ウェビナー「KIX Africa 19 Webinars on Teachers in Africa」開催

アフリカの教師に焦点を当てた3部構成のウェビナー・シリーズの2回目となるイベントを9月14日日本時間午後9時から開催します。

アフリカの様々なパートナーによって実施された事例を通じて、危機的状況や緊急事態における教師に対する教育セクターの介入を強化する方法を探っていきます。

主な内容は以下の通りです:
・アフリカの角における危機的状況や難民居住地における教師の持続的な課題と施策についての討議
・アフリカの危機的状況や難民居住地において、アフリカ諸国がどのように教師の福利を改善し、管理することができるかをの共有
・危機的状況における教師の福利、マネージメント、学校指導を促進するための戦略についての話し合い
・教師のマネージメント、モチベーション、データシステム、そして国全体の教師プログラムとの関連性に関して、成功したイノベーション、リソース、事例の共有

イベントの詳細はこちらをご覧ください。

JICAが共同出資するエチオピアにおけるマルチプライヤーの関心表明書(Expression of Interest)がGPEの理事会において承認されました

エチオピアの学校給食プログラムの様子 (今年1月撮影)
出典:GPE/Translieu

エチオピアの教育省がGPEに提出していたマルチプライヤーの関心表明書(Expression of Interest)が2023年6月に承認されました。

当該マルチプライヤーは共同出資者であるJICAからの資金(約8百万USドル)を基に、GPEのマルチプライヤー資金(約2百万USドル)と合わせ、合計10.7百万USドルが承認されました。

エチオピアのマルチプライヤー事業では、紛争の影響が色濃く残るティグレイ州、アムハラ州を中心に、教育関連施設の修繕・改修を行います。実施にあたっては、共同出資者であるJICAが中心となり、現地のグラント・エージェントであるUNICEFエチオピア事務所と協働しながら取り組みます(詳細はインタビュー記事を参照)。
GPEマルチプライヤーの枠組みを活用することで、JICAとUNICEFが協働的に現地の教育問題に取り組み、連携を通じて支援の効果が高められることが期待されます。 GPEが推進する「パートナーシップ」:援助協調がJICAと共に実現できる良い例とも言えます。

ユニセフ・エチオピア事務所篭島真理子副代表インタビュー

マルチプライヤーが承認されたエチオピアのグラントエージェントはユニセフのエチオピア事務所です。
その副代表は日本人の篭島真理子さん。 篭島さんに、エチオピアの子どもたちが置かれている状況や、今年1月に鈴木憲和議員と鈴木貴子議員がエチオピアの視察に訪れて下さった時のエピソード、マルチプライヤーによってエチオピアの子どもたちにどんな支援が出来るようになるのかを伺いました。

インタビューに答える
ユニセフ・エチオピアの篭島真理子副代表

インタビューの前に、エチオピアの教育事情をお伝えします。
エチオピアの教育事情:学校へアクセス出来ない子が多数
エチオピアは人口約1億2000万のうち、約70%を25歳以下が占めている若者が多い国です。しかし約3000万人の子どもたちが学校(幼稚園~中学卒業まで)に行かれていません。
背景にあるのは、男児は労働力として仕事に従事し、女児は小さいころから水汲みなどの家事を任されていることや児童婚があります。特に児童婚が思春期の女子の教育に及ぼす影響が大きくなっています。

鈴木憲和議員、鈴木貴子議員のエチオピア視察
エチオピアの教育支援で印象に残ったエピソードを伺うと、今年1月に鈴木憲和議員と鈴木貴子議員が視察に訪れ、議員のお二人と一緒に、学校に来ている子どもたちとその親たちとゆっくり話す機会があったことだという篭島さん。子どもたちの置かれている状況を深く理解することが出来たからだそうです。その中から特に印象的だった会話を教えてくれました。

親たちの言葉
内戦を経験した父親の一人が、「僕らは自分たちを表現できる言葉がなかった。教育がなかったから武器を持って戦ったけれど、もし教育を受けていたら言葉で解決できたと思う」と話していたこと。また、母親の中で「私は字を書くことも読むことも出来ないけれども、教育が大切なことは分かる。なぜかというと、あなたたちは私たちの前に座って話をしているから。私たちは教育を受けていないから、そういう立場に絶対なれない。だから自分の子供たちには教育を受けさせて、そういう立場になれる人間になって欲しい。どんなことがあっても私は子どもたちに教育を受けさせる」という想いを語ってくれた人がいたそうです。
篭島さんは、親は期待を持って、自分たちの犠牲を払って子供に教育を受けさせている。その中で教育の質を上げないと学校に対する不信感や絶望感を抱いてしまいかねないと、ソフト面での支援の大切さも話していました。

支援する国の大変さ
また、議員の先生方との会話を通して、支援をする側の大変さも感じたといいます。
自分たちはいつも支援してもらう立場。議員の先生方は国民の理解を得ないと支援に充てるお金が得られない。日本にいる大変な思想いをしている人たちの理解を得た上で、パートナー国への援助をしてもらうことの難しさも学んだそうです。 ちなみに、議員の先生方と訪問した学校では、11歳で結婚し、離婚したのち学校に戻ってきた14歳の女の子にも出会ったとのこと。児童婚は身近にあることを感じた瞬間だったと振り返っていました。

トゥリグルド(ハジ・ヨニス)小学校の教室にて
(出典:UNICEF/GPE/Hiba Mohamed)

GPEマルチプライヤーで出来るようになること
GPEのマルチプライヤーを使って、まずは、紛争で約2250校ある学校のうち1987校が壊された 北部へ行き、JICAと共に建設や学校の修理をしていくそうです。また、ユニセフは同じ地域での教師教育や子どもたちのメンタルケアなどソフト面でも活動していく予定だとのこと。
北部のディグレイ州では、新型コロナの影響で学校が2年間閉鎖し、その後は内戦が勃発。国内避難民がシェルターとして、また軍が基地として多くの学校を使用しました。そんな中で子供たちは4年間も学校へ行けない状態にありました。今年5月に学校が再開されたものの、学校の破壊、教師の不足、そして地雷や不発弾の危険からすべての子供たちが学校に戻れている状況ではありません。その間に教師の人数も半分近くに減ってしまったとのこと。大変な状況に置かれている子どもたちが教育の場に帰って来られるように多方面から環境を整えていくそうです。

篭島真理子(かごしま まりこ)
ユニセフ・エチオピア事務所副代表。日本の大学卒業後教員に。ウォーリック大学国際比較教育修士号。1998年JPOとしてユニセフメキシコ事務所へ。その後Education Officerとしてユニセフ職員に。アフガニスタン、アンゴラ、ウガンダなどで勤務。2022年10月から現職。

GPEの資金供与の仕組みを通じた自助努力の促進:ウガンダの事例

ウガンダの小学校の外で児童たち
出典:GPE/Livia Barton

2022年9月に行われたGPEの理事会で、ウガンダ教育省に対する追加の資金供与が承認されました。
この追加資金供与は、ウガンダ教育省からプロポーサルを受けるも、一度は保留にされていたものでした。どのような理由で保留となった後、資金供与が承認されたのでしょうか。

GPEはパートナー国のオーナーシップの下に資金供与を行うことを重要理念として掲げています。そのため、パートナー国政府自身が教育の重要性を認識し、教育環境の改善のために尽くすコミットメントがあることが、GPEの資金を受ける際の条件です。このことは、パートナー国の自助努力を促すという意味に加えて、ドナー国など資金の拠出元に対するアカウンタビリティを確保するという意味でも重要です。

それでは、実際どのようにパートナー国の教育に対する「コミットメント」を測っているのでしょうか。
今回はウガンダの事例を紹介します。国が抱える歴史背景や時々の国際情勢によって各国の財政状況は大きく異なるので、一概には言えませんが、一つの指針としてGPEが掲げているのは、途上国政府が国内予算の20%程度以上を教育予算に充当することがあります。ウガンダ教育省がGPEに対して追加の資金供与を要請した際、当初はウガンダ国内予算の内、教育に充てられた予算が全体の17%しか占めていなかったため、追加資金供与については決定が保留され、GPEの理事会の承認が下りませんでした。
この理事会での決定を受けて、ウガンダ政府は国内予算の見直しを行い、教育に充てる予算を19%に引き上げました。予算をこれだけ増額するというのは、一つの「コミットメント」の現われであると考えられます。ウガンダ政府側の予算見直しを受け、GPE理事会で保留していた追加の資金供与が承認されました。

このウガンダの例は、国内予算編成により教育へのコミットメントが示されたわかりやすい例です。
こうした仕組みを通じてコミットメントを促すことは、教育予算の拡充につながり、当該国において教育の重要性が高まるという波及効果も期待されます。一方、昨今の厳しい国際情勢も踏まえて、最近は20%程度の教育予算を充てるという条件に限らず、他の条件も検討されています(例えば教員の採用人数を増やすこと、など)。

GPEの特徴は単なる基金ではなく、パートナーシップ基金であることです。ドナーから調達した貴重な資金を、効果的に、効率的に使うことと、厳しい状況に置かれた途上国の実情を把握しながら、パートナー国のオーナーシップの下に資金供与することの両輪をマネージするのが、GPE事務局の重要な仕事です。

GPE2022年度次報告書を発表

GPEが発足して以来、パートナー国では1億6,000万人以上の子どもたちが学校に通うことができるようになりました。これは、教育の力によって影響を受けた1億6,000万人の個人の生活です。2022年度の主な動きを紹介します。

・GPEは41カ国に対し、約3億USドルの新規助成金を承認しました。また、9カ国でマルチプライヤーグラントが承認され、総額1億5600万USドル、26のパートナーから7億8600万USドルを活用することができました。

・2022年6月に開催された「教育の変革」プレサミットでは、80のパートナー国の教育大臣が「教育の変革」に関する閣僚コミュニケに署名。2022年5月にもサブサハラ・アフリカの14人の教育大臣が「教育におけるジェンダー変革のためのリーダーシップに関するフリータウンマニフェスト」に署名しました。これらの大臣からの緊急の呼びかけを受け、GPEは2022年9月に開催された「教育変革サミット」において、世界のリーダーに対し、教育への資金拠出を緊急に増やすよう呼びかけました。

・新たにアンゴラ、エルサルバドル、エスワティニ、フィジー、グアテマラ、インドネシア、フィリピン、チュニジア、ウクライナの9カ国がGPEに加盟しました。

・GPE Knowledge and Innovation Exchange(KIX)とEducation Out Loud (EOL)は、それぞれ8000万USドル、6000万USドルを追加。レゴ財団、GPE、国際開発研究センターの間でKIX専用の窓口が設けられたことで、5つの新しい研究イニシアチブが生まれました。Education Out Loudはこれまでに、教育分野における市民社会の活動を支援するため、63カ国で70件の助成金を提供しています。

・ケニアで、政府および民間セクターのパートナーであるエコバンク財団、アバンティ・コミュニケーションズ、国際ロータリーとともに、女子教育啓発プログラムを開始しました。

JICAが共同出資として参加するカンボジアとエチオピアにおけるGPEのマルチプライヤーが承認されました!

エチオピアとカンボジアの教育省がそれぞれGPEの理事会に提出をしたマルチプライヤー事業が承認されました。今回は、カンボジアのマルチプライヤーについて取り上げます。

カンボジアの学校にて
出典: GPE/Roun Ry

カンボジアの教育省は、合計1億590万USドルの外部からの資金調達を達成し、それによってGPEのマルチプライヤーがカンボジアにとって上限である3000万USドルで承認されました。JICA(200万USドル)、EU(4390万USドル)、世界銀行(IDAのローン,6000万USドル)が共同出資者となり、共にカンボジア教育省の優先課題である教師の能力強化に取り組み、教育・学習状況の改善を支援します。このプログラムは、ユニセフと世界銀行がグラント・エージェントとなる予定で、来年度中にスタートする予定です。JICAが共同出資する分については、教師教育センターとその支援機構の能力を向上させることで、持続可能な教育・学習支援を行います。

カンボジアのマルチプライヤーについてCEOのコメント

GPEは、JICAがパプアニューギニア、ラオス、セネガルに続き、カンボジアでも新たに共同出資者となったことを喜ばしく思っています。これにより、カンボジアの重要な課題である教員能力強化において、JICAとGPE、その他の機関による支援のシナジーが期待されます。

GPEマルチプライヤー:教育への投資をより多く、より良くするためのインセンティブと財源を提供する革新的な資金調達手段のこと。他の外部資金源と同様に機能。助成金として投資したり、多国間開発銀行や二国間ドナーなどからの譲許的融資の金利を下げるために使用することが可能で、民間資本を含む他の非伝統的な開発資金源と併用することも出来ます。

ウガンダの学校で40人が死亡したとされる襲撃事件をCEOが非難

ウガンダの学校の教室
出典: GPE/Livia Barton

教育のためのグローバル・パートナーシップは、
ウガンダ西部のムポンドウェのルビリハ中等学校で16日夜に起こった襲撃事件で、子供を含む少なくとも40人が死亡したとされることについて最も強い言葉で非難します。

「教育施設に対して行われたこのような行為は、全く容認できるものではありません。」とGPEのラウラ・フリジェンティCEO。また、CEOは「子どもや教師はターゲットではありませんし、決してターゲットになってはいけません」と述べています。「この恐ろしい事件の犠牲者、影響を受けた人々、そして殺された人々の家族に深い哀悼の意を表します」とも加えています。

学校とその周辺での暴力は、ウガンダの子どもたちの教育にまた新たな障害をもたらします。この分野では、教師や生徒の欠席率が高く、学校レベルの管理体制が脆弱なうえ、学習教材が不十分で、クラスの人数が多いなど、複数の課題に直面しています。

GPEは2011年以来、ウガンダの政府や現地の教育パートナーと協力し、同国の教育の質を向上させ、より多くの子どもたちが基本的な学校教育を修了できるように努めています。
2013年以降、ウガンダは1億1,600万米ドル以上のGPE助成金を受領しています。

ウガンダの新・反同性愛法成立についてCEOが声明

ウガンダで世界で最も厳しいといわれている「反LGBTQ(性的少数者)法」が29日に発効したことを受け、ラウラ・フリジェンティCEOが声明を発表しました。原文(英語)はこちらです。

新しい法律では、新たに終身刑や死刑が加わりました。

通学中のウガンダの生徒たち
出典:GPE/Livia Barton

エチオピアの現地視察報告会:第2回Friends of Educationの開催

鈴木貴子議員、鈴木憲和議員によるエチオピアの現地視察(1面参照)の報告会を2月1日に開催しました。報告会では、まず、日本の教育協力政策の評価と今後に向けた提言について広島大学の石田教授よりお話ししただき、それを受けて、鈴木貴子議員、鈴木憲和議員より、エチオピアの現地視察の報告が行われ、現地視察から得られたメッセージ3点が参加者に伝えられました。

まずは、昨年度の外務省の教育協力政策の第三者評価で評価主任を務めていた広島大学教育開発国際協力研究センターの石田洋子教授に日本の国際教育協力政策に対する評価の概要を説明いただきました。石田教授からは、次期政策策定への提言として、他ドナーや他のアクター・事業との連携を強化し、コレクティブ・インパクトを示すことや、ネットワーク型アプローチや多国間・二国間援助機関との連携を強化すること、GPEなど多様な援助モダリティを活用することなどを含む5点が示されたことについても、説明いただきました。

続いて、鈴木貴子議員、鈴木憲和議員により、エチオピアの現地視察の報告が行われました。2名の議員からは、エチオピアで学校訪問をした際の保護者や児童生徒との印象的な対話などが共有され、以下の3点が重要であることが示されました。

1.ECWへの新たな拠出を行うこと

2.教育を日本が支え、それが平和につながるのだというメッセージを示していくためにも、 GPEへの拠出を増額をしていくこと

3.日本の開発途上国でのビジビリティを上げるためにも日本の組織がCA・GAになること

参加者からは、「これからのフォローアップが大事、相互補完的、バイの連携を進めていくためにも、GPEとの連携をお願いしたい」といった意見や、「教育支援について日本のプレゼンスを高めることが大事」という意見が述べられるなど、第1回に続き、今回も大変熱い議論が交わされました。

次回は3月8日に、GPE とECWの両CEOによる特別セッションが行われる予定です。特別セッションの様子はまたニュースレターで報告いたします。

「Friends of Education」:国際教育協力に関わる多様なステークホルダーで構成されるグループ。日本が教育協力の分野でどのようにビジビリティ―を高め、マルチの枠組みと連携をしながら効果的に貢献していったら良いかを議論。第1回は「国際教育協力政策と日本の外交」のテーマで2022年12月開催。

日本政府からGPEへ新たな資金拠出が決定!

ソマリア・ソマリランドでの教育(出典:UNICEF/Hana Yoshimoto)

1月24日の教育の国際デーに、日本からGPEに対して500万ドル超の拠出に関するプレッジが行われたことに、GPEは感謝いたします。

日本からの資金の大半は紛争中の国々に割り当てられます。約400万米ドルはソマリアの教育支援に、約50万米ドルはモルドバの難民支援に充てられる予定です。これらの資金は、継続中の紛争、暴力、食糧不足により生活に深い影響を受けている最も脆弱な立場にある子どもたちの、学習の継続を維持するために役立てられます。残りの60万米ドルはパートナー国がが教育セクター計画を策定・実施することを支援するために用いられる予定です。

教育の国際デーは、国際社会にとって、教育が平和と発展のために果たす役割を称え、すべての子どもたちが質の高い教育を受けられるようにするための重要な機会です。GPEでは引き続き、パートナー国の教育の変革に取り組んで参ります。