ジェンダーに関するウェビナーを開催

毎年5月28日に制定される「国際月経衛生デー」を記念して、認識を高めるため、Girls Not Bridesと合同でGPEは、月経衛生、ジェンダー平等、児童婚、教育のつながりに焦点をおいたウェビナーを開催します。

ウェビナーは日本時間明日26日22時から英語で行われます。
テーマは「ジェンダー平等を進める:教育、児童婚、月経衛生」です。

月経衛生管理を含む教育に対する多くのジェンダーによる障壁を踏まえると、このイベントは、認識を共有し、女児が教育を修了して潜在的な能力を発揮することを支援するために現在進めている活動を強調する重要な機会となります。

今年の記念行事の包括的な目標は、2030年までに、月経があることを理由に誰も足を引っ張られることのない世界を築くことです。

イベントの目的:
・女子教育を促進するために、月経、教育、児童婚の結びつきにスポットライトを当てます。

・世代を超えた関係者が集まり、他のセクターの目標達成のためにも重要である教育に注目します。

・月経が女児の欠席率や学校での教育達成度に与える影響と、教育を通じてジェンダー平等を推進するためのセクターを超えた投資の重要性を強調します。

・月経周期や生物学的・生理学的変化に関する情報を共有することで、少年少女が早期妊娠や児童婚の防止を提唱する力を得られることを示します。

参加申し込みはこちらからお願いします。
https://www.globalpartnership.org/events/advancing-gender-equality-education-child-marriage-and-menstrual-hygiene-nexus

GPEユースリーダーコーナー

GPEユースリーダー達は、1年から2年間の期間で活動を行っています。2022年に活動した日本のGPEユースリーダー 達が、GPEユースとしての2022年の活動をを振り返りました。彼女達の1年間の軌跡をぜひご覧ください。

2022年度の活動を振り返って~中野~

アドボカシー活動

GPEユースとして、日本の国会議員の先生方のもとへ直接伺い、GPEを通じたパートナー国への教育支援の必要性を伝えるアドボカシー活動を行っておりました。当初はこんな私の声なんて聞いてもらえるのだろうかと不安しかありませんでした。しかし、時間を作って面談の機会をくださったほとんどの先生方が、真摯に若者の声に耳を傾けてくださいました。この活動を通じて、声を上げることの大切さを学びました。

多くの人々との出会い

世界のすべての子供たちが質の高い教育を受けられる世界にしたい、誰かのために何かをしたい、と思ってはじめた活動でしたが、実際は自分自身にとっての学びが大きく、得るものがたくさんありました。

 活動当初は戸惑うこともありましたが、GPE事務局の方々の丁寧なトレーニングやサポートのおかげで、1年間ユースとして活動することができました。本当にありがとうございました。

  GPEユースとして、多くの教育に情熱を注ぐ方々と出会ったことで、自分自身ももっと教育について考え、行動していきたいと感じました。これからユースの経験を活かし、パートナー国の教育の質向上に貢献できるように、活動したいと思います!

2022年度の活動を振り返って~畑岡~

背を押してくれた

この一年の活動で一番心に残っているのは、9.11から21年の節目に開いたオンラインイベントです。イベントにはアフガニスタン出身の学生も登壇しました。

 多くの人の支えのもと開催することができました。イベント参加者から多くの力強いメッセージもいただきました。第2部のユースのディスカッションでは熱い議論が交わされました。

 世界の分断が危ぶまれる今、教育の意味を再確認するとともにその重要性をかみしめるイベントとでした。

 周りにも日々汗水流して活動されていること、教育の重要性を 共感してくださる方がいることを再認識し、私の背を押してくれるイベントともなりました。

これをもっと当たり前に

GPEの活動を通し、国会議員の方を訪問して、意見を伝えるという活動に参加しました。ただの大学生の一人にすぎない、私の話に耳を傾けてくださる方がいるということに驚きました。しかしそもそも国会議員は選挙で選ばれた市民の代表者です。市民の声を聞くのも仕事の一つでしょう。意見を聞いて終わりにするのではなく、政治にしっかり反映していただきたいです。それを見張るのもやはりまた、市民の役割だと思いました。

 活動を通して、民主主義について体感することができたように感じます。議員を訪問することはそんなに目立つことではありません。だから、人の目を あまり気にしなくともすみます。もっと多くのユースに、政治参加のハードルがそこまで高くないということを経験してほしいです。

9月に開催したアフガニスタンの女子教育に関するオンラインイベントでの若者の意見をもとに、政策提言を行いました

岸田総理と岸田裕子さんへのお手紙

岸田総理と岸田裕子さんへGPEを通じた基礎教育支援を呼びかけるお手紙を、上川陽子議員にお渡ししました。また河西宏一議員、河西宏一議員、谷合正明議員、寺田静議員、山本ともひろ議員にも直接、政策提言を伝えに伺いました。若者の声に耳を傾けてくださり、本当にありがとうございました。若者として声を上げる大切さをあらためて感じました。

SDGs実施指針改定に関するパートナーシップ会議(第2回)への参加

2023年に改定が予定されている「SDGs実施指針」に関するパートナー会議に参加し、GPEユースとして日本がパートナー国に対し、GPEを通じた基礎教育支援を行う重要性について訴えました。またGPE Youth Ambassador Japanとして政策提言を提出しました。若者の声が届くことを願っています。

GEPユースによるオンラインイベントを実施:「 9.11から21年:アフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのか」

第1部は70名近くの方が参加し、またユース対象の第2部では定員を上まる多くのユースが参加し、大いに盛り上がりました。

また、当日は世界各国からアフガニスタンのユースも参加しました。時差の関係で参加できなかったユース達からは、ビデオメッセージが寄せられました。

以下のビデオでは第1部を公開しています。ぜひ、アフガニスタンのユースからのメッセージや、アフガニスタンの専門家からのお話、本イベントをご支援いただいた国会議員のメッセージをご覧ください。

第1部のビデオ

以下は、アフガニスタンのユースとの対話をもとに、GPEのユースがまとめた政策提言です。ぜひご覧ください。

日本政府からGPEを通じたパートナー国に対するさらなる「人への投資」である基礎教育支援を頂きますようお願い申し上げます。

GPEは、世界銀行の主導で設立された低所得国や脆弱国の教育問題に特化した世界で唯一のパートナーシップでありグローバルファンドです。 現在世界では約2億4400万人の子どもたちが学校に通えず、さまざまな障壁に直面しています。すべての子ども達、特に女の子に質の高い教育を提供するためには、日本からのGPEへのさらなる支援が必要不可欠です。

事実、昨年イギリスにて開催されたG7での女子教育に関する宣言に日本は合意しました。しかしながら、その翌月に行われたGPEの増資会合で、日本だけが唯一女子教育への支援を含むGPEへの拠出額を明示しませんでした。今年ドイツで開催されたG7のコミュニケにおいても女子教育へのコミットメントを堅持することが明言されております。来年G7の議長国となる日本が女子教育に関する宣言へのコミットメントを果たすことを、他のG7国だけでなく、途上国であるパートナー国も期待をしています。

この背景からGPEユースはタリバン政権下で制限があり、さらなる支援が必要だと考えられる、アフガニスタンの女子教育にフォーカスしたオンラインイベントを開催いたしました。このイベントでは日本の18歳から30歳のユースとともにアフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのかディスカッションを行いました。

ディスカッションの結果として以下のような意見が挙げられました。

包括的な教育課題解決のためグローバルパートナーシップであるGPEと協力した基礎教育プロジェクトを支援すること。

短期的な支援だけではなく、長期的な支援戦略のもと教育支援を実施すること。

日本政府として保健医療だけではなく、人的資本への投資となる教育分野においても国際社会において積極的なリーダーシップを発揮すること。

全ての子ども、特に女の子への基礎教育を提供することは日本政府が実施することのできる社会的・経済的投資のうち、最も経済効率的で影響力の大きいものの一つであると言われています。「女子が学校に通うことができる期間が1年間増えるだけで、女性の収入は10%〜20%増加することができる」というデータもあります。また外務省のODA評価、教育協力政策の評価においても「日本は地球規模課題に対応するために、教育協力におけるネットワーク型アプローチ、多国間・二国間援助機関との連携強化を継続することが重要であり、GPE などのグローバルファンドに一定規模の資金提供をすること」と指摘されております。

そして第77回国連総会における岸田総理大臣による演説においても「日本は人材育成や能力構築に力を入れます。私は、教育は平和の礎という信念の下、教育チャンピオンに就任し、国連教育変革サミットの成果も踏まえ人づくり協力を進めます」との宣言がございました。日本政府からGPEを通じたパートナー国に対するさらなる基礎教育支援を頂きますようお願い申し上げます。

動画の公開:9.11から21年:アフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのか

9月11日にアフガニスタンの女子教育に関するウェビナーを実施しました。第1部は70名近くの方に参加いただき、またユースが対象の第2部では定員を上まる多くのユースに参加していただき、大いに盛り上がりました。

また、当日は世界各国からアフガニスタンのユースも参加し、アフガニスタンの実情を踏まえた声が寄せられました。また、時差の関係でオンラインイベントに参加できなかったユース達からは、ビデオメッセージが寄せられ、第1部で公開しました。

以下のビデオでは第1部(日本語の同時通訳)を公開しています。ぜひ、アフガニスタンのユースからのメッセージや、アフガニスタンの専門家からのお話、本イベントをご支援いただいた国会議員のメッセージをお聞きください。

【イベント】9.11から21年:アフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのか

Credit: Canada in Afghanistan

これまでアフガニスタンは、ドナー国やNGOなどからの支援を含め、教育システムを強化し、すべての子どもたちに教育を確保しようと努力していました。しかしながら、2021年にタリバンが政権をとって以来、特に少女や女性にとって、教育の継続性が危機にさらされています。

第1部では、アフガニスタンの教育制度の専門家やアフガニスタンの若者を招き、アフガニスタンにおける女子教育の課題、日本政府への期待、アフガニスタンの未来への希望についてお話しいただきます。このセッションでは、GPE(Global Partnership for Education)などの多国間パートナーシップの枠組みを最大限に活用し、アフガニスタンへの支援を継続することの重要性を訴えます。

第2部では、教育、開発、平和構築に関心のある20名の若者(18歳~30歳)を招き、アフガニスタンにおける女子教育の課題と日本政府の支援のあり方について議論します。 セッション2での議論の成果は、日本のGPEユースによってまとめられ、日本の若者からの政策提言として、日本の政策立案者に向けて発信される予定です。

日時:2022年9月11日(日) 6:00pm − 7:30pm(日本時間)

開催方法:オンライン

参加費:無料

参加方法:参加希望の方は下記リンクより事前登録をお願いします。(締切:2022年9月7日)

応募フォームリンク:https://forms.gle/pzjfMXQ3UMP8ZaHSA

主催:GPE Youth Ambassador Japan (Instagram, Twitter)

プログラム

第1部:アフガニスタンの専門家やアフガニスタンの若者・ユースによるお話し(6:00pm − 7:00pm)

対象:どなたでも参加可能。

– GPE Youth Ambassador Japanによる自己紹介・イベント目的説明

– 国会議員の先生方からのメッセージ

– アフガニスタンの教育システム(仮)(名古屋大学大学院国際開発研究科 内海悠二准教授)

– アフガニスタンの教育課題とGPEの教育支援(仮)(GPE 上級教育専門官 Javier Luque氏)

– アフガニスタンの若者・ユースからのメッセージ

– 終わりの言葉

第2部:若者を対象としたディスカッション(7:00pm − 7:30pm)

対象:教育や開発、平和構築に関心のある若者 (18歳 − 30歳)定員:20名

※ディスカッション形式の第2部は定員に達した時点で受付を終了します。

– ディスカッション

– ディスカッション内容の共有

– 終わりの言葉

※プログラムは現在調整中であり、一部変更になる可能性がございます。

ご質問、お問合わせ:GPE Youth Ambassador Japan(gpeyouthjp@gmail.com)、小田(moda@globalpartnership.org

イベントの最新情報は Twitter (@gpe_youth_japan) をフォローください。

登壇者

名古屋大学大学院国際開発研究科 内海悠二准教授

学術博士。早稲田大学大学院を修了後、ユネスコ(アフガニスタン、ヨルダン)及びユニセフ(東ティモール)にて、7年ほど教育運用情報システムの構築や教育セクター計画の策定業務に従事。現在は、アフガニスタンや東ティモールを主な対象として、教育と紛争、学校効果研究、比較教育研究を行うとともに、東ティモール教育省やアジア開発銀行(対象国:スリランカ)などで教育政策策定支援に携わっている。

GPE 上級教育専門官 Javier Luque氏

現在、GPEのアフガニスタンを担当。GPE以前は、世界銀行、米州開発銀行、国際通貨基金でシニア教育スペシャリストなどを歴任。

「国連教育の変革プレサミット」とGPE

2022年6月28日から30日にかけて、パリで「国連教育の変革プレサミット」が開催されました。これは、9月にニューヨークで開催される「国連教育の変革サミット」に向け、 教育の変革に関する議論を発展させ、共有ビジョンと行動案を確立し、開催に向けてさらなる勢いを生み出すことを目的としています。このプレサミットには、GPEからはチャールズ・ノースCEO代理が出席しました。

9月の「国連教育の変革サミット」は、1ページ目で紹介した2022年HLPFと併せて、SDG4「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」の進捗状況を確認する重要な機会です。

この「国連教育の変革サミット」 に向けたプレサミットでGPEは、教育資金に関するアクショントラックを世界銀行との共同でリードし、チャールズ・ノースCEO代理は、資金調達なくして教育の変革はありえないことを強く訴えました。

さらに、GPEの幹部、パートナー国の教育大臣、そしてGPEのユースリーダー達が主要な会議に参加しました。 ユースフォーラム、ジェンダー変革教育、Safe to Learnとの共同開催による学校内暴力撲滅、UNESCO、UNHCR、UNICEF、ECWとの共同開催による緊急教育対応メカニズムと資金調達などを含む幅広い課題を対象とした多くのイベントに参加し、 パートナーシップの幅広さと強さを示すことができました。

GPEやGPEのパートナーが参加する「国連教育の変革プレサミット」のプログラムの一部

日本で活躍するGPEユースリーダー達の紹介

GPEでは現在18カ国、42名のユースリーダー達が活躍しています。ユースリーダー達は、世界の教育の課題や開発について情熱を持つ18歳から30歳の若者であり、ボランティアとしてGPEの活動に関わっています。日本からも現在3名がGPEのユースリーダーとして活動しています。彼らの教育やGPEへの思いを自己紹介と共に紹介します。

GPEユースリーダー達による、遠藤彰氏へのインタビュー

GPEユースリーダー達が、在シリア日本国大使館シリア臨時代理大使兼シリア特別調整官の遠藤彰氏へインタビューを行い、脆弱な紛争国の子どもたちを支援する日本の取り組みや、教育に対するODA政策についてお話を伺いました。

日本は第4回国際教育の日(1/24)にGPEに850万米ドルの拠出を表明しました。その資金の大半は紛争中の国々にあてられ、620万米ドルはイエメンに、160米万ドルはシリアの支援に用いられる予定です。 残りの約70万米ドルはGPE基金として用いられ、各国の教育セクター計画の策定・実施の支援に役立てられます。

日本のプレッジについて詳しく知るために、2人のGPEユースリーダーが、在シリア日本国大使館特別調整官兼臨時代理大使の遠藤章氏に、脆弱な紛争国の子どもたちを支援する日本の取り組みや、教育に対する政府開発援助(ODA)政策についてインタビューしました。

以下にユースリーダー達の遠藤彰氏への質問を紹介します。

インタビュー全文はこちらからご覧ください。

Q.日本がG8を主催した2008年には、「万人のための教育-ファスト・トラック・イニシアティブ(EFA-FTI、GPEの前身)」という重要なドナーとの会議も開催されました。2023年に開催されるG7サミットで、日本がSDGs4についてどのようなことを予定されているのですか?

Q.シリアの子どもたちが教育で直面している課題と、それに取り組むための日本の優先順位は何でしょうか。また、GPEのシリア支援に期待することは何ですか?

Q.日本のODAの教育政策「平和と成長のための学びの戦略」に大変興味を持っています。国際社会が「教育の変革」に向かっている今、日本もODA戦略を見直すべきとお考えでしょうか。

Q.日本はODA政策の中で、人間の安全保障の推進を優先していると聞いています。特に脆弱な国や紛争国において、子どもたちが直面する課題を克服するために、日本はどのような戦略をとっているのでしょうか。

インタビュー全文はこちらからご覧ください。

GPEユースリーダー達による、 遠藤彰氏(在シリア日本国大使館シリア臨時代理大使兼シリア特別調整官)へのインタビュー

GPEのユースリーダー達は、在シリア日本国大使館の遠藤彰シリア臨時代理大使兼シリア特別調整官へのインタビューを実施し、脆弱な紛争国の子どもたちを支援する日本の取り組みや教育に対する政府開発援助(ODA)政策について伺いました。

日本は最近、GPEに850万ドルの拠出を表明しました。その資金の大半は紛争中の国々にあてられ、620万米ドルはイエメンに、160米万ドルはシリアの支援に用いられる予定です。 残りの約70万米ドルはGPE基金として用いられ、各国の教育セクター計画の策定・実施の支援に役立てられます。

日本によるプレッジをより詳しく知るために、GPEのユースリーダー2名が、在シリア日本国大使館シリア臨時代理大使兼シリア特別調整官の遠藤彰氏に、脆弱な紛争国の子どもたちを支援する日本の取り組みや、教育に対する政府開発援助(ODA)政策についてインタビューしました。

参加者紹介

Ayesha Farahさん:イギリス系ソマリア人。グローバル教育の熱烈な支持者であり、若者の参加の力による変革に尽力しています。

中野友絵さん:日本人。すべての人にとって質の高い教育が不可欠であると固く信じており、特に幼児教育に関心を持っています。

遠藤彰氏:在シリア日本国大使館シリア特別調整官兼臨時代理大使。

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Ayesha Farahさん:日本がG8を主催した2008年には、「万人のための教育-ファスト・トラック・イニシアティブ(EFA-FTI、GPEの前身)」という重要なドナーとの会議も開催されました。2023年に開催されるG7サミットで、日本がSDGs4についてどのようなことを予定されているのですか?

遠藤彰氏 :ご指摘の通り、日本は過去のG7/G8議長国において、教育分野での取り組みを行ってきました。例えば、G7伊勢志摩サミットでは、女子教育の重要性に光を当てました。来年のG7サミットでは、これまでのG7の成果や今年のドイツ議長国としての優先事項を踏まえ、どのような成果が得られるか検討したいと思います。

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Ayesha Farahさん:シリアの子どもたちが教育で直面している課題と、それに取り組む日本の優先順位について教えてください。また、GPEのシリア支援に期待することは何ですか?

遠藤彰氏: 2011年にシリア危機が勃発して以来、2022年はシリア・アラブ共和国での紛争は11年目を迎えます。家族やコミュニティは、暴力、移住、社会経済的な困窮、パンデミックによる健康被害、トラウマを経験し続けています。

UNOCHAは2020年に、国内では、避難生活、敵対行為にさらされること、基本的な商品やサービスへのアクセスが制限されることによる脆弱性から、その年に470万人の子どもを含む1110万人以上が人道支援を必要とするだろうと述べています。

紛争は、SDG4達成に向けた進捗を妨げています。シリア危機以前は、ほぼすべての子どもたちが初等教育に就学しており、中等教育の就学率は76%でした。紛争の悪化により、特に弱い立場にある多くの子どもたちが学校に通えていません。

日本はシリアと長年にわたり関係を築いてきました。2012年以降、日本は国際機関を通じて、シリアとその周辺国に32億米ドル以上の緊急・人道支援を提供してきました。日本は、シリアにおける人道支援へのアクセスを強化するために、国際社会と緊密な連携を続けていきます。

シリアへのプレッジは、困難に直面しているすべてのシリア人に人道支援を届けるという、日本の揺るぎないコミットメントの一環です。日本は、GPEがシリアのすべての子どもたちが質の高い教育を受けられるように支援することを期待します。

2014年6月2日、レバノン・ベイルートのBourjhammoud Public School #2で、数学の授業中に学校の先生であるMerna Faddoul(中央上)の話を聞くシリア難民の学生たち。(Credit: Dominic Chavez/World Bank)

中野友絵さん:日本の教育に対するODA政策「平和と成長のための学びの戦略」に大変興味を持っています。国際社会が「教育の変革」に向かっている今、日本の教育に関するODA戦略も見直すべきとお考えですか?

遠藤彰氏:「平和と成長のための学びの戦略」は、2015年9月の国連サミットでSDGsが採択されたことを機に、日本が発表した教育分野における国際協力に関する政策的な方向性です。

この方針では、相互学習による質の高い教育をビジョンとして掲げ、次の3つの指針を掲げています。(1)包括的で公平かつ質の高い学習を実現するための教育協力、(2)産業・科学技術人材の育成と持続可能な社会経済発展のための教育協力、(3)教育協力のための国際・地域ネットワークの構築と拡大。

現在、この方針に対する外部評価が行われており、評価の勧告に基づいてこの方針が改訂される予定です。

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中野友絵さん:日本はODAの中で、人間の安全保障の推進を優先していると聞いています。特に脆弱な国や紛争国において、子どもたちが直面する課題を克服するために、日本はどのような戦略をとっているのでしょうか。

遠藤彰氏: 日本の開発協力大綱では、人間の安全保障の推進を優先しており、これは日本の開発協力の根幹にある原則です。この原則に基づき、日本は子どもや女性、障害者といった社会的弱者の支援に力を入れてきました。

また、人間の安全保障を推進するために、日本は開発協力大綱において脆弱な紛争国を支援する方法として平和構築を優先し、紛争から復興・開発までのあらゆる段階において、子どもを含む個人の保護とエンパワーメントのための努力を強調してきた。

実際、国際社会による平和構築への支援額は2018年には51億7500万ドルで、ODA全体の約2.5%を占めています。これは、平和構築への援助額においては、他の国の中でも8番目に大きな額です。

日本がGPEに対してシリアとイエメンの教育プログラムを支援することを約束したことは、GPEの開発協力大綱に沿ったものです。日本政府は、シリアとイエメンの子どもたちの継続的な教育支援に貢献できることを喜ばしく思います。

聴覚障害者福祉リハビリテーション協会で、聴覚障害のある生徒と向き合う先生。開発社会基金は、教師への研修や機材の提供を通じて、同センターを支援しています。イエメン共和国(Credit:Dana Smillie / 世界銀行)

Ayesha Farahさんと中野友絵さん:日本は最近GPEへのプレッジを表明しました。日本の教育支援へのコミットメントについてさらに詳しく教えてください。

遠藤彰氏:日本は今年、GPEに合計850万ドルを拠出することを表明しました。620万ドルはイエメン、160万ドルはシリアに、残りはGPE基金が各国の教育セクター計画の策定・実施の支援に役立てられる予定です。

日本は、最も弱い立場にある恵まれない子どもたちの教育支援を重視しており、今後も国際社会と連携し、SDG4達成に向けた支援を強化していきます。

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インタビューでは、遠藤氏から国際平和と安全保障への関心と情熱から、外交官を目指した経緯についてお話しいただきました。

また、遠藤氏は2人のユースリーダー達に、なぜ人道支援に情熱を注ぐのかを尋ねました。これに対し、Ayesha Farahさんは、家族が英国に移住する前、ソマリアで危険な目に遭い苦しむ子どもたちを目の当たりにし、自分もその一人だったかもしれないと思った経験を語りました。

また、教師になるか人道支援に携わるのかのキャリア選択の際には、19歳のときにタンザニアで幼児教育に携わった経験から、教師になる以外にも多くの子どもたちを学校に通わせる方法があることに気づいたことを紹介しました。

また、中野友絵さんさんは、質問に対して「日本は戦争から復興したのだから、脆弱な国や紛争の影響を受けている国を支援するために、日本ができることはたくさんあると感じている」と答えました。

インタビューの最後に、2人のユースリーダー達は遠藤氏に感謝の意を表し、日本が国際社会の一員として教育の質の向上に貢献できるよう、今後も歩みを続けることを期待することを述べました。

英語の原文:GPE Youth Leaders’ Interview with Mr. Akira Endo, Special Coordinator for Syria and Chargés d’Affaires ad interim, the Embassy of Japan in Syria