【イベント】9.11から21年:アフガニスタンの女子教育のために日本は何ができるのか

Credit: Canada in Afghanistan

これまでアフガニスタンは、ドナー国やNGOなどからの支援を含め、教育システムを強化し、すべての子どもたちに教育を確保しようと努力していました。しかしながら、2021年にタリバンが政権をとって以来、特に少女や女性にとって、教育の継続性が危機にさらされています。

第1部では、アフガニスタンの教育制度の専門家やアフガニスタンの若者を招き、アフガニスタンにおける女子教育の課題、日本政府への期待、アフガニスタンの未来への希望についてお話しいただきます。このセッションでは、GPE(Global Partnership for Education)などの多国間パートナーシップの枠組みを最大限に活用し、アフガニスタンへの支援を継続することの重要性を訴えます。

第2部では、教育、開発、平和構築に関心のある20名の若者(18歳~30歳)を招き、アフガニスタンにおける女子教育の課題と日本政府の支援のあり方について議論します。 セッション2での議論の成果は、日本のGPEユースによってまとめられ、日本の若者からの政策提言として、日本の政策立案者に向けて発信される予定です。

日時:2022年9月11日(日) 6:00pm − 7:30pm(日本時間)

開催方法:オンライン

参加費:無料

参加方法:参加希望の方は下記リンクより事前登録をお願いします。(締切:2022年9月7日)

応募フォームリンク:https://forms.gle/pzjfMXQ3UMP8ZaHSA

主催:GPE Youth Ambassador Japan (Instagram, Twitter)

プログラム

第1部:アフガニスタンの専門家やアフガニスタンの若者・ユースによるお話し(6:00pm − 7:00pm)

対象:どなたでも参加可能。

– GPE Youth Ambassador Japanによる自己紹介・イベント目的説明

– 国会議員の先生方からのメッセージ

– アフガニスタンの教育システム(仮)(名古屋大学大学院国際開発研究科 内海悠二准教授)

– アフガニスタンの教育課題とGPEの教育支援(仮)(GPE 上級教育専門官 Javier Luque氏)

– アフガニスタンの若者・ユースからのメッセージ

– 終わりの言葉

第2部:若者を対象としたディスカッション(7:00pm − 7:30pm)

対象:教育や開発、平和構築に関心のある若者 (18歳 − 30歳)定員:20名

※ディスカッション形式の第2部は定員に達した時点で受付を終了します。

– ディスカッション

– ディスカッション内容の共有

– 終わりの言葉

※プログラムは現在調整中であり、一部変更になる可能性がございます。

ご質問、お問合わせ:GPE Youth Ambassador Japan(gpeyouthjp@gmail.com)、小田(moda@globalpartnership.org

イベントの最新情報は Twitter (@gpe_youth_japan) をフォローください。

登壇者

名古屋大学大学院国際開発研究科 内海悠二准教授

学術博士。早稲田大学大学院を修了後、ユネスコ(アフガニスタン、ヨルダン)及びユニセフ(東ティモール)にて、7年ほど教育運用情報システムの構築や教育セクター計画の策定業務に従事。現在は、アフガニスタンや東ティモールを主な対象として、教育と紛争、学校効果研究、比較教育研究を行うとともに、東ティモール教育省やアジア開発銀行(対象国:スリランカ)などで教育政策策定支援に携わっている。

GPE 上級教育専門官 Javier Luque氏

現在、GPEのアフガニスタンを担当。GPE以前は、世界銀行、米州開発銀行、国際通貨基金でシニア教育スペシャリストなどを歴任。

サイドイベント:持続可能な開発のための教育

より良い未来のために学びを変える:持続可能な社会のための教育」と題するサイドイベントが、日本が共同議長を務める教育フレンズグループとUNESCOの共催により、7月12日に開催されました 。 北村友人東京大学教授がモデレーターを務め、GPEからはチャールズ・ノースCEO代理と、 サラ・ビアドモア氏がパネル・スピーカーとしてスピーチを行いました。

このサイドイベントでは、持続可能な社会の実現に向けて、教育の変革力を活用する方法を明らかにし、持続可能な開発のための教育(ESD)の政策と実践がより良い未来の構築にいかに貢献できるかについて議論が行われました。

石兼大使は冒頭に挨拶で、不確実性の高い時代において、最善の方法は人への投資であり、教育は共通の課題に取り組み、SDGsを達成するために人々が正しい判断を下せるようにする最も強力なツールであることを強調しました。

チャールズ・ノースGPE CEO代理は石兼大使に対し、スピーカーとして招待されたことに感謝の意を示しました。さらにCOVID-19によって引き起こされた学習危機について触れ、気候変動リスクに対応するために教育の力を引き出すことの重要性、パートナーシップを強化し、 各国独自の取り組みを支援し、革新的な考え方や資源、資金を提供して、大規模な変革を進めていくことの必要性を述べました。

教育フレンズグループのTwitterより

公式会議:SDG4のレビュー(質の高い教育)

SDG4(質の高い教育をみんなに)のレビューに関する公式会議が7月6日に開催されました。議長を 経済社会理事会副議長(ボリビア)が務め、チャールズ・ノースCEO代理や石兼大使を含む教育大臣や国際機関からの17名代表が出席しました。

この会議では、 前回2019年のHLPFからのSDG4の進捗状況、COVID-19からの教訓、世界共通のSDG4の進捗を妨げる事項や懸念事項、他の目標やターゲットとSDG4とのシナジー、成功事例や政策、パートナーシップ、連携を推進させる方法の示唆などの観点からSDG4進捗の現状についてレビューが行われました。

石兼大使は教育フレンズグループの共同議長の代表として、9月の「教育変革サミット」の準備に積極的に取り組んでいることなどを述べ、不確実性の時代において、最善の方法は人への投資であり、教育は、共通の課題に取り組み、SDGsを達成するために、人々が正しい意思決定を行うことを支援する最も強力なツールであると強調しました。

チャールズ・ノースGPE CEO代理は先日パリで行われた「国連教育の変革プレサミット」では、80以上の低所得国の教育大臣達が、教育の変革のビジョンのために立ち上がったこと、政策リーダー達が9月の教育変革サミットを、このビジョンを実現するための大胆なコミットメントを行う場として活用すること、男女平等の実現を理論だけでなく行動に移すことの必要性を強調しました。

「SDG4のレビュー」に関する公式会議を動画で見る

教育フレンズグループのTwitterより

持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)における、GPEと日本のSDG4に向けたコミットメント

持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(High‒Level Political Forum on Sustainable Development: HLPF)が7/5-15にニューヨークで開催されました。これは2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」をレビューするためのグローバル・レベルでのフォローアップ・プロセスに位置付けられる会議です。

2022年のHLPFのテーマは「持続可能な開発のための2030アジェンダの完全な実施を進めながら、COVID-19から復興する」です。 また、持続可能な開発目標(SDGs)のうち、質の高い教育に関する4、に加えて、5、14、15、17 のレビューが行われました。

HLPFには、GPEからはチャールズ・ノースCEO代理が、日本からは国際連合日本政府代表部の石兼大使が出席しました。この2名が登壇したセッションについて本ニュースレターで紹介いたします。

教育支援における援助協調の枠組みに日本が参加する5つの理由

市岡氏(在モンゴル日本国大使館)、豊田氏(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)へのインタビュー

モンゴルでは、在モンゴル日本国大使館がコーディンネーション・エージェンシー(CA)(現地教育グループを取りまとめ、教育セクターの政策対話の調整を通して、相手国政府を支援する役割)を担い、セーブ・ザ・チルドレン・オーストラリア(SCA)がグラント・エージェント(GA)(資金運用機関)となりまた、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)がその連携パートナーとなり、 GPEの資金調達プラットフォームを活用し、JICAの案件でシードマネ―を獲得することになった 、GPEグラント事業が承認されました。

日本の機関・団体が中心的役割を担う本グラントにおいて、在モンゴル日本国大使館の市岡氏と、 SCJの豊田氏にインタビューを行い、教育支援における援助協調の枠組みに日本が参加する理由や意義などについてお伺いしました。

現在の業務について教えてください

市岡晃氏在モンゴル日本国大使館 一等書記官):経済・開発協力班長として、モンゴルに進出する日本企業の支援やモンゴルから日本のマーケットに関心あるモンゴル企業の支援、日本政府の対モンゴル支援の政策立案・実施を担当。

豊田光明氏公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン  海外事業部のアジア地域マネージャー):モンゴルと東南アジア地域の支援戦略の策定、新規事業の案件形成、各国で実施中の事業の運営・管理等。2007年から12年間モンゴル事務所の代表。現在は東京ベースで、引き続きモンゴルの統括。

CAを担うことや、GAを目指すことになった経緯を教えてください

市岡晃氏:モンゴルでは以前から教育における援助協調の枠組みが存在しており、在モンゴル日本大使館はADBと共同で議長を務めてきた。そのような中で、2018 年にモンゴルの教育科学省がGPEの資金活用に関心を示した際、教育分野の主要なドナーであり共同議長の経験があった日本にCA就任の打診があった。それを受けてLEGのメンバーに承認され在モンゴル日本大使館がCAとなった。

豊田光明氏:セーブ・ザ・チルドレン(SC)は1994年にモンゴルに事務所を開設。それ以来モンゴルの教育セクター、特に就学前教育と基礎教育の分野で活発に支援活動を展開してきた。 モンゴルが、民主化の道を歩み始めた1990年代からその時代ごとのモンゴル特有の教育課題に対して、 SCは25年間にわたり支援を続けてきた。その実績が教育省にも認められ、現場で支援活動を担うだけでなく、教育政策アドバイザーとして、教育分野中期開発計画の策定にも関わってきた。今回モンゴル政府がGPEに対して、マルチプライヤーへの関心表明を出して申請を決めた際、基礎教育において、 SCがこれまでモンゴルで培ってきた専門的な強みを活かし、GPEの事業を運営する側に立って関与したいと考えるようになった。しかしながら、モンゴル事務所を管轄するSCJとして、GPEのGAを行うために必要な資格を有していなかったので、 SCJの姉妹機関であり、すでにGA資格を保有しているSCAにGAとなってもらい、 SCJ は連携パートナーとして、LEGで選任された。

CAやGAを担う意義をどのように捉えていらっしゃるか教えてください

市岡晃氏:日本はOECDのDACメンバー国の中で、モンゴルに対する支援のトップドナーであり続けている。日本政府は重要な外交課題の一つとして人間の安全保障を推進しているが、この実現のために途上国において教育分野における支援を積極的に行ってきており、モンゴルにおいても教育インフラの整備、国費留学制度や技術協力を通じた人材育成に力を入れてきた。他方、最近はモンゴルは経済成長に伴い、所得水準が高くなっているため、以前のように日本政府が無償資金協力を実施することが難しくなってきている。このような状況の中で、日本政府による対モンゴル支援はJICAやNGOを通じた技術協力が中心となっているが、大使館、JICA、日本のNGOが協力して、教育分野の支援事業を実施するだけでなく、モンゴルの教育科学省のために教育分野の国際的な枠組みであるGPEの資金の獲得を支援することは、開発と外交の両面において大きな意義がある。

これまでも、各援助機関同士が、個別に相談や意見交換をしたり、連携する取組みは行われてきたが、LEGのように、主要なドナーだけでなくNGOや教育関係者が集まって情報を共有する枠組みはなかった。このような援助協調の枠組みを日本が主体的に取り組むケースは世界的に見ても少ないと思う。ここ数年は、コロナ禍でオンラインの会議ばかりで会合の運営が難しい面があったりなど労力も伴うが、現場において日本の存在感を示すことにつながっているのではないかと思う。

豊田光明氏:SCJでは引き続き、モンゴルで支援活動を続けることを計画しており、中長期的な視点で見た場合、GAの資格を取得しておくことが望ましいと考えている。もしSCJとしてGAの資格が取得できると、 SCJが教育分野で支援活動を実施している他のアジア諸国だけでなく、中東やアフリカ諸国でもGAを執行・運用できる条件が整う。 GAとしてGPEのグラントをどこかの国で執行できるようになると、これまでと全く違った次元で、教育現場での活躍の場が広がる。例えば、GAとなることで、GPEのグラント事業を通じて当地の教育省との関係性が必然的に強化されることになり、教育政策に直接関与できる機会も増え、組織運営の面で財政的な恩恵も受けることになる。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのような日本の国際協力に携わる組織にとっては、GAの資格取得は非常に魅力的である。

モンゴル教育省が重点分野として掲げている教育課題とGPEのグラント事業の関連を教えてください

豊田光明氏:現在モンゴルで実施中の10年計画である教育分野中期開発計画がある。その中で、3つ重点課題が挙げられている。1つ目は教育システムの質・教育の妥当性の向上、2点目が教育の機会均等と包括性の向上、3点目が教育ガバナンス・管理・運営の効率化。この計画の中で誰一人取り残さない公正で質の高い教育や子ども達の健全な成長を支える教育環境の整備、デジタル時代への対応等、経済的自立を促進する教育が強調されている。今回のGPEのグラント事業は、この中期開発計画に位置づく、インクルーシブ教育と学校給食、ハイブリッド型学習の3点を支援する。モンゴルでは、SCJやJICA、 KOICAといった機関が、すでに同分野での支援の継続を表明・計画している。今回は、そこにマルチプライヤー(ドナー支援3米ドルに対し、GPEが1米ドルを支援する、ドナー支援とGPE資金をマッチングする仕組み)を用いて、GPEから追加の資金動員を行うことで、既存の支援内容との相乗効果が発揮されることが期待できる。SCJは、 これまで日本政府・外務省の「日本NGO連携無償資金協力(通称N連スキーム)」を活用して、モンゴルでインクルーシブ教育の支援事業を過去数年間実施した。本GPEグラントでは、N連スキームで紹介したインクルーシブ教育の技術的なインプットがそのまま活用でき、これまで培ってきた専門的なノウハウや専門性を活かしていける事業構成になっている。

GAの資格取得やGPEのグラント事業の実施に向けて準備していることを教えてください

豊田光明氏:GAの資格を取得するためにGPEがさまざまなガイドラインを準備しているので、SCJとしては、それらをもとにGAとして求められる役割を理解し、要件の最低条件を確実に満たせる組織体制の維持強化を図っていきたい。マルチプライヤー事業をSCAと共同で実施することで、GAの役割を学び、 SCJとしても将来的にGAの役割を取得できるように、しっかりと対応していきたい。

さらに、GPEのグラント事業をモンゴルで実施するために、CAを務めている在モンゴル日本国大使館、その他の主要機関であるJICAやKOICAと協調しながら、教育省と事業の進め方に関する活動計画の策定や、事業実施に向けた契約書類の準備を進めていきたい。コンポーネントごとに運営委員会を設定する予定であり、事業実施体制の構築作業をしっかりと行っていく。SCJ内部では、日本、モンゴル、オーストラリアで、内部統制の仕組みをしっかりと構築した上で、GAとしての責任をしっかりと果たせるように準備を進めている。

「平和と成長のための学びの戦略」改訂に向けた教育協力政策の評価の発表

2015年に発表された、開発教育分野の戦略である「平和と成長のための学びの戦略」の改訂が予定されています。その改定に向けて先日公開された、教育協力政策の評価についてレビューします。

2015年に策定された「開発協力大綱」の教育分野の課題別政策として「平和と成長のための学びの戦略」が日本の教育協力の政策文章として定められてから6年間が経ちました。今回教育協力政策が改訂されることとなり、その改訂に向け、教育政策の評価が行われました。

本評価では、評価の質の向上及び実効性のある提言を導き出すことを目的に、外務省、JICA、OECD等から発信された報告書等の文献調査、外務省、文部科学省、JICA、教育分野有識者、NGO、民間企業等へのインタビュー、オンライン現地調査、在外公館を対象として、幅広く調査が行われました。

本評価では、日本の教育協力の政策内容への提言として、以下のように、GPEへ一定規模の資金提供を行うことも示されました。GPEでは、日本が本提言に基づき、次期政策文章の改訂が行うことを望み、そのためにGPEでは全面的に日本に協力していく所存です。

「 地球規模課題に対応するために、教育協力におけるネットワーク型アプローチ、多国 間・二国間援助機関との連携強化を継続することが重要である。そのためにも、GPEなどのグローバルファンドに一定規模の資金提供をすることや、財政支援を含む多様な援 助モダリティを維持し、現地のニーズに柔軟に応じた協力を実施するなどの点を盛り込 む。」

教育協力政策の評価(第三者評価)全文 別冊

日本におけるパートナーシップに向けた進展:GPE幹部の日本訪問

4月6日から8日の間、GPE事務局から、チャールズ・タップ最高執行責任者、ポウレグ・パワー最高財務責任者、スタイン・ド・ラメイヤー民間・財団との上級責任者、松吉由希子アジア地域における対外関係の上級責任者が日本を訪れました。期間中、外務省、財務省、経産省、JICA、国会議員の皆様、大学の先生方、JNNE、民間企業・財団、日本で活躍するGPEユース達と意見交換を行いました。その一部を以下に共有します。

国際教育議連所属の国会議員の先生方

4月7日(木)は、 国際教育議連(IPNEd)に所属している逢沢一郎衆議院議員、御法川信英衆議院議員、秋野公造参議院議員、寺田静参議院議員、牧山ひろえ参議院議員、増子輝彦参議院議員、横山信一参議院議員、若松謙維参議院議員、三原朝彦元衆議院議員とともに、意見交換を行いました。

意見交換では、GPE事務局より、教育に豊富な経験を有するJICAや民間企業・財団との連携を強めていくことや、日本が議長国となる2023年のG7で教育の優先順位を上げることなど、日本への期待が伝えられました。国会議員の先生方からはGPEの特徴に関して、GPEがこれまでに途上国で対して達成してきたことや、途上国政府のオーナーシップを高めるための取り組み、また、GPEによるウクライナ支援に関する質問が寄せられました。

質疑応答は大変盛り上がり、GPEの活動に大きな期待を寄せていただきました。ご参加いただいた先生方、大変ありがとうございました。

公明党山口代表、谷合先生

4月8日(金)は、公明党の山口那津男代表、 谷合正明先生との意見交換会を行いました。

意見交換の中では、特にGPEによるウクライナとその周辺国であるモルドバの支援に焦点が当てられました。GPEは現在ウクライナと隣国のモルドバの教育ニーズを支援するための資金動員に取り組んでいます。現在ウクライナからの避難民約10万人を受け入れているモルドバは、GPEのマルチプライヤーの支援対象国でもあります。

このようなウクライナやその周辺国の支援、またGPEが支援している約90カ国の途上国の教育制度変革に向けて、JICAとの連携を強めていくこと、日本のODAによる途上国の支援のうち、初等教育分野への支援を強めていくことについて、支持いただきました。

民間企業・財団

今回の日本訪問では、数多くの企業や財団の方とお会いする機会がありました。JICAと経産省ではEdTechに関する企業を招いた、ラウンドテーブルが行われ、日本の企業や財団が持っているスキルやサービスに対して大きな期待を感じることができた機会となりました。

歴代・現役のGPEユースリーダー達

歴代・現役のGPEユースリーダー達との意見交換会を行いました。歴代ユースリーダー達からはその活動を振り返り、直面したチャレンジなどをもとに、現役ユースリーダー達へアドバイスが行われました。GPE事務局と初めて対面したユースリーダー達は最初は緊張した面持ちでしたが、次第に慣れて、活発な意見交換が行われました。

日本で活躍するGPEユースリーダー達の紹介

GPEでは現在18カ国、42名のユースリーダー達が活躍しています。ユースリーダー達は、世界の教育の課題や開発について情熱を持つ18歳から30歳の若者であり、ボランティアとしてGPEの活動に関わっています。日本からも現在3名がGPEのユースリーダーとして活動しています。彼らの教育やGPEへの思いを自己紹介と共に紹介します。

GPEユースリーダー達による、遠藤彰氏へのインタビュー

GPEユースリーダー達が、在シリア日本国大使館シリア臨時代理大使兼シリア特別調整官の遠藤彰氏へインタビューを行い、脆弱な紛争国の子どもたちを支援する日本の取り組みや、教育に対するODA政策についてお話を伺いました。

日本は第4回国際教育の日(1/24)にGPEに850万米ドルの拠出を表明しました。その資金の大半は紛争中の国々にあてられ、620万米ドルはイエメンに、160米万ドルはシリアの支援に用いられる予定です。 残りの約70万米ドルはGPE基金として用いられ、各国の教育セクター計画の策定・実施の支援に役立てられます。

日本のプレッジについて詳しく知るために、2人のGPEユースリーダーが、在シリア日本国大使館特別調整官兼臨時代理大使の遠藤章氏に、脆弱な紛争国の子どもたちを支援する日本の取り組みや、教育に対する政府開発援助(ODA)政策についてインタビューしました。

以下にユースリーダー達の遠藤彰氏への質問を紹介します。

インタビュー全文はこちらからご覧ください。

Q.日本がG8を主催した2008年には、「万人のための教育-ファスト・トラック・イニシアティブ(EFA-FTI、GPEの前身)」という重要なドナーとの会議も開催されました。2023年に開催されるG7サミットで、日本がSDGs4についてどのようなことを予定されているのですか?

Q.シリアの子どもたちが教育で直面している課題と、それに取り組むための日本の優先順位は何でしょうか。また、GPEのシリア支援に期待することは何ですか?

Q.日本のODAの教育政策「平和と成長のための学びの戦略」に大変興味を持っています。国際社会が「教育の変革」に向かっている今、日本もODA戦略を見直すべきとお考えでしょうか。

Q.日本はODA政策の中で、人間の安全保障の推進を優先していると聞いています。特に脆弱な国や紛争国において、子どもたちが直面する課題を克服するために、日本はどのような戦略をとっているのでしょうか。

インタビュー全文はこちらからご覧ください。

プレスリリース:日本政府、GPEに800万米ドル超の拠出を表明

イエメン。サヌアのカルディ校で学年末試験を受ける生徒たち。
(Credit: Bill Lyons/ 世界銀行)

GPEは、第4回国際教育の日(1/24)に、日本から850万米ドルのプレッジがあったことをプレスリリースとして発表し、日本のプレッジに対して感謝の意を表しました。GPEでは、今後も日本と共に開発途上国の教育システムの変革に向けて取り組んでいきたいと考えています。

約620万米ドルがイエメン、約160万米ドルがシリアの支援に用いられる予定です。これらの資金は、現在進行中の紛争、暴力、食糧不足によって生活に深い影響を受けている最も弱い立場にある子どもたちの継続的な学習支援に役立てられます。残りの約70万米ドルはGPE基金として用いられ、各国の教育セクター計画の策定・実施の支援に役立てられます。

塚田玉樹在米国日本国大使館特命全権公使のコメント「我が国は、紛争影響国の子ども等、最も脆弱で不利な立場に置かれた人々への教育支援を喫緊の課題として重視しており、今般のイエメン、シリアの教育支援を含むGPEへの拠出により、これら厳しい状況にある子供たちの教育へのアクセスが維持されることに貢献したいと心から願う。日本は引き続き国際社会と連携し、SDG4「質の高い教育を皆に」の達成に向け、教育分野の支援を強化していく。」

アリス・オルブライトGPE最高執行責任者コメント「この資金は、特に紛争の影響を受けている最も弱い立場にある子どもたちを支援するものです。日本が引き続き世界の教育に関与し、すべての子どもたちが学ぶことができるよう支援することを期待しています。」

プレスリリースの全文(日本語 英語

イエメンの支援

グラント総額:US$47,400,000(内、日本政府の拠出:約620万米ドル)

プログラム名: イエメン教育と学習の回復興支援プロジェクト

期間:3.5年間(日本の支援は1年間)

目的: イエメン共和国の特定の地区において、基礎教育へのアクセスを維持し、学習条件を改善し、教育セクターの能力を強化する。

対象校の子どもたちに適切で安全な学習空間へのアクセスを提供し、基礎教育レベルのアクセスを維持し、学習を支援する。そのために、教師への支援、学校給食、学習教材や学用品、対象校における学校インフラの復旧などを行う。また、進行中の紛争、治安の悪化等の理由で学校が閉鎖または中断された場合、対象県の基礎教育学齢児童に遠隔代替教育の提供を行う。

シリアの支援

グラント総額:US$18,746,532(内、日本政府の拠出:約160万米ドル)

プログラム名: 公平性と学習の向上を目的とした、 シリアの子どもたちの学びの道筋の強化

期間:3年間(日本の支援は1年間)

目的: 脆弱な子どもたちの学習機会への参加を改善し、基礎的なスキルや生活スキルの習得につなげる。

ノンフォーマル教育の強化、幼児教育の強化や導入、障害のある子どものインクルージョンに関するガイダンスの開発や実施のためのトレーニング支援などを行う。また、シリアの子どもたちは、紛争等の影響により不安やトラウマを抱え、このことが、学校への参加や学習能力に直接的な影響を及ぼしている。そのため、教師への生徒の社会的・感情的スキルの発達を育む研修プログラムの提供も行う。