GPE Japan Youth企画: GPE Staff Interview Series第3回 木部崎彩職員

GPEのユースリーダーの活動の1つにGPEの現場で働く職員をインタビューするGPE Staff Interview Seriesという企画があります。GPEの職員が日頃どのような活動をしているのか、実際に働いている人にユースリーダーが話を聞いていくものです。

今回はユースリーダー・高橋真理奈さんが、GPE事務局シニア・カントリー・オペレーション・オフィサーの木部崎彩さんにお話を伺いました。動画はこちらです。

インタビューに答える木部崎さん

高橋: まずはじめに、自己紹介もかねて、木部崎さんのGPEにおける役割や仕事内容について教えてください。
木部崎さん: GPE事務局のカントリーチームリードという仕事をしています。GPEのフレームワーク、ツールそれから資金をつかってパートナー国の基礎教育がどうやって強化していけるだろうかというサポートを国ごとにチームで仕事をしていて、それをまとめる役割をしています。具体的には、GPEにはローカル;エデュケーション・グループ (LEG)といって、教育省を中心としたパートナーシップをつくって強化しようということをしていて、いろいろな教育のステークホルダーを教育省がリーダーシップを握りつつ国際機関や企業、学術機関、先生、PTA、市民社会すべてのステークホルダーが集まって、どうやって教育を良くしていくか、どうやって政策の改善につながるだろうかと一緒に考えることが一番重要です。

高橋: 木部崎さんはユニセフのカントリーオフィスで勤務されたのち、GPEに参画されたとのことですが、ユニセフなどほかの国際機関と比べて、GPEの教育支援の特徴は何でしょうか。
木部崎さん:最大の特徴はやはりパートナーシップですね。英語ではレバレッジといいますが、パートナーシップをつかって、より大きな結果につなげていこうとしているところが大きな特徴です。LEGを通じて改善していこうとしていて、彼ら自身が実施していくことをサポートしていきます。パートナー国では、「“GPE”がではなく、あなたたちがどうしたいか、あなたたちが教育をよくしてくかを考え、一緒に進んでいくためにGPEがサポートしている」とよく言っています。また、プログラムレベルでなくセクターレベルでものごとを考えている点もあります。GPEでプログラムもやっていますが、プログラムをマクロでとらえるセクターでみています。例えば、プログラムは予算が限られていますけれど、国家予算は大きいので、国家予算のどのくらいが教育に使われているか、どうやって教育に割り当てられるのか、割り当てられていても無駄がなく使われているか、貧困層や女子、障害のある子どもに行き届いているかー。資金を増やす、それから、ある予算をどうやって使うかを見ています。教育省とLEGに一緒に分析してもらい、改善の必要性を感じてもらい、それによってより大きな結果につなげていくことを目指しています。うまくいけば大きなインパクトが得られますし。

それから、GPEは援助機関ではなくパートナーシップなので、ユニセフ、ユネスコ、世界銀行など他の機関への資金供与を通して教育を支援しているのも大きな特徴です。そして、GPEのプログラムの内容については「このお金がどうやったら子どもに一番有効に使えるか」はLEGに決めてもらっているのです。他の援助機関もプログラムをつくるときにステークホルダーコンサルテーションで意見を聞いていますが、GPEではさらに重点をおいている点が他の機関と異なる特徴です。

高橋: ユース時代はどのようにお過ごしでしたか?GPEで働くようになった経緯や、教育協力に興味を持ったきっかけがありましたらお聞かせください。
木部崎さん:小さいころアメリカで7年過ごしているんですけど、9歳のときに家族旅行でメキシコに行ってその時に初めて途上国の貧困を目の当たりにしました。ホームレスの親子を見てハッとしたのが初めのきっかけです。中学生になって日本に戻ったとき、テレビでコソボの紛争が放送されていて、その中に、日本人女性に着目した番組があって、その方のことをいいなと思ったことがありました。それから、日本ユニセフ協会がファンドレイジングの番組をやっていたのをみて、中3の時に、子どものために仕事をするのっていいなと思い、ユニセフに入りたいと思いました。ユニセフで働くためには大学院に行く必要があり、入学前にNGOのインターンシップでHIV予防プログラムをやっていて、コートジボワールにモニタリングに行ってきてくださいと言われました。3ヶ月間田舎で過ごして、衝撃的でいい経験になったのですが、その時に、「どうやったらたくさんの人のサポートができるだろう」と考えた時に、教育だと思いました。モノやお金をあげても解決にならない、みんなが自分の人生をどうやって良くしていけるかー、その切り開いていく力、社会を良くしていける力を得るのは教育だと思い教育に決めました。

ユニセフのマダガスカル事務所、ネパール事務所で仕事をして、女子教育や幼児教育に携わってきて、そのあと、ユニセフの次のポストを探さなきゃという時、マダガスカル時代の上司のすすめもあり、GPEに応募しました。一生ユニセフと思っていたので自分でも驚きでしたが、マダガスカル時代に出張で来ていた尊敬する女性から、「ユニセフもいいけどほかの国際機関やNGOなど、違うところで経験を積むとあなたの視野が広がる」と言われて、挑戦することにしました。結局、GPEが楽しくてもうすぐ10年目になります。

高橋: GPEが途上国で活動する上で苦労したことや、GPEだからこそ発揮できる強味はありましたか。
木部崎さん: 苦労といえば、人と仕事をしていくので楽しい醍醐味でもあるのですが、自分たちでやるのではなく、アドバイスをすることによって動いてもらうので、パートナー国で教育省の人も国際機関の人もステークホルダーは日々やらないといけない仕事があり、その中で、セクターレベル(教育開発計画や国家予算の分析など)の仕事いきましょうと声を上げるのは大変なことも国によってはあります。

GPEだからこそというと、ミャンマーが何年か前にGPEのメンバー国になりましたが、GPEはエクイティ、一番助けを必要としている人に教育が何を出来るかを啓蒙しているのですが、その時ロヒンギャの問題が注目され始めていて、ミャンマーではすでに国内避難民が発生している状況でした。GPEに加盟することでミャンマー政府にとって資金を受けられるなどいい面もありますが、パートナーシップであったりロヒンギャであったり難民であったり、そういった状況がどうやって改善しているかは聞かれるので、それを啓蒙する機会になりました。最初にLEGに説明したとき、他の国際機関から、「国をベースにしているドナーからはセンシティブな話題は触れられないでいたが、GPEが来てくれて、聞いてくれることによって、それを活用して議論を進めていくことができる」と言ってもらえました。それに続くGPEのグラントミーティングで80ミリオンドルの資金からしっかりロヒンギャや少数民族に割り当てられたグラントをつくることを政府が承認してくれました。クーデターでそのプログラムの実施は難しくなってしまいましたが、うれしかった成果でしたね。GPEが外にいる大きなパートナーだからこそ、プッシュできたことだと思います。

高橋: 教育協力でパートナーシップはなぜ重要なのでしょうか?また、パートナーシップを尊重して活動する中で心がけていることがあれば、教えていただきたいです。
木部崎さん: 個人やひとつの組織でできることは限られていると思います。月並みですけどみんなの力を合わせることによって、より大きな結果により早く到達することができるようになると思います。

教育協力のエリアで考えると、幼児教育や基礎教育、中等基礎教育に重きを置いている団体もいれば、職業訓練が大事だと考える団体もありますよね。でも結局、問題とか解決策はどこかでつながっていると思うんです。たとえば、教員養成のシステムを強化したり、カリキュラムや教材を見直すといったときも、1学年とか初等教育だけを見るわけにはいかないですよね。つながっているので、全体をみて連携して、教育システムとしてどうやって改善していくのだろうかとする姿勢が大事だと思います。一つの機関でできることがかぎられていても、みんなの強みをいかして、うまく連携してサポートをすればもっと効果的になるのではないかなと。そういった面でパートナーシップは大事だなと感じます。例えば、私が担当しているある国では、大きな組織やNGOを含めると、教員の質の改善と国語・算数の教材の改善をしている団体・プログラムがいっぱいあるんですよ。でも、みんながツールやプログラムを最初から作り上げるのは、もちろんいいのですが効率的でない面もあります。こんなに多くの団体があるのに、まだ全ての子どもがカバーされていないんですね。でも、みんながツールや知見を持ち寄って、どうやったらより多くの子どもに届けることができるだろうと考えてアプローチができると思うんです。みんなの意見を持ち寄って調整することは短期的には困難なことでもありますが、中長期的にみると大きな支援につながるので、このあたりでパートナーシップはすごく大事だと思います。

私自身も、ほかのGPE事務局の職員も気を付けていることは、政府の主導権とLEGの働きを尊重して、少しずつアドバイスをすることでしょうか。ここは強化できるのではないかと思うことがあっても、こうしなさいというのではなく、どう思いますかと働きかけることが大事ですね。先ほどの例のように、似たようなプログラムが混在している状況であれば、その状況で生じた弊害はあったか、どうやったら改善できると思うかと問いかけ、問題意識を持ったもらい改善につなげてもらっています。LEGのコーディネーションがうまくいっていない場合には他国の事例も交えながら、国の状況に合わせてアドバイスをしています。

アドバイスをする時には、その国の状況がわかっていないといけません。会議や書類だけでは分からないこともたくさんあり、パートナー国のいろいろな人と信頼関係をつくることによって、LEGや教育省でおきていることを知ると、解決策がみえてきやすくなるかなと思います。

高橋: 木部崎さん、興味深いお話をありがとうございました。GPEの職員が日々経験していることを生でお聞きするのはとても貴重な機会でした。教育協力に長年携わってきた木部崎さんのお話を聞くことができ、学ぶことが多くありました。また、同じ日本人としてたくさんのインスピレーションを受けることができました。

木部崎彩さん(きべさき あや)
GPE事務局シニア・カントリー・オペレーション・オフィサー。バングラディッシュ、カンボジア、ミャンマー、ネパール、ベトナムのカントリー・リーダー。前職のユニセフではエデュケーションスペシャリストとしてブータン、マダガスカル、ネパールに勤務。シドニー大学で国際教育学の修士号、サセックス大学でジェンダーと開発の修士号を取得。

高橋真理奈(たかはし まりな)
日本でマイノリティとして育った経験を通じて、教育の力を実感する。大学卒業後はコンサルティング会社に入社。現在はNPO法人のカントリーマネージャーとして遠隔地へ映像授業を提供している。

高橋真理奈さん

インタビューを終えて
教育協力のキャリアを歩みたいと思っている私にとって、大切な姿勢をお聞きすることができたインタビューでした。教育は、一度実施したら終わりでなく届け続けること、そして、とりこぼされる人がいないことが重要です。いろいろなプログラム・団体が教育を届けていますが、それぞれの強みがいかされ、長期的に教育システムがよい方向に向かっていくためにも、パートナーシップは重要な働きをしていることを改めて認識しました。(高橋)

GPEユースと小森卓郎議員を訪問

小森卓郎議員訪問
ユースの話を熱心に聴く小森卓郎議員

小森卓郎議員を訪問しました。
GPEユースの高橋さんは、フィリピンでの教育現場の話に触れながら、現地の人々が如何に日本の協力、知見共有に期待しているのか述べ、国際教育協力分野への更なる支援の必要を訴えました。

小森議員、お忙しい中お時間をいただき、親身に話を聞いていただき有難うございました!

「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」にGPEユースが登壇しました

7月4日に開催された広島大学と筑波大学主催の「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」(18th JEF for SDGs)にGPEユースの高橋真理奈さんが登壇しました。

フォーラムのプログラムはこちらです:
【テーマ】脆弱な立場に置かれている人々の 教育の質、学びの成果
【主催】広島大学,筑波大学
【後援】文部科学省,外務省,国際協力機構(JICA)
【スケジュール】
1) 開会挨拶、キックオフトーク
2)パネルセッション① (コロナ禍・ポストコロナ教育対応からの教訓)
ジョン・アーノルド(SEAMEO 副事務局⻑ プログラム・開発担当)
山脇智志(キャスタリア株式会社CEO)
西方憲広(JICA国際協⼒専⾨員))
高橋真理奈(GPEユース)
モデレーター…アントニス・マノス(UNESCO GEMリポートディレクター)
3)パネルセッション② (脆弱な⽴場に置かれた⼈たちの教育)
クアシス・シヤブ(ヨルダン教育省)
ロイズ・ギチュヒ(ナイロビ大学)
菊地翔(セーブザチルドレン)
モデレーター…日下部 尚徳(立教大学)
4)質疑応答・ディスカッション
5)閉会挨拶

高橋さんに当時のことを振り返ってもらいました。

フォーラムで発言する高橋さん(左下)

今年のJEFは「脆弱な立場に置かれている人々の教育の質、学びの成果」をテーマとし、特にコロナ禍による「学びの損失」について、コロナ禍を通して教育はどのように変わったのか、脆弱な⽴場に置かれた⼈々へどのように教育の機会を提供できるかなど、ほかの登壇者とともに多様な視点からと議論しました。
登壇したパネルセッションでは「コロナ禍・ポストコロナ教育対応からの教訓」について、コロナ渦の学習を遮断させないためのユースの活動を紹介しました。

コロナ渦では、GPEの67のパートナー国のうち63カ国で休校処置がとられ、子どもたちは教育へのアクセスを失っただけでなく、栄養のある給食や衛生へのアクセスも失いました。テクノロジーを活用した遠隔授業が各地で実施されていましたが、GPEユースは、女子生徒や農村部の生徒など、より困難な状況にある子どもたちが取り残されないために、各国のリーダーへ手紙を届けたり、GPE公式ホームページへの寄稿を通して教育格差について声を上げました。

アフターコロナで教育が徐々に回復する中、パートナー国のユースは、このような災害が教育を妨げないこと、どのような状況にあっても子どもたちに教育が届く支援を続けてほしいと訴えていることを紹介しました。

ドナー国のユースとして、日本はG7首脳宣言で表明された敎育へのコミットメントを実現するため、積極的なリーダーシップを発揮すること、そして、教育危機を乗り越えるために、短期的な支援だけでなく、GPEフレームワークを活用し、現地で活動している他の援助機関・国際機関・NGO・民間・財団等と連携をしながら、長期的な政策・計画を基に教育制度を包括的に支援することを訴えました。

参加者の皆さん

GPEユースの活動から得たもの:OGからのコメント

GPEでは現在約20ヶ国でおよそ40名のユースリーダー達が活躍しています。ユースリーダー達は、世界の教育の課題や開発について情熱を持つ18歳から30歳のメンバーで、ボランティアとしてGPEの活動に関わっています。​

今回は昨年ユースリーダーとして活動していたOGの中野友絵さんに当時のことを振り返ってもらいました。

中野さん

まずは中野さんの自己紹介からです。
中野「中学生ぐらいから貧困や格差に興味があり、高校の総合的な学習の時間に政府開発援助を研究していました。その経験から開発経済学・計量経済学を学びたいと思い、大学で経済学を専攻。在学中にトビタテ!留学JAPANに支援を頂き、イギリス留学、ガーナでのインターンシップを経験しました。その後は、教育経済学修士号取得。日本の通信事業会社に約4年間勤務した後、国連広報センターで広報インターンを経験。現在は国連人口基金のスリランカ事務所にてHumanitarian Project Officer(国連ボランティア)として勤務しています」

・昨年1年間、ユースとしてどんな活動をしましたか?また、活動を通して学んだことを教えてください。
中野「昨年、私はGPEユースとして、日本の国会議員の先生方に対してGPEを通じたパートナー国への教育支援の必要性を訴えるアドボカシー活動を行っておりました。当初はこんな私の声なんて聞いてもらえるのだろうかと不安しかありませんでした。しかし、時間を作って面談の機会をくださったほとんどの先生方が、真摯に若者の声に耳を傾けてくださいました。
この活動を通じて、声を上げることの大切さを学びました。また教育に情熱を持つ数多くの人々と出会い、一緒に活動できたことは私にとって生涯にわたる財産です。周りの方々から受ける日々の刺激、今何をすべきか、どうすれば最大限のインパクトを出せるのかといった問いに自ら真剣に考えることのできる環境が自分は好きなのだと気づけたことが、大きな学びだったと思います。」

・GPEユースの活動を今後自身のキャリアにどう生かしていきたいですか?
中野「将来的にはパートナー国の教育の質向上に貢献するため、エビデンスに基づく教育政策立案など領域での専門的なキャリアを追求したいと思っています。ただ今は誰も取り残されず、すべての人が自分らしくいられる世界を作っていけるように目の前のチャンスには全力でチャレンジしていきたいと思っています。
ただ実は既にユースの経験は今の新しいキャリアに十分生きていると感じております。例えば、今の業務の中でConcept Noteを書く機会を頂いていますが、これに初めて挑戦したのはGPEユースの時でした。また、GPEユースとしての活動は、グローバルな視野を養う機会でもありました。この経験は、国境を越えた協力と対話を通じて問題解決を試みるグローバルな環境で活躍するための基礎となったと思います。」

「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」にGPEユースが登壇

7月4日(火)16:30から19:30に開催される広島大学と筑波大学主催の「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」にGPEユースの高橋 真理奈が登壇します。

参加受付は明日30日までです。詳しくはこちらをご覧ください。

ジェンダーに関するウェビナーを開催

毎年5月28日に制定される「国際月経衛生デー」を記念して、認識を高めるため、Girls Not Bridesと合同でGPEは、月経衛生、ジェンダー平等、児童婚、教育のつながりに焦点をおいたウェビナーを開催します。

ウェビナーは日本時間明日26日22時から英語で行われます。
テーマは「ジェンダー平等を進める:教育、児童婚、月経衛生」です。

月経衛生管理を含む教育に対する多くのジェンダーによる障壁を踏まえると、このイベントは、認識を共有し、女児が教育を修了して潜在的な能力を発揮することを支援するために現在進めている活動を強調する重要な機会となります。

今年の記念行事の包括的な目標は、2030年までに、月経があることを理由に誰も足を引っ張られることのない世界を築くことです。

イベントの目的
・女子教育を促進するために、月経、教育、児童婚の結びつきにスポットライトを当てます。

・世代を超えた関係者が集まり、他のセクターの目標達成のためにも重要である教育に注目します。

・月経が女児の欠席率や学校での教育達成度に与える影響と、教育を通じてジェンダー平等を推進するためのセクターを超えた投資の重要性を強調します。

・月経周期や生物学的・生理学的変化に関する情報を共有することで、少年少女が早期妊娠や児童婚の防止を提唱する力を得られることを示します。

参加申し込みはこちらからお願いします。

GPEユースリーダーコーナー

GPEユースリーダー達は、1年から2年間の期間で活動を行っています。2022年に活動した日本のGPEユースリーダー 達が、GPEユースとしての2022年の活動をを振り返りました。彼女達の1年間の軌跡をぜひご覧ください。

2022年度の活動を振り返って~中野~

アドボカシー活動

GPEユースとして、日本の国会議員の先生方のもとへ直接伺い、GPEを通じたパートナー国への教育支援の必要性を伝えるアドボカシー活動を行っておりました。当初はこんな私の声なんて聞いてもらえるのだろうかと不安しかありませんでした。しかし、時間を作って面談の機会をくださったほとんどの先生方が、真摯に若者の声に耳を傾けてくださいました。この活動を通じて、声を上げることの大切さを学びました。

多くの人々との出会い

世界のすべての子供たちが質の高い教育を受けられる世界にしたい、誰かのために何かをしたい、と思ってはじめた活動でしたが、実際は自分自身にとっての学びが大きく、得るものがたくさんありました。

 活動当初は戸惑うこともありましたが、GPE事務局の方々の丁寧なトレーニングやサポートのおかげで、1年間ユースとして活動することができました。本当にありがとうございました。

  GPEユースとして、多くの教育に情熱を注ぐ方々と出会ったことで、自分自身ももっと教育について考え、行動していきたいと感じました。これからユースの経験を活かし、パートナー国の教育の質向上に貢献できるように、活動したいと思います!

2022年度の活動を振り返って~畑岡~

背を押してくれた

この一年の活動で一番心に残っているのは、9.11から21年の節目に開いたオンラインイベントです。イベントにはアフガニスタン出身の学生も登壇しました。

 多くの人の支えのもと開催することができました。イベント参加者から多くの力強いメッセージもいただきました。第2部のユースのディスカッションでは熱い議論が交わされました。

 世界の分断が危ぶまれる今、教育の意味を再確認するとともにその重要性をかみしめるイベントとでした。

 周りにも日々汗水流して活動されていること、教育の重要性を 共感してくださる方がいることを再認識し、私の背を押してくれるイベントともなりました。

これをもっと当たり前に

GPEの活動を通し、国会議員の方を訪問して、意見を伝えるという活動に参加しました。ただの大学生の一人にすぎない、私の話に耳を傾けてくださる方がいるということに驚きました。しかしそもそも国会議員は選挙で選ばれた市民の代表者です。市民の声を聞くのも仕事の一つでしょう。意見を聞いて終わりにするのではなく、政治にしっかり反映していただきたいです。それを見張るのもやはりまた、市民の役割だと思いました。

 活動を通して、民主主義について体感することができたように感じます。議員を訪問することはそんなに目立つことではありません。だから、人の目を あまり気にしなくともすみます。もっと多くのユースに、政治参加のハードルがそこまで高くないということを経験してほしいです。

9月に開催したアフガニスタンの女子教育に関するオンラインイベントでの若者の意見をもとに、政策提言を行いました

岸田総理と岸田裕子さんへのお手紙

岸田総理と岸田裕子さんへGPEを通じた基礎教育支援を呼びかけるお手紙を、上川陽子議員にお渡ししました。また河西宏一議員、谷合正明議員、寺田静議員、山本ともひろ議員にも直接、政策提言を伝えに伺いました。若者の声に耳を傾けてくださり、本当にありがとうございました。若者として声を上げる大切さをあらためて感じました。

SDGs実施指針改定に関するパートナーシップ会議(第2回)への参加

2023年に改定が予定されている「SDGs実施指針」に関するパートナー会議に参加し、GPEユースとして日本がパートナー国に対し、GPEを通じた基礎教育支援を行う重要性について訴えました。またGPE Youth Ambassador Japanとして政策提言を提出しました。若者の声が届くことを願っています。

GEPユースによるオンラインイベントを実施:「 9.11から21年:アフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのか」

第1部は70名近くの方が参加し、またユース対象の第2部では定員を上まる多くのユースが参加し、大いに盛り上がりました。

また、当日は世界各国からアフガニスタンのユースも参加しました。時差の関係で参加できなかったユース達からは、ビデオメッセージが寄せられました。

以下のビデオでは第1部を公開しています。ぜひ、アフガニスタンのユースからのメッセージや、アフガニスタンの専門家からのお話、本イベントをご支援いただいた国会議員のメッセージをご覧ください。

第1部のビデオ

以下は、アフガニスタンのユースとの対話をもとに、GPEのユースがまとめた政策提言です。ぜひご覧ください。

日本政府からGPEを通じたパートナー国に対するさらなる「人への投資」である基礎教育支援を頂きますようお願い申し上げます。

GPEは、世界銀行の主導で設立された低所得国や脆弱国の教育問題に特化した世界で唯一のパートナーシップでありグローバルファンドです。 現在世界では約2億4400万人の子どもたちが学校に通えず、さまざまな障壁に直面しています。すべての子ども達、特に女の子に質の高い教育を提供するためには、日本からのGPEへのさらなる支援が必要不可欠です。

事実、昨年イギリスにて開催されたG7での女子教育に関する宣言に日本は合意しました。しかしながら、その翌月に行われたGPEの増資会合で、日本だけが唯一女子教育への支援を含むGPEへの拠出額を明示しませんでした。今年ドイツで開催されたG7のコミュニケにおいても女子教育へのコミットメントを堅持することが明言されております。来年G7の議長国となる日本が女子教育に関する宣言へのコミットメントを果たすことを、他のG7国だけでなく、途上国であるパートナー国も期待をしています。

この背景からGPEユースはタリバン政権下で制限があり、さらなる支援が必要だと考えられる、アフガニスタンの女子教育にフォーカスしたオンラインイベントを開催いたしました。このイベントでは日本の18歳から30歳のユースとともにアフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのかディスカッションを行いました。

ディスカッションの結果として以下のような意見が挙げられました。

包括的な教育課題解決のためグローバルパートナーシップであるGPEと協力した基礎教育プロジェクトを支援すること。

短期的な支援だけではなく、長期的な支援戦略のもと教育支援を実施すること。

日本政府として保健医療だけではなく、人的資本への投資となる教育分野においても国際社会において積極的なリーダーシップを発揮すること。

全ての子ども、特に女の子への基礎教育を提供することは日本政府が実施することのできる社会的・経済的投資のうち、最も経済効率的で影響力の大きいものの一つであると言われています。「女子が学校に通うことができる期間が1年間増えるだけで、女性の収入は10%〜20%増加することができる」というデータもあります。また外務省のODA評価、教育協力政策の評価においても「日本は地球規模課題に対応するために、教育協力におけるネットワーク型アプローチ、多国間・二国間援助機関との連携強化を継続することが重要であり、GPE などのグローバルファンドに一定規模の資金提供をすること」と指摘されております。

そして第77回国連総会における岸田総理大臣による演説においても「日本は人材育成や能力構築に力を入れます。私は、教育は平和の礎という信念の下、教育チャンピオンに就任し、国連教育変革サミットの成果も踏まえ人づくり協力を進めます」との宣言がございました。日本政府からGPEを通じたパートナー国に対するさらなる基礎教育支援を頂きますようお願い申し上げます。

動画の公開:9.11から21年:アフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのか

9月11日にアフガニスタンの女子教育に関するウェビナーを実施しました。第1部は70名近くの方に参加いただき、またユースが対象の第2部では定員を上まる多くのユースに参加していただき、大いに盛り上がりました。

また、当日は世界各国からアフガニスタンのユースも参加し、アフガニスタンの実情を踏まえた声が寄せられました。また、時差の関係でオンラインイベントに参加できなかったユース達からは、ビデオメッセージが寄せられ、第1部で公開しました。

以下のビデオでは第1部(日本語の同時通訳)を公開しています。ぜひ、アフガニスタンのユースからのメッセージや、アフガニスタンの専門家からのお話、本イベントをご支援いただいた国会議員のメッセージをお聞きください。