ウェビナー「KIXハブ拡大に関するお知らせ」

10月下旬から11月上旬にかけて、東欧、中東・北アフリカ、アジア・太平洋(KIX EMAP)のKIX地域ハブが、4つの小地域(サブリージョン)での発表会を開催。各所の関連する変化、ベースラインの調査結果、そのサブリージョンに属する国々の今後の活動スケジュールを共有します。

参加は無料。事前登録が必要ですが、どなたでもご参加いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。

新しいグラントが5ヶ国で承認されました

新しいグラントが承認されました。
国:エジプト
金額:20万USドル
グラントエージェント:ユニセフ

国:カンボジア
金額:20万USドル(プログラムディベロップメントグラント)&270万USドル(システムキャパシティーグラントt)
グラントエージェント:ユニセフ

国:トンガ
金額:20万USドル
グラントエージェント:世界銀行

国:モンゴル
金額:25万USドル
グラントエージェント: 世界銀行

国:ネパール
金額:339万9,604USドル
グラントエージェント:ユニセフ、世界銀行

マルチプライヤーを活用したJICAとの取り組みがGPEのブログ(英語版)に掲載されました


強力なパートナーシップは、教育を変革するGPEの活動の中核とな
っています。
マルチプライヤーを通じて、JICA とGPEはパートナーシップを深め、
日本の知識を活用して、パートナー国での教育の前進、学習危機
対策に取り組んでいます。パプアニューギニアとパキスタンでの活
動の模様がGPEのホームページ(英語)で紹介されましています。
こちらをご覧ください。

GPE用語解説:Coordinating Agency (CA, コーディネーションエージェンシー)

パプアニューギニアの小学校
出典:GPE/Jeff Ramin

GPEの多様なステークホルダーが構成する現地教育グループ(LEG: Local Education Group)を取り纏める調整機関のこと。

パートナーシップのファシリテーターとして、GPEのビジョンやミッション、目標を達成するために重要な役割を担っています。日本関係では、在モンゴル日本国大使館がモンゴルにおけるCAとして、また、JICAはパプアニューギニアでCAとして他機関との調整役を担っています。

国際教育の本の紹介

最近発売された国際協力の本を紹介します。「Japan‘s International Cooperation in Education 」(Springer)と「国際教育協力の系譜」(東大出版会)です。

「Japan‘s International Cooperation in Education 」萱島信子、黒田一雄、北村友人

1950年代から2010年代半ばまでの教育分野における日本の開発協力の歴史を包括的に記録し、その変遷と特徴を詳細に考察した初の英文書籍です。

政策文書とプロジェクトデータを活用した歴史・実証分析を中心に各章が展開されていて、教育分野における新しい協力の形を探求する可能性を提示していると同時に、日本の国際教育協力における3つの主要なサブセクターである基礎教育、職業・技術教育訓練、高等教育を中心にまとめられています。また、日本の国際教育協力への貢献として、国際機関、NGO、青年海外協力隊といった他のステークホルダーと、ODAの円借款などのプログラムの役割と成果についても分析しています。

「国際教育協力の系譜」黒田一雄

本書は、「国際教育協力」の概念規定に関する論考から始まり、日本における明治後期から現代までの歴史を概観しながら、国境を越えた教育政策形成を描いた異色の「近代日本教育史」です。

戦前・戦中の留学生招へいから、戦後・高度経済成長期の「人づくり」協力、グローバル化の中の高等教育協力、EFA・SDGs時代の基礎教育協力へと、日本の国際教育協力は歴史的に多様な展開を見せてきました。その中で日本における国際教育協力とは何だったのか、それは何のために行われてきたのか、それが追求してきた価値・理念は何だったのかを考察し、今後の日本の国際教育協力が目指すべき方向性を議論しています。

カンボジアのGPEについてJICA教育政策アドバイザーの松田さんに伺いました

インタビューに答える松田さん

既にお伝えしていますが、JICA含む外部の資金調達によりカンボジアでGPEのマルチプライヤーが承認されました。その立役者として現地で業務に当たっていたJICA教育政策アドバイザーの松田徳子さんにインタビューさせて頂きました。
GPEマルチプライヤー承認によってどのような変化が出たのか、日頃、同国の教育政策の立案支援するにあたり感じたことなどを伺いました。
外務省教育ODA担当官(任期付職員)として、GPEの前身である当時のFTIを推進していた経験も、現在の業務にいきているそうです。

マルチプライヤーのメリットと承認までの苦労
マルチプライヤーのメリットは、大きく2つあると教えてくれました。
①JICAのプレゼンスが高まったこと
最近、教育省・ドナー会合においてGPEが取り上げられることも多いですが、その際、教育大臣や長官は、JICAのマルチプライヤーへの貢献についても言及されるとのこと。カンボジア教育セクターでは、もともとJICAのプレゼンスは高く、特に教師教育ではリードドナーとされているが、さらにプレゼンスが高まったと感じるそうです。

②JICAがリードしてきた教員養成課程学士がメインストリームされたこと
カンボジアにおけるGPEコンパクトの策定過程にJICAが参画したことで、これまでJICAが旗振り役を務めてきた教員養成改革が、実は教育セクター全体の改革のカギであるという認識が共有されたそう。GPEについては、マルチプライヤーだけではなく、STGやSCGにおいても、教師教育をメインストリームしていこうという機運が高まっており、JICAへの相談も多いとのこと。

戸惑ったこと
GPEについて松田さんが最初に戸惑ったことは、GPE全体の仕組みはもとより、そのメリットとリスクが分かりにくかったことだそうです。例えば「コファイナンス」など特殊な専門用語が多く飛び交っていたためとのことですが、ユニセフ(現地GPE調整機関)、GPE事務局などで活躍している日本人職員と非公式なやりとりを重ねることで、GPEのスキームへの理解を深めていったと語っていました。 また実際にJICAが、GPEマルチプライヤーのコファイナンサーとして名乗り出るにあたっては、JICA職員のみなさまの粘り強い内部調整があったことを強調していました。組織内のチームワーク、他機関とのパートナーシップ、そして組織を超えた日本人間の交流の積み重ねがカギだったようです。

4年制教員養成大学の学生の熱意
昨年8月に4年制課程の卒業生が初めて誕生。今年1月から各地で教鞭をとり始めました。
教員養成大学の学生はほとんどが地方出身の学生だそう。朝7時から夕方まで授業を受けた後、クラブ活動をしたり、英語を学んだり、パソコンをしたり。多くの学生たちが、都会で過ごす4年間を満喫して自己研鑽に励んでいたことが印象的だったと松田さんは話していました。

プノンペンの教員養成大学の看板
(第1期生寄贈)

また、教員養成大学の学生たちのコミットメントも素晴らしく、例えば学生の多くは経済的に厳しい生活を送っている中で、卒業時にはお金を出し合って教員養成大学に看板を寄贈したり、コロナ禍で学校閉鎖が続いた時にも、ボランティアで村に出向いて低学年の児童に勉強を教えたりなど、真摯な姿に胸を打たれたと松田さんは語っていました。

バッタンバンの教員養成大学の学生
(コロナ禍に村に出向いて学習支援)

カンボジアでのリサーチカルチャー
4年制養成大学になったことで変わったことの1つが授業研究をすることになった点だそう。カンボジアではリサーチカルチャーがとても弱いため、トピックの見つけ方やアクションリサーチのやり方など一連の流れを指導したそうです。学校の教育の質を上げるため、先生が一方的に話す授業ではなく、生徒たちが疑問をもったり自分で考えたり出来るような授業を自ら作っていかれる先生になれるよう、大掛かりなプロジェクトとして取り組んでいました。

松田さんが養成大学一期生の卒業生の授業を視察した時の様子も教えてもらいました。
小学2年生のクメール語の授業を見学したそうなのですが、様々なメニューを出して子どもたちが注意をそらさないように、ずっと授業に参加出来るようにしていたのが印象的だったとのこと。また、複雑な言語であるクメール語ですが、前回の授業で習っていたものをクラス全員が書けるようになっていたのを見て嬉しくなったそうです。

カンボジアの教育事情とJICAの教員養成大学支援
ポルポト政権下で教師などの知識層が虐殺されたカンボジアでは、1979年からゼロからの国づくりが進められました。急ごしらえの教育開発を迫られた政府は、短期の教員養成制度で対応してきましたが、JICAの支援を受けて、教員養成大学(TEC)2校を設立し、2018年より4年制の教員養成課程を試行してきました。
・教員養成大学建設計画(無償資金協力、2017~2021)
・教員養成大学設立のための基盤構築プロジェクト(2017~2022)

昨年8月にTEC第一期生が卒業。学士号を取得した卒業生たちが、今年1月から各地で教鞭をとり始めました。子どもたちの学びをいかに改善していくかがカンボジアの大きな課題です。

今後の松田さん
これまで多くの調査研究を通して、4年制の教員養成課程で学ぶ学生の比較優位性などを示すと共に、TECの全国展開のための戦略計画策定に向けた政策提言を行ってきたそうです。また今後は、他ドナーと協調しながら、TECの全国展開を支援していきたいと語っていました。

教育省、ドナー、研究者などに向けた
政策提言をする松田さん

松田徳子(まつだのりこ)さんプロフィール
2021年8月からJICA教育政策アドバイザーとしてカンボジア教育省に勤務中。専門は公共政策。これまでガーナ、ドミニカ共和国、ネパールなどにも赴任。日本国内では、外務省で教育ODA政策担当官、常葉大学教育学部非常勤講師なども歴任。マンチェスター大学大学院教育政策研究科修了。

GPE2022年度次報告書を発表

GPEが発足して以来、パートナー国では1億6,000万人以上の子どもたちが学校に通うことができるようになりました。これは、教育の力によって影響を受けた1億6,000万人の個人の生活です。2022年度の主な動きを紹介します。

・GPEは41カ国に対し、約3億USドルの新規助成金を承認しました。また、9カ国でマルチプライヤーグラントが承認され、総額1億5600万USドル、26のパートナーから7億8600万USドルを活用することができました。

・2022年6月に開催された「教育の変革」プレサミットでは、80のパートナー国の教育大臣が「教育の変革」に関する閣僚コミュニケに署名。2022年5月にもサブサハラ・アフリカの14人の教育大臣が「教育におけるジェンダー変革のためのリーダーシップに関するフリータウンマニフェスト」に署名しました。これらの大臣からの緊急の呼びかけを受け、GPEは2022年9月に開催された「教育変革サミット」において、世界のリーダーに対し、教育への資金拠出を緊急に増やすよう呼びかけました。

・新たにアンゴラ、エルサルバドル、エスワティニ、フィジー、グアテマラ、インドネシア、フィリピン、チュニジア、ウクライナの9カ国がGPEに加盟しました。

・GPE Knowledge and Innovation Exchange(KIX)とEducation Out Loud (EOL)は、それぞれ8000万USドル、6000万USドルを追加。レゴ財団、GPE、国際開発研究センターの間でKIX専用の窓口が設けられたことで、5つの新しい研究イニシアチブが生まれました。Education Out Loudはこれまでに、教育分野における市民社会の活動を支援するため、63カ国で70件の助成金を提供しています。

・ケニアで、政府および民間セクターのパートナーであるエコバンク財団、アバンティ・コミュニケーションズ、国際ロータリーとともに、女子教育啓発プログラムを開始しました。

JICAが共同出資として参加するカンボジアとエチオピアにおけるGPEのマルチプライヤーが承認されました!

エチオピアとカンボジアの教育省がそれぞれGPEの理事会に提出をしたマルチプライヤー事業が承認されました。今回は、カンボジアのマルチプライヤーについて取り上げます。

カンボジアの学校にて
出典: GPE/Roun Ry

カンボジアの教育省は、合計1億590万USドルの外部からの資金調達を達成し、それによってGPEのマルチプライヤーがカンボジアにとって上限である3000万USドルで承認されました。JICA(200万USドル)、EU(4390万USドル)、世界銀行(IDAのローン,6000万USドル)が共同出資者となり、共にカンボジア教育省の優先課題である教師の能力強化に取り組み、教育・学習状況の改善を支援します。このプログラムは、ユニセフと世界銀行がグラント・エージェントとなる予定で、来年度中にスタートする予定です。JICAが共同出資する分については、教師教育センターとその支援機構の能力を向上させることで、持続可能な教育・学習支援を行います。

カンボジアのマルチプライヤーについてCEOのコメント

GPEは、JICAがパプアニューギニア、ラオス、セネガルに続き、カンボジアでも新たに共同出資者となったことを喜ばしく思っています。これにより、カンボジアの重要な課題である教員能力強化において、JICAとGPE、その他の機関による支援のシナジーが期待されます。

GPEマルチプライヤー:教育への投資をより多く、より良くするためのインセンティブと財源を提供する革新的な資金調達手段のこと。他の外部資金源と同様に機能。助成金として投資したり、多国間開発銀行や二国間ドナーなどからの譲許的融資の金利を下げるために使用することが可能で、民間資本を含む他の非伝統的な開発資金源と併用することも出来ます。

第4回Friends of Educationを「日本の国際教育協力機関とGPEの連携」というテーマで開催しました

6月13日に第4回Friends of Educationを開催。鈴木憲和議員、高橋光男議員、牧島かれん議員、山本ともひろ議員(五十音順)を始め、NGOや民間企業・財団、アカデミアの皆様にご参加いただきました。

写真右から高橋議員、牧島議員、鈴木議員、山本議員

プログラム
1.はじめの挨拶:GPE事務局
2.モンゴルの連携事例:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンから報告
3.パプアニューギニアの連携事例:JICA、GPEから報告
4. ディスカッション
5.終わりの言葉:GPE事務局

モンゴルの連携事例: セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン豊田モンゴル国事務所ディレクター
・GPEの枠組みを活用しグラントエージェント(資金運用機関)になると、より直接的に相手国の教育政策に関与でき、組織運営面でも財政的な恩恵を受けられ、活動の幅も広がる。
・GPEの仕組みは、複数の教育協力機関の協働が体制的に実現しやすいので、同じ目的の達成に向け、情報やリソースを有効利用できる。
・複数の機関が似ているけれども違うアイデア・施策・経験などを持ち寄ることで、より良い技術・モノ・専門的サービスを相手国政府に提供できる。

パプアニューギニア(PNG)の連携事例:JICA 木田教育政策アドバイザー
・現在、教員養成や教科書・指導書配布等のコンポーネントを含むBEST PNG (Boosting Education Standard Together in PNG)プログラムを実施中(全体予算約15億円、期間:2019-2023年末予定)。JICAは同国での調整機関コーディネーションエージェンシー(CA)を担っている。
・JICA技術協力プロジェクトで小学校3~6年生の理数科教科書が開発した後、GPE資金を活用して1年生2年生の算数教科書に着手したほか教科書配布、教員養成学校への支援、電子データ化支援、タブレット供与などで民間企業、日本大使館、総務省、文部科学省、大学等と連携した“All Japan”の教育支援を実現している。

人間開発部・亀井部長からも、PNG以外でも様々な形でGPEとの連携を進めており、また将来的なグラントエージェント(GA)受託念頭に資格取得のための手続きを行っていると説明がありました。

発言するJICAの担当者

パプアニューギニアの連携事例: GPEタリク上級教育専門官
・320万USドルのGPEマルチプライヤーを通じて、日本政府から1060万USドルの追加融資を受けた。
・GPEは2002年から国の教育計画策定のサポートを行っており、これまで4,000万USドルを投じている。
・2022年5月からCAの役割を担っているJICAと協力して、算数と理科のプロジェクトでプログラムを実施中。

GPE担当者はオンライン参加のため資料はスクリーンに投影されました

鈴木憲和議員からの質問
・日本企業が関わっている案件はあるか。
・学校図書社はビジネスベースかCSRか。

高橋光男議員からのコメント、質問
・G7で国際教育協力の重要性が確認されたことを評価。引き続き継続的な支援を求めていきたい。
・教育の質はどのように測定可能なのか。
・高橋議員はツイートFacebookインスタグラムブログでこの会のことを報告して下さいました。

牧島かれん議員からのコメント
・各国の現状や取り組みを学びながら日本も国際教育の分野でもしっかりと責務を果たしていきたい。

山本ともひろ議員からの質問
・25年前にモンゴルを視察した。「マンホールチルドレン」の現状は?
・パプアニューギニアも視察経験があり、現在の治安について
・山本議員も、この会の様子をツイートして下さいました。

Friends of Education:国際教育協力に関わる多様なステークホルダーで構成されるグループ。日本が教育協力の分野でどのようにビジビリティ―を高め、マルチの枠組みと連携をしながら効果的に貢献していかれるのかを議論しています。

KIXの提案募集(ET8月28日締切):学校におけるジェンダー平等と社会的包摂の達成

GPEと国際開発研究センター(IDRC)の共同事業であるKIX(Knowledge and Innovation Exchange)の一環として、
応用研究プロジェクトの提案を募集します。

この募集の目的は:
・学校におけるジェンダー平等と社会的包摂の課題に対処するための革新的なアプローチの影響を拡大する方法に関する証拠の作成
・関連するステークホルダーが、その知識やイノベーションを活用するための能力の強化
・教育システムにおける政策と実践を改善するために開発されたエビデンスの活用

選ばれた提案には、以下の範囲の助成金が授与されます:
・1つの国を対象としたプロジェクトには、30万~50万カナダドル
・3カ国以上の国々で、その国の優先課題に直接関連するものをターゲットとするプロジェクトには、80万カナダドル~150万カナダドル。
・地域レベルまたはグローバルレベルで、より一般的なインパクトをターゲットとするプロジェクトで、少なくとも3カ国で活動を行い、ツールキットやプラットフォームなどの公共財を生み出す場合、最高250万カナダドル。

募集は、個々の組織、または最大3組織からなるコンソーシアムからの応募を受け付けています。
一般的な応募資格と、3種類の助成金のそれぞれの具体的な応募資格は、こちらの案内募集要項をご覧ください。

応募の締め切りは2023年8月28日(東部標準時)です。