国際教育の本の紹介

最近発売された国際協力の本を紹介します。「Japan‘s International Cooperation in Education 」(Springer)と「国際教育協力の系譜」(東大出版会)です。

「Japan‘s International Cooperation in Education 」萱島信子、黒田一雄、北村友人

1950年代から2010年代半ばまでの教育分野における日本の開発協力の歴史を包括的に記録し、その変遷と特徴を詳細に考察した初の英文書籍です。

政策文書とプロジェクトデータを活用した歴史・実証分析を中心に各章が展開されていて、教育分野における新しい協力の形を探求する可能性を提示していると同時に、日本の国際教育協力における3つの主要なサブセクターである基礎教育、職業・技術教育訓練、高等教育を中心にまとめられています。また、日本の国際教育協力への貢献として、国際機関、NGO、青年海外協力隊といった他のステークホルダーと、ODAの円借款などのプログラムの役割と成果についても分析しています。

「国際教育協力の系譜」黒田一雄

本書は、「国際教育協力」の概念規定に関する論考から始まり、日本における明治後期から現代までの歴史を概観しながら、国境を越えた教育政策形成を描いた異色の「近代日本教育史」です。

戦前・戦中の留学生招へいから、戦後・高度経済成長期の「人づくり」協力、グローバル化の中の高等教育協力、EFA・SDGs時代の基礎教育協力へと、日本の国際教育協力は歴史的に多様な展開を見せてきました。その中で日本における国際教育協力とは何だったのか、それは何のために行われてきたのか、それが追求してきた価値・理念は何だったのかを考察し、今後の日本の国際教育協力が目指すべき方向性を議論しています。

カンボジアのGPEについてJICA教育政策アドバイザーの松田さんに伺いました

インタビューに答える松田さん

既にお伝えしていますが、JICA含む外部の資金調達によりカンボジアでGPEのマルチプライヤーが承認されました。その立役者として現地で業務に当たっていたJICA教育政策アドバイザーの松田徳子さんにインタビューさせて頂きました。
GPEマルチプライヤー承認によってどのような変化が出たのか、日頃、同国の教育政策の立案支援するにあたり感じたことなどを伺いました。
外務省教育ODA担当官(任期付職員)として、GPEの前身である当時のFTIを推進していた経験も、現在の業務にいきているそうです。

マルチプライヤーのメリットと承認までの苦労
マルチプライヤーのメリットは、大きく2つあると教えてくれました。
①JICAのプレゼンスが高まったこと
最近、教育省・ドナー会合においてGPEが取り上げられることも多いですが、その際、教育大臣や長官は、JICAのマルチプライヤーへの貢献についても言及されるとのこと。カンボジア教育セクターでは、もともとJICAのプレゼンスは高く、特に教師教育ではリードドナーとされているが、さらにプレゼンスが高まったと感じるそうです。

②JICAがリードしてきた教員養成課程学士がメインストリームされたこと
カンボジアにおけるGPEコンパクトの策定過程にJICAが参画したことで、これまでJICAが旗振り役を務めてきた教員養成改革が、実は教育セクター全体の改革のカギであるという認識が共有されたそう。GPEについては、マルチプライヤーだけではなく、STGやSCGにおいても、教師教育をメインストリームしていこうという機運が高まっており、JICAへの相談も多いとのこと。

戸惑ったこと
GPEについて松田さんが最初に戸惑ったことは、GPE全体の仕組みはもとより、そのメリットとリスクが分かりにくかったことだそうです。例えば「コファイナンス」など特殊な専門用語が多く飛び交っていたためとのことですが、ユニセフ(現地GPE調整機関)、GPE事務局などで活躍している日本人職員と非公式なやりとりを重ねることで、GPEのスキームへの理解を深めていったと語っていました。 また実際にJICAが、GPEマルチプライヤーのコファイナンサーとして名乗り出るにあたっては、JICA職員のみなさまの粘り強い内部調整があったことを強調していました。組織内のチームワーク、他機関とのパートナーシップ、そして組織を超えた日本人間の交流の積み重ねがカギだったようです。

4年制教員養成大学の学生の熱意
昨年8月に4年制課程の卒業生が初めて誕生。今年1月から各地で教鞭をとり始めました。
教員養成大学の学生はほとんどが地方出身の学生だそう。朝7時から夕方まで授業を受けた後、クラブ活動をしたり、英語を学んだり、パソコンをしたり。多くの学生たちが、都会で過ごす4年間を満喫して自己研鑽に励んでいたことが印象的だったと松田さんは話していました。

プノンペンの教員養成大学の看板
(第1期生寄贈)

また、教員養成大学の学生たちのコミットメントも素晴らしく、例えば学生の多くは経済的に厳しい生活を送っている中で、卒業時にはお金を出し合って教員養成大学に看板を寄贈したり、コロナ禍で学校閉鎖が続いた時にも、ボランティアで村に出向いて低学年の児童に勉強を教えたりなど、真摯な姿に胸を打たれたと松田さんは語っていました。

バッタンバンの教員養成大学の学生
(コロナ禍に村に出向いて学習支援)

カンボジアでのリサーチカルチャー
4年制養成大学になったことで変わったことの1つが授業研究をすることになった点だそう。カンボジアではリサーチカルチャーがとても弱いため、トピックの見つけ方やアクションリサーチのやり方など一連の流れを指導したそうです。学校の教育の質を上げるため、先生が一方的に話す授業ではなく、生徒たちが疑問をもったり自分で考えたり出来るような授業を自ら作っていかれる先生になれるよう、大掛かりなプロジェクトとして取り組んでいました。

松田さんが養成大学一期生の卒業生の授業を視察した時の様子も教えてもらいました。
小学2年生のクメール語の授業を見学したそうなのですが、様々なメニューを出して子どもたちが注意をそらさないように、ずっと授業に参加出来るようにしていたのが印象的だったとのこと。また、複雑な言語であるクメール語ですが、前回の授業で習っていたものをクラス全員が書けるようになっていたのを見て嬉しくなったそうです。

カンボジアの教育事情とJICAの教員養成大学支援
ポルポト政権下で教師などの知識層が虐殺されたカンボジアでは、1979年からゼロからの国づくりが進められました。急ごしらえの教育開発を迫られた政府は、短期の教員養成制度で対応してきましたが、JICAの支援を受けて、教員養成大学(TEC)2校を設立し、2018年より4年制の教員養成課程を試行してきました。
・教員養成大学建設計画(無償資金協力、2017~2021)
・教員養成大学設立のための基盤構築プロジェクト(2017~2022)

昨年8月にTEC第一期生が卒業。学士号を取得した卒業生たちが、今年1月から各地で教鞭をとり始めました。子どもたちの学びをいかに改善していくかがカンボジアの大きな課題です。

今後の松田さん
これまで多くの調査研究を通して、4年制の教員養成課程で学ぶ学生の比較優位性などを示すと共に、TECの全国展開のための戦略計画策定に向けた政策提言を行ってきたそうです。また今後は、他ドナーと協調しながら、TECの全国展開を支援していきたいと語っていました。

教育省、ドナー、研究者などに向けた
政策提言をする松田さん

松田徳子(まつだのりこ)さんプロフィール
2021年8月からJICA教育政策アドバイザーとしてカンボジア教育省に勤務中。専門は公共政策。これまでガーナ、ドミニカ共和国、ネパールなどにも赴任。日本国内では、外務省で教育ODA政策担当官、常葉大学教育学部非常勤講師なども歴任。マンチェスター大学大学院教育政策研究科修了。

「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」にGPEユースが登壇

7月4日(火)16:30から19:30に開催される広島大学と筑波大学主催の「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」にGPEユースの高橋 真理奈が登壇します。

参加受付は明日30日までです。詳しくはこちらをご覧ください。

第4回Friends of Educationを「日本の国際教育協力機関とGPEの連携」というテーマで開催しました

6月13日に第4回Friends of Educationを開催。鈴木憲和議員、高橋光男議員、牧島かれん議員、山本ともひろ議員(五十音順)を始め、NGOや民間企業・財団、アカデミアの皆様にご参加いただきました。

写真右から高橋議員、牧島議員、鈴木議員、山本議員

プログラム
1.はじめの挨拶:GPE事務局
2.モンゴルの連携事例:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンから報告
3.パプアニューギニアの連携事例:JICA、GPEから報告
4. ディスカッション
5.終わりの言葉:GPE事務局

モンゴルの連携事例: セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン豊田モンゴル国事務所ディレクター
・GPEの枠組みを活用しグラントエージェント(資金運用機関)になると、より直接的に相手国の教育政策に関与でき、組織運営面でも財政的な恩恵を受けられ、活動の幅も広がる。
・GPEの仕組みは、複数の教育協力機関の協働が体制的に実現しやすいので、同じ目的の達成に向け、情報やリソースを有効利用できる。
・複数の機関が似ているけれども違うアイデア・施策・経験などを持ち寄ることで、より良い技術・モノ・専門的サービスを相手国政府に提供できる。

パプアニューギニア(PNG)の連携事例:JICA 木田教育政策アドバイザー
・現在、教員養成や教科書・指導書配布等のコンポーネントを含むBEST PNG (Boosting Education Standard Together in PNG)プログラムを実施中(全体予算約15億円、期間:2019-2023年末予定)。JICAは同国での調整機関コーディネーションエージェンシー(CA)を担っている。
・JICA技術協力プロジェクトで小学校3~6年生の理数科教科書が開発した後、GPE資金を活用して1年生2年生の算数教科書に着手したほか教科書配布、教員養成学校への支援、電子データ化支援、タブレット供与などで民間企業、日本大使館、総務省、文部科学省、大学等と連携した“All Japan”の教育支援を実現している。

人間開発部・亀井部長からも、PNG以外でも様々な形でGPEとの連携を進めており、また将来的なグラントエージェント(GA)受託念頭に資格取得のための手続きを行っていると説明がありました。

発言するJICAの担当者

パプアニューギニアの連携事例: GPEタリク上級教育専門官
・320万USドルのGPEマルチプライヤーを通じて、日本政府から1060万USドルの追加融資を受けた。
・GPEは2002年から国の教育計画策定のサポートを行っており、これまで4,000万USドルを投じている。
・2022年5月からCAの役割を担っているJICAと協力して、算数と理科のプロジェクトでプログラムを実施中。

GPE担当者はオンライン参加のため資料はスクリーンに投影されました

鈴木憲和議員からの質問
・日本企業が関わっている案件はあるか。
・学校図書社はビジネスベースかCSRか。

高橋光男議員からのコメント、質問
・G7で国際教育協力の重要性が確認されたことを評価。引き続き継続的な支援を求めていきたい。
・教育の質はどのように測定可能なのか。
・高橋議員はツイートFacebookインスタグラムブログでこの会のことを報告して下さいました。

牧島かれん議員からのコメント
・各国の現状や取り組みを学びながら日本も国際教育の分野でもしっかりと責務を果たしていきたい。

山本ともひろ議員からの質問
・25年前にモンゴルを視察した。「マンホールチルドレン」の現状は?
・パプアニューギニアも視察経験があり、現在の治安について
・山本議員も、この会の様子をツイートして下さいました。

Friends of Education:国際教育協力に関わる多様なステークホルダーで構成されるグループ。日本が教育協力の分野でどのようにビジビリティ―を高め、マルチの枠組みと連携をしながら効果的に貢献していかれるのかを議論しています。

ODA大綱改定版が公表されました

6月12日に改訂されたODA大綱が公表されました。

重点政策の中で「複雑化・深刻化する地球規模課題への国際的取組の主導」の項目に教育が含まれ、
”「人間の安全保障」を推進するために不可欠な「人への投資」として極めて重要である。万人のための質の高い教育、女性・こども・若者のエンパワーメントや紛争・災害下の教育機会の確保の観点も踏まえて、引き続き強力に推進する”
と記されています。全文はこちらのページに掲載されています。

エチオピアの学校の様子
出典:GPE/Alexandra Humme

KIXの提案募集(ET8月28日締切):学校におけるジェンダー平等と社会的包摂の達成

GPEと国際開発研究センター(IDRC)の共同事業であるKIX(Knowledge and Innovation Exchange)の一環として、
応用研究プロジェクトの提案を募集します。

この募集の目的は:
・学校におけるジェンダー平等と社会的包摂の課題に対処するための革新的なアプローチの影響を拡大する方法に関する証拠の作成
・関連するステークホルダーが、その知識やイノベーションを活用するための能力の強化
・教育システムにおける政策と実践を改善するために開発されたエビデンスの活用

選ばれた提案には、以下の範囲の助成金が授与されます:
・1つの国を対象としたプロジェクトには、30万~50万カナダドル
・3カ国以上の国々で、その国の優先課題に直接関連するものをターゲットとするプロジェクトには、80万カナダドル~150万カナダドル。
・地域レベルまたはグローバルレベルで、より一般的なインパクトをターゲットとするプロジェクトで、少なくとも3カ国で活動を行い、ツールキットやプラットフォームなどの公共財を生み出す場合、最高250万カナダドル。

募集は、個々の組織、または最大3組織からなるコンソーシアムからの応募を受け付けています。
一般的な応募資格と、3種類の助成金のそれぞれの具体的な応募資格は、こちらの案内募集要項をご覧ください。

応募の締め切りは2023年8月28日(東部標準時)です。

G7首脳宣言を受けてラウラ・フリジェンティCEOのコメント

一昨日まで広島で開催されていたG7サミット。首脳宣言では教育の項目が設けられると同時に、GEPをはじめとする国際機関が言及されました。

これを受けて、弊基金CEOラウラ・フリジェンティがコメントを発表しました。英語の原文はこちらです。

教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)は、成長、回復、安定の原動力として教育を優先するというG7首脳の新たなコミットメントを歓迎するとともに、今年のG7においても教育が重要課題に掲げられるよう、リーダーシップを発揮された日本そして「教育チャンピオン」である岸田首相に謝意を表します。


G7首脳のコミュニケは、「職業教育を含め、包摂的で公平な質の高い教育の確保に向けて前進することにコミットし、強靱で生産的な社会を築くために、全ての人の生涯学習の機会を促進する」ことを求めています。


世界が未曾有の学習危機に直面している今、G7各国によるこのリーダーシップは極めて重要です。この危機に対処できなければ、社会的、政治的、経済的に悲惨な結果を招き、全世代の未来を危うくすることになります。


政治的な意思だけでは、拡大するこの教育の緊急事態に対応することはできません。声明は、具体的な行動と、国内外を問わず教育への追加的なリソースに変換されなければいけません。


したがって、私たちは、「各国が最も疎外された子どもたちのために、より強固な教育システムを構築することを支援するための主要なパートナーである「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」や「教育を後回しにはできない基金(ECW)」、また、国連教育科学文化機関(UNESCO)や国連児童基金(UNICEF)を含む国連機関に対する継続的な支援を求める。」するというコミットメントをとても歓迎します。


G7を含むドナー国で経済活動が低迷し、援助予算や教育予算の割り当てが削減される中でこれらのメッセージが発信されたことは、注目に値すると考えます。


2年前、イギリスが議長だった年、G7各国はGPEが掲げる資金調達目標額の約半分である27.5億ドルを拠出し、GPEのパートナーシップに対して目標の資金額を確保するためにコミットすることを約束しました。ただし、この目標はまだ達成されておらず、4,600万人以上の女児に教育を提供し、G7が採択した女児教育の世界目標を達成するための進捗を妨げています。


来年のG7はイタリアが議長国となりますが、イタリアが教育をG7の恒久的な議題とし、最重要課題の一つとして位置づけることを期待しています。そうすることで、教育システムの変革を促し、経済発展を促進し、より緑豊かで平和な未来への道を切り開くことを議長国としてイタリアが後押しできるのです。


未来は、ただ受動的に待っているものではなく、私たち自身が今日、積極的に形作るものなのです。G7首脳宣言は、有意義でインパクトのある変化のために必要な条件を作り出すことに、私たちを一歩近づかせました。

私たちは、G7各国がこの勢いに乗り、この言葉を、私たちが直面している危機の緊急性と重大性に見合った、具体的な行動と実質的な財政的コミットメントに変えることを求めます。

G7首脳宣言に「教育」の項目が。GPEにも言及

開催中のG7広島サミットにて、20日夜、「G7広島首脳宣言」が発表されました。
原文はこちらです:
https://www.g7hiroshima.go.jp/documents/pdf/Leaders_Communique_01_en.pdf

首脳宣言では、
ウクライナ、核軍縮・不拡散、インド太平洋地域、世界経済・金融などの項目に加えて、「教育」という項目も盛り込まれました。


原文では
「We welcome the UNSG’s Transforming Education Summit (TES) in September 2022, and call for continued support to the Global Partnership for Education (GPE), Education Cannot Wait (ECW) and UN agencies including the UNESCO and UNICEF as key partners in helping countries to build stronger education systems for the most marginalized children.」とGPEのことにも言及されています。

外務省から発表されてた日本語訳の該当箇所はこちらです。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100507034.pdfより)

<教育>

  1. 我々は、職業教育を含め、包摂的で公平な質の高い教育の確保に向けて前進することにコミットし、強靱で生産的な社会を築くために、全ての人の生涯学習の機会を促進する。近年の危機は、子どもや若者、特に女児や最も社会的に疎外され脆弱な状況にある人々の教育へのアクセスの減少や学習機会の損失の増大につながっている。教育は全てのSDGsの目標を達成するための触媒であるため、我々は、特にCOVID-19のパンデミック以降において教育を堅持し、より強靱な教育システムを構築する重要性を再確認する。我々は、全ての学習者の教育機会を保護し、ジェンダー平等とあらゆる多様性をもつ全ての女性及び女児のエンパワーメントを、この点に関する世界の政府開発援助(ODA)を優先することを含め、教育において、また、教育を通じて推進するというG7のこれまでのコミットメントを堅持することを改めて表明する。我々は、2022年9月の国連事務総長による教育変革サミット(TES)を歓迎し、各国が最も疎外された子どもたちのために、より強固な教育システムを構築することを支援するための主要なパートナーである「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」や「教育を後回しにはできない基金(ECW)」、また、国連教育科学文化機関(UNESCO)や国連児童基金(UNICEF)を含む国連機関に対する継続的な支援を求める。我々はまた、教育が人権の一つであることに留意しつつ、基礎学習の重要性及び全ての学習者、特に子供たちが成長し、自らの福祉を増進するために必要な知識と技能を備えた質の高い学習機会を提供するため、G7がより公平かつ効率的な方法で人への投資を拡大する必要性を改めて表明する。我々は、より強靭で、包摂的で、かつジェンダー分野で変革的な教育のために、就学前教育から高等教育まで、ジェンダーに関連する障壁や根本的な差別的社会規範を引き続き打破する。我々は、若者間の国際交流、学生・研究者間の国際的な人材の移動及び循環、並びに高等教育機関や研究機関との間の協力を引き続き奨励する。我々は、教育を通じて経済成長を実現すると同時に、社会的課題の解決に貢献できる人材支援への投資の重要性を認識する。我々は、学校の指導・運営体制の整備も含め、全ての子どもが自らの可能性を発揮できる教育環境及び生涯学習の機会の整備に向けて努力する。これには、デジタル格差を拡大させないようにしつつ、少人数学級の推進、改善された情報コミュニケーション技術(ICT)環境の整備、教育・学習を支援するデジタル技術の効果的な活用を含み得る。

既にお伝えしていますが、G7教育相会合では弊基金CEOのビデオメッセージが会場で流されていました。

日本財団とベトナムの学校を視察。教育関係者と交流も

4月17日~19日、GPEと日本財団は、ユニセフとセーブ・ザ・チルドレンのベトナム代表とともに、ベトナムでの視察を実施。北部ラオカイ省とハノイにある複数の学校を訪問しました。GPEと日本財団は協業の機会を模索していて、今回の訪問は、政府関係者やすべてのパートナーから歓迎されました。

ラオカイ県にて視察団

視察団は、少数民族の子どもたちや障害を持つ子どもたちの教育上の課題やニーズについて、地域の関係者や親、子どもたち、教育関係者と交流する機会を持ちました。過去数十年の間に教育システムを大きく変革し、学習成果において目覚ましい成果を上げているベトナムでは、インクルーシブ教育における公平な機会のための、まさにラストマイルです。

次回Friends of Education予告

次回のFriends of Educationは6月上旬に開催予定です。テーマは「日本の国際教育協力機関とGPEの連携」を予定しています。

次回の目的:

・JICAやセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンがGPEと連携することでどのような相乗効果が生まれているのか、日本にとってどのようなメリットがあるのかを知る。

・教育協力を通じて日本のビジビリティ―を高めるために、多様なステークホルダー間でどのような連携が将来的に可能か検討する。

登壇予定者:JICA人間開発部担当者

      セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン担当者

      GPE上級教育専門官ら

2月のFriends of Educationの様子