校に上がる時、大人になる時の「年代の壁」の3つの壁を取り除くことを目指していることが示されました。またこれを受けて、子どもコミッショナーの設計、政府の調査権の設計、子どもに関する問題の発生を事前に把握する仕組みづくりの設計について、英国の国会議員へと質問が行われました。

スティーブン・ツイッグ氏とジャック・マコネル卿議員からは、それぞれ自身が教育大臣だった時の取り組みについて、具体的な政策事例を紹介していただきました。また、国際教育協力が政策において優先されるために、ハイレベルな政治の意思決定とそれに基づく政府・省庁間の政策の優先順位付けを行うことが大切であること、英国においては省庁の統合を行った結果、 外務・英連邦・開発省(FCDO)が新設され、子どものニーズと教育に責任を持つ役割の大臣の設置が規定されたことなどが共有されました。

参加者からは有意義な会であったとのコメントが聞かれました。GPEでは引き続きこども庁設置に向けた動きを支援していきます。

英国の国会議員へのヒヤリングの様子。2021年11月23日。

COP26における教育関連の議題と成果

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が10/31(日)から11/13(土)の間、英国グラスゴーにて開催されました。これらの会議における、教育関連の議題と成果について共有します。

COP26の議長プログラムとして、教育・環境大臣会合が11/5に開催されました。この会議では、 教育担当大臣、気候変動担当大臣、若者たちが一堂に会し、気候変動に前向きな未来を創造するための教育の重要性について議論しました。また、大臣たちは教育と気候変動対策に関するコミットメントを議論しました。 共同議長の結論では、「カリキュラムや教員研修、評価基準、複数のレベルの教育機関などを含む公教育制度において、持続可能性と気候変動を取り入れる」などを含む、力強いコミットメントが行われました。

教育・環境大臣会合の結論

教育・環境大臣会合の動画

COP26では、GPEはマララ基金、UNICEF、UNGEI、Empodera Climate、Plan、UNGEI、YOUNGO、Rise Up Movement、Transform educationとともに、サイドイベント「気候正義、教育、ジェンダー平等、つながりを目指して」を開催しました。ユースリーダー達の声を反映した、力強いイベントとなりました。

GPEによるサイドイベントの動画

G7外務・開発大臣会合で合意された女子教育に関する目標とGPEの取り組み

5月3日から5日にかけてロンドンにおいて行われたG7外務・開発大臣会合では、2026年までに更に4,000万人の女子を学校に通わせ、2,000万人の女子に10歳または小学校修了までに読解力を身につけるという、女子教育に関する新たな目標にG7が共同で合意しました。

G7で合意さえれた女子教育に関する目標の実現に向けてた、GPEの取り組みを紹介いたします。

GPEは、 すべての女子が質の高い教育を受けられるよう、パートナー国のジェンダー平等実現に向けて、資金援助を行っています。その一環として、女子が学校に行き学ぶ機会を変革することを目指し、2020年12月に2億5,000万米ドルの「女子教育アクセラレータ」を創設しました。

「女子教育アクセラレータ」の適格国は、2021927日現在、30カ国存在します。GPEのパートナー国における活動は「パートナーシップ・コンパクト」で示されている重点分野に沿って行われます。このコンパクトでジェンダー平等を対象としている国が適格国となります。

また、「女子教育アクセラレータ」は独立したグラントではありません。システム変革グラント(System Transformation Grant。GPE2020におけるEducation Sector Program Implementation Grant(ESPIG)がGE2025より改訂されたもの)またはマルチプライヤー (Multiplier)に追加で組み込むことができます。 「女子教育アクセラレータ」は、ジェンダー平等への効果を補完したり拡大したりすることで、これらのグラントにおける活動内容と連携して効果を発揮します。

世界教育サミットで、23のドナーから過去最高の40億米ドルを調達

左から ジュリア・ギラード GPE理事会議長、ウフル・ケニヤッタ ケニア共和国大統領、ボリス・ジョンソン 英国首相 (GPE/Michael Knief)

7月28日から29日まで 開催した世界教育サミット(ボリス・ジョンソン英首相とウフル・ケニヤッタ・ケニア共和国大統領がロンドンで共同開催)で、GPEは23のドナーから過去最高となる40億米ドルの資金を調達しました。このサミットの成功は、世界の低所得国における子どもたちの教育の確保に向けた国際社会のコミットメントを示しているといえます。

(ページ下の表は世界教育サミットでのドナー国からのプレッジ金額の一覧)

世界教育サミットは、ドナー国やパートナー国の首脳と閣僚、企業や民間財団の代表、国際機関、 国際開発金融機関、NGO、教師組合、若者リーダーなども、ロンドンとバーチャルで参加しました。今回の世界教育サミットではこれまでの増資会合と比べて特徴的な点が3点ありました。

1点目は、19のパートナー国の首脳が国家予算の少なくとも20%を教育に充てることを約束したことです。これはウフル・ケニヤッタ大統領が主導した教育資金に関する政治声明に基づくものです。この声明に賛同した国々による教育資金の合計は、今後5年間で1,960億米ドルにのぼります。これは、一方的に資金を提供するのではなく、途上国にも教育分野への公的支援へのコミットを求めるGPEの支援の特徴を表しているといえます。

2点目は、経済界と財団が合わせて1億米ドル以上の拠出を行なったことです。これには、Dubai Cares、LEGO財団、オープン・ソサエティ財団などが含まれます。また、官民連携の新たな2つのパートナーシップも立ち上がりました。これは民間企業のソーシャルマーケティングの専門知識を活用して女子の就学率の向上、エビデンスに基づく教育システムの改善推進のためのデータシステムの強化を目的としたものです。

3点目は、 国際開発金融機関との連携です。世界銀行、イスラム開発銀行、アフリカ開発銀行等からGPEとの連携に関する発言がありました。アジア開発銀行(ADB)は浅川総裁から、ADBの教育向けの年間支援割合を倍増し、2024年までに年間コミットメントの10%まで引き上げることや、 ブレンディド・ファイナンスを通したGPEとの連携強化を行うことに関する発言がありました。

日本からは茂木外務大臣からビデオメッセージを通して、教育分野でGPEへの支援の継続を含め、今後5年間で15億ドルを超える支援を行っていくことの表明と、G7外相会合で合意された女子教育宣言も踏まえ750万人の途上国の女子の教育及び人材育成のための支援を行うことについて約束を行いました。

G7とGPEに関連する報道について

6/11-6/13に開催されたG7サミット関連の報道で、世界各国のメディアはGPEへの資金拠出について報道しています。G7の中でも、日本はまだプレッジをしておらず(6月15日現在)、先進国としての責任を果たすことが求められています。

6月21日(月)開催オンラインイベント!「手をぴんと挙げよう!北欧の夏祭り」— Raise Your Hand Nordic Midsummer Festival —

教育先進地域である北欧諸国は、教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)の重要なパートナーです。オンラインイベント「手をぴんと挙げよう!北欧の夏祭り(Raise Your Hand Nordic Midsummer Festival)」は、北欧の代表や他の著名人が、新型コロナウィルス(COVID-19)による世界の学習危機を重要課題として取り上げ、国際社会がCOVID-19による世界的な経済・社会への影響に対処する際に、教育資金を優先的に確保することを約束するためのプラットフォームとなります。

ケニヤッタ大統領、GPEパートナー国に教育資金の優先順位付けを要請

GPEのパートナー国では、教育資金の3分の2以上が国内資金で賄われているため、2025年までにパートナー国からの強力なコミットメントを得ることで、すべての子どもたちが明日の経済に必要な21世紀型スキルやグリーンスキルを学び、身につけることができるようになる。

2021年5月19日 Victoria Egbetayo(GPE事務局)、Margaret Irving(GPE事務局)、Jennifer Bowser Gerst(GPE事務局 )

A boy writes on the blackboard in Burundi.
Credit: UNICEF Burundi
A boy writes on the blackboard in Burundi.
Credit: UNICEF Burundi

英国のジョンソン首相とケニアのケニヤッタ大統領が共同で開催したGPEの「Raise Your Hand Financing Campaign」では、国内資金調達が前面に押し出されています。これは、GPEの新戦略であるGPE2025と新しい運営モデルの重要な一部でもあります。GPE2025と新しい運営モデルは、量、公平性、効率性に焦点を当てた国内資金調達のために、状況に応じた総合的なアプローチを推進することを目的としています。

教育:政府ができる最高の投資

COVID-19の危機により、既に過密状態にある教育制度の混乱がさらに深刻化している。この混乱の深刻化、経済的なショック、そして国家財政圧力の増大が相まって、教育資金の調達に致命的な影響を与える可能性がある。しかし、教育は明らかにパンデミックの犠牲者である一方で、適切な資金が提供されれば、長期的な回復のための解決策にもなり得る。
2021年2月25日、投稿者:国際教育議連上院議員Dr Getrude Musuruve Inimahと国際教育議連上院議員Hon Harriett Baldwin MP

Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch
Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch