「教育の変革」の事例:ケニア

授業中の生徒と先生。ケニア、2017年4月。クレジット:GPE/Kelley Lynch

ケニアはGPEの新たな運営モデルである「GPE2025戦略フレームワーク」を試験的に導入している6カ国のうちの1カ国です。ケニアの教育の変革に向けた取り組みを紹介します。

GPEの新しい運営モデルにより、政府が教育の改革の優先順位を決め、その優先順位をもとに、民間セクターを含むパートナーやリソースを配置しました。またこのことは、ケニアの教育制度の課題に対して、パートナーと政府が共同所有の感覚を確立することに役立ちました。

GPE2025の重要な要素は、パートナーシップ・コンパクトの開発です。これは、政府が優先順位の高い改革についてパートナーとどのように協力していくのかを明確にするものです。 このコンパクトは、パートナーによるGPEのグラントを決めるための基盤となります。

パートナーシップ・コンパクトは生きた文書であり、必要に応じて更新されます。ケニアが前進するにつれ、優先事項が国の計画や政策と一致するよう、進行中のセクター計画や政策過程をもとにコンパクトの更新が行われます。中間レビューでは、コンパクトの主要な分野の進捗を評価します。コンパクトのモニタリング、実施はLEGが共同で行います。

「ケニアの学習成果向上へのコミットメント」の詳細はこちら

世界教育サミットで、23のドナーから過去最高の40億米ドルを調達

左から ジュリア・ギラード GPE理事会議長、ウフル・ケニヤッタ ケニア共和国大統領、ボリス・ジョンソン 英国首相 (GPE/Michael Knief)

7月28日から29日まで 開催した世界教育サミット(ボリス・ジョンソン英首相とウフル・ケニヤッタ・ケニア共和国大統領がロンドンで共同開催)で、GPEは23のドナーから過去最高となる40億米ドルの資金を調達しました。このサミットの成功は、世界の低所得国における子どもたちの教育の確保に向けた国際社会のコミットメントを示しているといえます。

(ページ下の表は世界教育サミットでのドナー国からのプレッジ金額の一覧)

世界教育サミットは、ドナー国やパートナー国の首脳と閣僚、企業や民間財団の代表、国際機関、 国際開発金融機関、NGO、教師組合、若者リーダーなども、ロンドンとバーチャルで参加しました。今回の世界教育サミットではこれまでの増資会合と比べて特徴的な点が3点ありました。

1点目は、19のパートナー国の首脳が国家予算の少なくとも20%を教育に充てることを約束したことです。これはウフル・ケニヤッタ大統領が主導した教育資金に関する政治声明に基づくものです。この声明に賛同した国々による教育資金の合計は、今後5年間で1,960億米ドルにのぼります。これは、一方的に資金を提供するのではなく、途上国にも教育分野への公的支援へのコミットを求めるGPEの支援の特徴を表しているといえます。

2点目は、経済界と財団が合わせて1億米ドル以上の拠出を行なったことです。これには、Dubai Cares、LEGO財団、オープン・ソサエティ財団などが含まれます。また、官民連携の新たな2つのパートナーシップも立ち上がりました。これは民間企業のソーシャルマーケティングの専門知識を活用して女子の就学率の向上、エビデンスに基づく教育システムの改善推進のためのデータシステムの強化を目的としたものです。

3点目は、 国際開発金融機関との連携です。世界銀行、イスラム開発銀行、アフリカ開発銀行等からGPEとの連携に関する発言がありました。アジア開発銀行(ADB)は浅川総裁から、ADBの教育向けの年間支援割合を倍増し、2024年までに年間コミットメントの10%まで引き上げることや、 ブレンディド・ファイナンスを通したGPEとの連携強化を行うことに関する発言がありました。

日本からは茂木外務大臣からビデオメッセージを通して、教育分野でGPEへの支援の継続を含め、今後5年間で15億ドルを超える支援を行っていくことの表明と、G7外相会合で合意された女子教育宣言も踏まえ750万人の途上国の女子の教育及び人材育成のための支援を行うことについて約束を行いました。

6月21日(月)開催オンラインイベント!「手をぴんと挙げよう!北欧の夏祭り」— Raise Your Hand Nordic Midsummer Festival —

教育先進地域である北欧諸国は、教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)の重要なパートナーです。オンラインイベント「手をぴんと挙げよう!北欧の夏祭り(Raise Your Hand Nordic Midsummer Festival)」は、北欧の代表や他の著名人が、新型コロナウィルス(COVID-19)による世界の学習危機を重要課題として取り上げ、国際社会がCOVID-19による世界的な経済・社会への影響に対処する際に、教育資金を優先的に確保することを約束するためのプラットフォームとなります。

ケニヤッタ大統領、GPEパートナー国に教育資金の優先順位付けを要請

GPEのパートナー国では、教育資金の3分の2以上が国内資金で賄われているため、2025年までにパートナー国からの強力なコミットメントを得ることで、すべての子どもたちが明日の経済に必要な21世紀型スキルやグリーンスキルを学び、身につけることができるようになる。

2021年5月19日 Victoria Egbetayo(GPE事務局)、Margaret Irving(GPE事務局)、Jennifer Bowser Gerst(GPE事務局 )

A boy writes on the blackboard in Burundi.
Credit: UNICEF Burundi
A boy writes on the blackboard in Burundi.
Credit: UNICEF Burundi

英国のジョンソン首相とケニアのケニヤッタ大統領が共同で開催したGPEの「Raise Your Hand Financing Campaign」では、国内資金調達が前面に押し出されています。これは、GPEの新戦略であるGPE2025と新しい運営モデルの重要な一部でもあります。GPE2025と新しい運営モデルは、量、公平性、効率性に焦点を当てた国内資金調達のために、状況に応じた総合的なアプローチを推進することを目的としています。

教育:政府ができる最高の投資

COVID-19の危機により、既に過密状態にある教育制度の混乱がさらに深刻化している。この混乱の深刻化、経済的なショック、そして国家財政圧力の増大が相まって、教育資金の調達に致命的な影響を与える可能性がある。しかし、教育は明らかにパンデミックの犠牲者である一方で、適切な資金が提供されれば、長期的な回復のための解決策にもなり得る。
2021年2月25日、投稿者:国際教育議連上院議員Dr Getrude Musuruve Inimahと国際教育議連上院議員Hon Harriett Baldwin MP

Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch
Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch