「教育の変革」に関する教育大臣会合と閣僚級コミュニケ

パリで開催された「国連教育の変革プレサミット」に参加した閣僚たち
出典:GPE/Emmanuelle Jacobson-Roques

「国連教育の変革プレサミット」では、 80以上のGPEのパートナー国を代表する教育大臣達が集まり、 世界中の子どもたちの未来を脅かす前例のない教育と学習の危機に対処するため、変革的行動を動員することを決意し、閣僚級コミュニケが発表されました。

閣僚級コミュニケの中では、パートナー国の教育大臣達から、COVID-19の影響に加え、縮小する世界経済、食糧とエネルギーの不足、債務負担の増加、気候危機の悪化により、大きな学習損失が生じている緊急課題に直面していることが示されました。

これらの課題に対して教育を大規模に変革する必要性を訴え、 21世紀にふさわしい、公平で包括的、かつ強靭な教育システムを通じてアクセス、学習成果、男女平等を加速させることの必要性を強調し、国際社会に対して、以下の要求が示されました。

•援助の効率化、調和、変革に向けた国の優先事項や公約、そして教育の進歩の主な障害に対処するための制度との整合性を高めること。

•債務削減イニシアティブを含め、各国が教育に投資するための財政的余地を拡大することの支援を通し、教育資金をより多く動員すること。

•特に気候変動の悪影響に対処し、紛争や危機における教育を保護するために、特に最も周縁化された子どもたちにデジタル学習を提供する能力を向上させるなど、状況に応じた解決を支援する地域、国、グローバルなパートナーシップを強化し多様化させること。

「大規模な教育の変革に関する閣僚級コミュニケ」の詳細はこちら

2021年12月の理事会におけるGPE理事会議長の発信

GPE理事会議長ジャカヤ・キクウェテ氏。(Credit: GPE)

2021年12月7日から10日にかけてGPEの理事会がオンラインで開催され、GPEにとって重要な複数の事案が議論、承認されました。

GPE理事会議長と副議長は理事会の冒頭で、 新型コロナウイルス感染症により学習危機への対応が後退していることへの認識を示し、最も必要な子ども達に教育を届けるために、機敏さ、適応性を重視し、既成概念にとらわれない考え方で、理事会が対応の水準を高める必要があることを呼びかけました。以下に理事会の議題の一部を紹介します。理事会ではさらに多くの議題が議論されました。詳しくはこちらをご覧ください。

GPE2025の運営モデル:GPEの全活動へ人権の強化やジェンダー平等の観点を導入した GPE2025運営モデルのパイロット6カ国での展開に関する、最新情報が共有されました。

GPEマルチプライヤー:GPEマルチプライヤーの指標となる配分を承認する権限を事務局に委譲することを承認、配分確保に必要な時間短縮につながりました。またマルチプライヤーへのアクセスが困難な国々に新たな協調融資の選択肢を提供する革新的な資金調達方法である「先行型協調融資」の運用アプローチも承認されました。

2021 成果報告書: 前戦略計画である「GPE2020」の期間を対象とした2021年成果報告書に関して、学習成果の向上、ジェンダーギャップの解消、教育資金の増加における進展が示されました。

東京栄養サミットプレイベントに向けたアリス・オルブライトCEOのスピーチ

RESULTS JapanとWFP共催により、 12/6(月)に東京栄養サミット2021のプレイベントが開催されました。会場では、アリス・オルブライトCEOによるスピーチが日本の学生・ユースの笹川大輔さん(創価大学)により代読されました。

アリス・オルブライトCEOによるスピーチ全文(日本語)

日本の国会議員の皆様、RESULTS JapanとWFPの皆様、そしてご来賓の皆様、こんにちは。日本政府が東京栄養サミット2021と教育のためのグローバル・パートナーシップ「GPE」をご支援していただいていることに感謝申し上げます。そして、このような場でお話しできることを大変嬉しく思います。

子ども達が栄養のある食事をとることと、質の高い教育を受けることには、深いつながりがあります。子どもが食事をとることで、よりよく学ぶことができるようになります。また、教育を受けた子どもは、より健康である可能性が高くなります。 この好循環により、命が救われ、人々はよりよく生きることができるようになるのです。

しかしながら、本日では何百万人もの子どもたちが、十分な食事を得られず、学習の機会を奪われています。低所得国の7,300万人の子どもたちが、毎日空腹のまま学校に通っているという事実には衝撃を受けます。空腹であれば、学習に集中することがいかに難しいかは、研究を重ねた科学者でなくても理解できるはずです。

すべての子どもたちが本来持っている自身の可能性を最大限に発揮できるようにするには、教育だけでなく、健康と栄養にも投資する必要があります。教育のためのグローバル・パートナーシップ「GPE」は、まさにそれを実現しています。

私たちは、低所得国の子どもたちに質の高い教育を提供することを目的とした、世界で唯一のパートナーシップおよび基金です。政府と協力して教育制度の改革を行い、現地で活動をしている開発団体・民間・財団等と協力して学校給食やその他のプログラムを支援しています。

昨年、GPEは、新型コロナウイルス感染症による影響に対応し、その回復を支援するために、23カ国の栄養に関連するプログラムに支援を行いました。さらにGPEは国連、WFP、その他マルチの機関による新しいパートナーシップ、「学校保健と栄養の強化」に参加しました。そのパートナーシップでは、GPEは、栄養に関連する支援におけるエビデンスや好事例の共有を支援しました。

なぜなら、明らかなことが1つあります。学校給食プログラムにより、子どもたちが学校に通い、学ぶことができるということです。なぜ、それが重要なのでしょうか。

なぜなら、教育を受けた子どもたち、特に女子は、家族が貧困から抜け出すのを助け、そしてその家族はより健康になるからです。しかし、女子たちはしばしば教育を受ける機会を失っています。健康状態の悪さ、ジェンダーに基づく暴力、女子に優しい学校の衛生施設の不足、差別など、理由はさまざまです。

私の言葉をそのまま受け取るのではなく、ぜひ、数値をみてください。世界中で2億6千万人の少女と少年が学校に行っておらず、さらに数百万人が学習できていません。私たちはこの現実を受け入れることはできません。私たちには、行動を起こす、道徳的な義務があります。

日本は、学校に栄養プログラムを取り入れるという点で世界の見本になっています。そして日本の学校給食プログラムに取り入れられている「食育」は、開発途上国のモデルとなっています。多くの国が日本から学べることはたくさんあります。でも、日本にできることもたくさんあります。

私は、日本政府がGPEとのパートナーシップを深め、日本が行っているグローバルな活動をGPEへの意欲的な貢献に結びつけることを強く求めます。私たちは、世界の最も貧しい子供たちに教育を施すために50億ドルの資金を集めようとしています。それには、日本の協力が不可欠です。

ともに、すべての子ども達の教育と未来を変えていきましょう。

ありがとうございました。

GPEによる栄養と教育に関する取り組み

東京栄養サミットで日本は、今後3年間で3,000億円の支援を実施することを表明し、途上国の栄養状況改善に向けたリーダーシップを示しました。 また、サミットの中では、日本が長年の実績を持つ学校での食育の推進などの経験や実践が海外でも着目され、開発途上国での栄養改善に向けた取り組みにも活用されていることなど、日本による世界の栄養改善の貢献にも焦点が当てられました。

GPEでは、WFPやその他のパートナーと協力し、最終的にはその国の資金で政府自身が運営できることを目指し、学校給食プログラムを設計・実施するための各国の取り組みを支援しています。 2020年にはCOVID-19の影響緩和を目的に8カ国の栄養プログラムに130万ドルを、さらにCOVID-19からの回復支援を目的に15カ国の栄養プログラムに680万ドルを提供しました。

さらに、GPEでは2030年までに全ての子どもに健康的で栄養価のある給食の提供を行うための新たなイニシアチブ、「学校給食連合(School Meals Coalition)」に加盟しました。この連合は60カ国以上、55のパートナーで構成され、学校給食の質の向上と学校給食システムの強化を目指しています。GPE以外ではWFP、FAO、UNICEF等の国際機関も加盟しています。GPEでは学校給食プログラムへの投資を通して、 子ども達の身体的・認知的な発達に不可欠な、健康的で栄養価の高い学校給食の提供に貢献し、 最も脆弱な子どもたちを支援しています。

事例紹介(セネガル): コロナ禍でも学校給食が生徒の学びを後押し

セネガルでは、COVID-19対応の一環として、GPEとWFPの支援を受け、「学校給食プログラム」を開始しました。これは、健康危機による児童生徒の教育への影響を緩和し、脆弱な児童生徒の学習の継続を支援することを目的としています。詳細はこちらをご覧ください。

G7とGPEに関連する報道について

6/11-6/13に開催されたG7サミット関連の報道で、世界各国のメディアはGPEへの資金拠出について報道しています。G7の中でも、日本はまだプレッジをしておらず(6月15日現在)、先進国としての責任を果たすことが求められています。

6月21日(月)開催オンラインイベント!「手をぴんと挙げよう!北欧の夏祭り」— Raise Your Hand Nordic Midsummer Festival —

教育先進地域である北欧諸国は、教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)の重要なパートナーです。オンラインイベント「手をぴんと挙げよう!北欧の夏祭り(Raise Your Hand Nordic Midsummer Festival)」は、北欧の代表や他の著名人が、新型コロナウィルス(COVID-19)による世界の学習危機を重要課題として取り上げ、国際社会がCOVID-19による世界的な経済・社会への影響に対処する際に、教育資金を優先的に確保することを約束するためのプラットフォームとなります。

ケニヤッタ大統領、GPEパートナー国に教育資金の優先順位付けを要請

GPEのパートナー国では、教育資金の3分の2以上が国内資金で賄われているため、2025年までにパートナー国からの強力なコミットメントを得ることで、すべての子どもたちが明日の経済に必要な21世紀型スキルやグリーンスキルを学び、身につけることができるようになる。

2021年5月19日 Victoria Egbetayo(GPE事務局)、Margaret Irving(GPE事務局)、Jennifer Bowser Gerst(GPE事務局 )

A boy writes on the blackboard in Burundi.
Credit: UNICEF Burundi
A boy writes on the blackboard in Burundi.
Credit: UNICEF Burundi

英国のジョンソン首相とケニアのケニヤッタ大統領が共同で開催したGPEの「Raise Your Hand Financing Campaign」では、国内資金調達が前面に押し出されています。これは、GPEの新戦略であるGPE2025と新しい運営モデルの重要な一部でもあります。GPE2025と新しい運営モデルは、量、公平性、効率性に焦点を当てた国内資金調達のために、状況に応じた総合的なアプローチを推進することを目的としています。

教育:政府ができる最高の投資

COVID-19の危機により、既に過密状態にある教育制度の混乱がさらに深刻化している。この混乱の深刻化、経済的なショック、そして国家財政圧力の増大が相まって、教育資金の調達に致命的な影響を与える可能性がある。しかし、教育は明らかにパンデミックの犠牲者である一方で、適切な資金が提供されれば、長期的な回復のための解決策にもなり得る。
2021年2月25日、投稿者:国際教育議連上院議員Dr Getrude Musuruve Inimahと国際教育議連上院議員Hon Harriett Baldwin MP

Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch
Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch


3月23日(火)に「コロナ禍における女子教育:日本の役割」をテーマにウェビナーを開催しました。

3月23日(火)に「コロナ禍における女子教育:日本の役割」をテーマにウェビナーを開催しました。