COP28でのGPE共催イベント

アラブ首長国連邦が主催するCOP28、国連気候変動会議が11月30日から12月12日まで開催されます。
その期間中、GPEは下記のイベントを共催します。

12月5日(火)
「気候変動に強い教育と食料システムの中心となる学校」
時間:14時~14時45分
プラットフォーム:Food4Climate Pavillion
パートナー:GPE、Teach For All、Proveg
概要:気候変動に対するレジリエンスを高め、持続可能で気候変動に配慮した食料システムの開発を推進する上で、気候に対する強靭じん性の構築の場としての学校の重要性、学校や生徒、教師、学校のリーダーシップが果たす役割について議論します。
また、若者の講演者と組織の代表者が、コミュニティや国、地域、世界といったあらゆるレベルでの活動について語り、それぞれの具体的な経験をシェアします。
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「持続可能な未来のための気候スマート教育システム」
プラットフォーム:Greening Education Hub
パートナー GPE、セーブ・ザ・チルドレン、ユネスコ
概要:気候変動と環境の持続可能性を教育システムの計画、カリキュラム、教育法、教員研修に統合するための教育セクターが現在行っている取り組みに焦点を当てます。
また、気候変動と教育をめぐるセクター間の調整のエントリーポイントもみていきます。

12月8日(金)
「教育のグリーン化に関するハイレベル・セッション」

プラットフォーム:Greening Education Hub
概要:教育省、環境省、財務省、外務省の各大臣を含む加盟国のハイレベルの代表と、ユース、市民社会、教師、国際機関を含む主要なステークホルダーの代表が、GEPの4つの柱を通じて緑化教育を加速させるための具体的な行動と優先事項について対話します。

「気候変動に強い学校システムへの資金調達」
プラットフォーム:RewirEd
パートナー:GPE、セーブ・ザ・チルドレン、緑の気候基金
概要:気候変動に対する統合的なアプローチの重要性と、教育セクターの計画や戦略、予算に気候変動への強靭性を組み込む必要性が強調されます。
意思決定のための気候に関するデータの活用や、教育セクターにおける気候変動への強靭性、持続可能性、公平性を構築するための適応能力を強化するための資金調達の拡大に、新たな焦点が当てられます。
さらに、BRACE(教育セクターを通じた子供とコミュニティの気候変動に対する強靭性の構築)プロジェクトや、気候変動と教育の関連性全般に関する行動への機運を高めるため、閣僚、ユースリーダーや市民社会組織、政策立案者など多様な声を交えたパネルディスカッションも予定されています。

「気候変動に配慮した教育システムを目指して
プラットフォーム:RewirEd
パートナー:GPE、セーブ・ザ・チルドレン、ユネスコ
概要:GPEとユネスコ、セーブ・ザ・チルドレンのパートナーシップによる気候変動に配慮した教育システムに関する画期的な取り組みが紹介されます。
また、気候変動への適応と環境の持続可能性を教育セクターの計画、予算、戦略に組み込むための事例を紹介し、具体的な経験と学びを共有します。

「ジェンダー平等と青少年を気候変動のための教育変革の中心に据える」
プラットフォーム:RewirEd
パートナー:GPE、プラン・インターナショナル、国連女子教育イニシアティブ(UNGEI)
概要:気候変動、女児の教育、ジェンダー平等の関連にスポットを当て、世代間の説明責任を果たす会議となるセッションです。ジェンダー変革的な気候変動教育の推進における少女と若い女性の経験やリーダーシップを取り上げ、資金調達の機会も含めジェンダー平等との関連に強い焦点を当てながら、気候変動教育への世界的なコミットメントをさらに強化します。

「テクノロジーを活用し、気候変動に直面する教育の強靭性を構築する」
プラットフォーム:RewirEd
パートナー:GPE、ユニセフ
概要:地理的に多様な国々のデジタル・ラーニング・ソリューションの開発・実施経験を共有し、参加者に強靭性に関する過去の投資と、将来の気候変動に関連した混乱に備えてそれを活用する方法との関連性を確認するよう促します。

「世代を超えたワークショップ 気候危機における教育の変革力」
プラットフォーム:Children and Youth Pavilion
パートナー:GPE、Education Cannot Wait (ECW、教育を後回しにはできない)、Youth for Education in Emergencies (Youth4EiE)
概要:紛争の影響を受けた人道的状況も含め、教育と気候危機の相互関係を探り、グローバルファンドがどのように子どもや若者の教育ニーズに応えているかを紹介します。

12月9日(土)
「気候と教育への投資のコベネフィット:証拠に基づいた気候スマート教育システムの構築」

プラットフォーム:Greening Education Hub
パートナー:GPE、FCDO、セーブ・ザ・チルドレン
概要:セーブ・ザ・チルドレンとGPEが作成した気候変動が教育資金に与える影響に関するエビデンス・レビューから得られた重要な結果とギャップを共有します。

「月刊公明2023年 12月号」に対談が掲載

現在発売中の公明党の理論誌「月刊公明12月号」に、公明党・高橋光男議員とチャールズ・ノースGPE副最高責任者の対談が掲載されています。

12月号の特集は「気候変動と日本社会——脅威にどう行動するか」、その中で「気候変動危機を乗り越える教育分野での協力を」というテーマで対談をしました。どうぞご覧ください。

TICAD30周年公式サイドイベントFriends of Education「 気候変動危機に対処するための教育協力 」を開催

こちらでの報告が大変遅くなってしまいましたが、9月26日に第5回国際教育協力勉強会FriendsofEducationの特別セッションを開催しました。国会議員や政府関係者、教育関係者の皆さまにご参加いただきました。また、来日中だったチャールズ・ノースDeputy CEOも参加しました。
勉強会ではゲストのユネスコ国際教育計画研究所 (IEEP-UNESCO)・技術協力部の水野谷優部長に気候変動に対処するための教育協力の緊急性・重要性について発表していただきました。

特別セッション議題
1)キーノートスピーチ チャールズ・ノース GPE Deputy CEO
2)参加国会議員ご挨拶:
自民党 逢沢一郎議員、牧原秀樹議員、鈴木貴子議員
3)バーチャル・リアリティーでモザンビークの教育現場を体験
4)IIEP-UNESCO水野谷さん発表「気候変動に対処する教育協力のイニシアチブについて」
5)参加国会議員 ご挨拶
公明党 谷合正明議員、高橋光男議員
6)質疑応答
7)終わりの言葉 GPE事務局

挨拶するチャールズ・ノース(写真左)

チャールズ・ノース副最高経営責任者スピーチ
世界では毎年、自然災害やそれにともなう病気によっておよそ4,000万人の子どもたちの教育が中断されている。また、気候変動の影響を強く受ける国々には、世界の子どもたちのほぼ半数に当たる 10億人の子どもたちが暮らしている。
日本は度重なる自然災害を乗り越えてきた。質の高い教育がいかに国のリスクの軽減に役立つか、レジリエンスを高めるかを証明してきた。世界中各国の言語や文化に絵本、マンガ、アニメ等の日本文化を適応させることで、それらを通し子どもたちは気候災害に対応するスキルを身につけることができる。

参加して下さった議員の皆さま
(左から、公明党 谷合正明議員、自民党・牧原秀樹議、
自民党・鈴木貴子議員、自民党・逢沢一郎議員、公明党・高橋光男議員)

自民党 逢沢一郎議員 ご挨拶
保健・医療・食料の提供も大事であるが、すべての物事の大前提に教育の機会がすべての子どもたちに与えられる ことが確保されていないとならない。それがあって初めてアフリカの未来も切り開くことができる。日本は、GPEが果たしている役割、世界中から期待されていることの大きさをしっかりと受け止めて行動しなければいけない。

自民党 牧原秀樹議員 ご挨拶
自分が環境大臣政務官だった際に、愛知と岡山で開催されたESDの世界大会に参加した。また、議連を立ち上げてその 座長として、ESDの大切さを国会で主張したが、その時も日本では国際教育協力が少しおざなりだったので、今後力を入れていきたい。再来年TICAD9に向けて、国際教育協力を大きな議題として取り上げていくよう後押しをしていきたい。
牧原議員はXで会の回の様子をシェアして下さいました。

自民党 鈴木貴子議員ご挨拶
教育というのは「生きる力」をいかに与えていくか。その人間が持っている力というものを引き出す、それが教育の本質だと思っている。我々日本、日本人はその重要さをわかっていたからこそ奇跡の復興を果たし、第二次世界大戦後、唯一の被爆国としてまた、G7アジア唯一の国として今こうして立っていられるのではないかと思っている。GPEの皆さまと共に教育に対しての投資、出資ではなく投資という考え方を日本政府に対して力強く訴えていくことを申し上げていきたい。
鈴木議員もXで会の様子をシェアして下さいました。

挨拶する鈴木議員

公明党 谷合正明議員ご挨拶
気候変動という国際課題に対し、教育こそ危機を乗り越えていく鍵なのだと認識した。引き続き日本として、GPEを通した支援を公明党としても政府をしっかり引っ張っていけるように取り組んでいきたい。また、教育のデジタル化というのは、先進国と途上国の格差がないようにしていくためにも非常にチャンスだと思っているので、こうした技術もしっかりとSDGsを推進する上で活用出来るよう取り組んでいきたい。
こちらのご挨拶の模様は公明新聞が記事にして下さいました。

公明党 高橋光男議員ご挨拶
現行のODA大綱では気候変動と教育を分けて書いてある。今日の話を踏まえると、この二つの関連性・協力をきちんと推進していかなければならないと思い 、指摘をさせていただきたい。開発課題の対処と気候変動対策の双方に協力すること、民間資金の動員や国際機関との連携、国際的な支援規模の拡大を図るというところまで、日本政府がきちんと責任を果たす重要性を認識し、自分もさらに働きかけていく決意を新たにした。
高橋議員もXで会の様子をシェアして下さいました。

バーチャルリアリティーを体験する議員
写真左から高橋議員、谷合議員、鈴木議員

IIEP-UNESCO水野谷さん発表「気候変動に対処する教育協力のイニシアチブについて」
ホームページ用に寄稿していただいたので、こちらをご覧ください。

発表する水野谷さん(写真右)

上記以外の主な参加者
・早稲田大学 黒田一雄教授(モデレーター)
・広島大学 吉田教授
・外務省 手島国際協力局地球規模課題総括課上席専門官
・JICA 亀井人間開発部部長、中条基礎教育第一チーム課長
・キャスタリア株式会社 山脇代表取締役社長
・株式会社パデコ教育開発部 中野様
・味の素ファウンデーション 山崎様
・公益財団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 小山様、豊田様ら

ユネスコ国際教育計画研究所 水野谷優さん寄稿「 気候変動に対処する教育協力のイニシアチブについて 」

水野谷優さん

気候危機は子どもの教育の危機である。2023年7月は「史上最も暑い31日間」でアントニオ・グテーレス国連事務総長は、「地球温暖化の時代は終わった。地球沸騰化の時代が到来した」とコメントした。気候変動は様々な状況において教育へのアクセスや質の低下を引き起こす。例えば南スーダンでは、大人の胸の高さまで洪水に見舞われる地域があり、その地域では幼稚園や小学校の就学率は非常に低い。マダガスカルではサイクロンが天井や窓を破壊するため、2023年には約15万人の子供の教育に影響があった。こうした気候変動による影響は、裕福でない家庭出身の子供や、障害を持っている子供など、脆弱な状態にある子供の方が大きいため、結果として教育の格差を広げる要因にもなる。

GPEの資金援助を得て、ユネスコ国際教育研究所、ユネスコ本部、Save the Childrenは、20か国の教育省とともに、教育セクター計画、教育予算・戦略に気候変動適応と環境持続可能性を組み込み、教育セクターの強靭性を高め、子どもたちに気候変動の時代に必要な教育を届けるプロジェクトを開始した。以下の五点が、このプロジェクトの具体的な柱になる。
・エビデンスに基づく教育政策と計画
・気候リスクに対する学校の耐性強化
・気候データを教育データベースへの統合
・各セクター間の調整と気候変動資金へのアクセス
・カリキュラム・教科教授法、および教員養成トレーニングの実施

こうした気候変動に関わる教育セクター改革は、発展途上国だけでなく日本でも必要である。日本でも局所的な豪雨、巨大化する台風、それにともなう土砂災害が毎年起こっており、これら五本の柱に代表される教育セクター改革は全世界的に新しい取り組みなので、防災・減災教育や地域を主体とした防災計画など、対外的に日本の知見や経験を提供できる現状がある一方、日本もいかに気候変動を教育カリキュラムに取り入れ、頭(知識・スキル)・心(内在化した価値)・足(実際の行動)が一致するような教育を展開するかという課題に直面している。

国際的には、気候変動と教育の分野において日本の世界的なリーダーシップが期待されており、「持続可能な開発のための教育(ESD)」、防災、環境教育などの分野で、日本が果たせる役割は非常に大きい。民間セクターやJICA、国連などの多国間援助機関、若者、政治家など、さまざまなステークホルダーを巻き込み、教育分野においても日本が世界的なリーダーシップを発揮する動きが高まっている。

今後、日本を含め世界中の子供たちが気候変動により教育を中断することがないよう、また気候変動に対処するための知識やスキルを持つ世代を育てるためにも、国際的に日本の役割は非常に重要だと考えられる。 (文責:IIEP-UNESCO 水野谷優 )

「気候変動と教育」に関するVR映像を公開しました

出典:GPE/Mbuto Machili

教育グローバル・パートナーシップ(GPE)は10月23日に、ユニセフとのパートナーシップによって、気候変動がモザンビークの子どもたちの教育にもたらす課題を紹介するバーチャル・リアリティ映像「嵐の目の中の教育(Education in the eye of the storm)」を公開しました。こちらの映像では、異常気象が教育にどのような影響を与え、子どもたちやそのコミュニティがどのように適応しているかを体験できます。

記録上最も長く続いた熱帯低気圧「サイクロン フレディ」は、2023年2月24日と3月11日の2度にわたってモザンビークを襲い、強風と豪雨で数十万世帯の生活に大混乱をもたらしました。

気候変動に関する災害が起きる中で子どもたちを学校に通わせ続けるには、災害に強い教育システムを構築することから始まります。これには、リスクを考慮した計画、気候変動に強いインフラ、気候変動と災害リスク軽減に関するカリキュラムや教員研修などが含まれます。

GPEはパートナーと協力して、各国の計画に気候リスクを盛り込むための技術的支援を提供しています。GPEの助成金のほぼ3分の1が気候変動対策への取り組みを支援していることから、GPEはセーブ・ザ・チルドレンとユネスコと共同で、気候変動への適応と環境の持続可能性を教育セクターの計画と予算に盛り込むための各国の能力を強化する「気候スマート教育システムイニシアティブ」(Climate Smart Education Systems initiative )を立ち上げました。

プレスリリースはこちらをご覧ください。

気候変動危機と教育のつながりについて考えよう

気候変動危機が深刻であることは、ここで言うまでもありません。自然現象を相手にする気候変動の課題と、人を相手にする教育は、一見、別々に取り組む課題に思えるかもしれません。しかし、例えば私たち日本で教育を受けたものは、様々な自然災害を想定した避難訓練や、防災グッズの用意など、災害時への備えを学校で身に着けた人は、多いのではないでしょうか。

GPEでは、教育と気候変動危機は密接に連関しており、切り離せないテーマだと考えています。気候変動による自然災害によって、学校インフラの崩壊や、長期化する避難生活によって教育の断絶が起きます。一方で、教育は、災害に対処するための術を身に着け、気候変動リスクを最小限にすることにも貢献する可能性があります。この記事ではGPEが取り組む気候変動危機への取り組みについてその外観を紹介します。

2023年現在、GPEが承認している合計84件のグラントのうち、凡そ22件のプロジェクトが気候変動危機に対処するための教育支援にあてられています。また、気候変動に起因する災害によって教育が断絶された地域のために、緊急支援として供与されるグラント(アクセラレーテッド・ファンディング)が6件承認されています。これら合計28件の気候変動危機に対処するためのグラントは、総額2億8,300万ドルに上ります。

気候変動危機に対処する教育支援プロジェクトの中身としては、1) 気候変動を教育カリキュラムや教員研修の題材として取り入れることと、2) 気候変動による災害リスクを考慮した学校設備の設計・建設に取り組むこと、の2つが主要な事業内容となっています。例えばラオスでは、GPEの支援を受けて新しい教員研修プログラムが導入され、研修を受けた教員たちはその中で自然災害による緊急事態時の対処方法について身に着ける一方、地域の自然環境をどのように保全するのか、地域の自然資源をどのように管理するのかといって、自然環境に関する知識を習得しています。また、教育施設に対しては、自然災害リスクに強い設計が取り入れられるようになりました。例えば、洪水対策のための灌漑インフラの改善、水不足が深刻な地域では雨水利用やリサイクルの導入、浸食や地滑りから校区を守るための植林事業などが行われています。ソマリアでは、GPEのグラントを受け、これから新設・改修される全ての学校に、可能な限り太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入することも決まっています。

自然災害から子どもたちを守り、教育の継続を可能とするためにできることは、まだまだ沢山あるはずです。

また、これ以上急速な気候変動を招かないために、私たちにできることは何か。ドナー国、パートナー国という括りに関係なく、GPEのパートナーシップ全体で、教育を通じて私たちが取り組むべきことを、これからも考えていきます。(文責:プログラムオフィサー・近江加奈子)

近江加奈子

第5回国際教育協力に関する勉強会「気候変動危機に対処するための教育協力」を開催します

9月26日(火)15:30~17:00に衆議院第一議員会館国際会議場にてFriends of Educationを開催します。

今回の勉強会特別セッションでは、GPEの副最高経営責任者チャールズ・ノース( Deputy CEO, Charles North)が来日し、気候変動危機に対処するためになぜ教育協力が重要なのかについて講和。気候変動危機に最も晒されている開発途上国の教育現場で何が起きているのか、モザンビークの現場をバーチャル・リアリティーで体験できる企画も用意しています。また、UNESCO-IIEP(ユネスコ国際教育計画研究所)の水野谷優部長も迎え、教育協力を通じた気候変動に対する多様なステークホルダーの取り組みについて発表いただく予定です。

なお、本イベントはTICAD30周年記念公式サイドイベントに認定されています。

4回目の勉強会の様子
写真右から高橋議員、牧島議員、鈴木議員、山本議員

「教育の変革」に関する教育大臣会合と閣僚級コミュニケ

パリで開催された「国連教育の変革プレサミット」に参加した閣僚たち
出典:GPE/Emmanuelle Jacobson-Roques

「国連教育の変革プレサミット」では、 80以上のGPEのパートナー国を代表する教育大臣達が集まり、 世界中の子どもたちの未来を脅かす前例のない教育と学習の危機に対処するため、変革的行動を動員することを決意し、閣僚級コミュニケが発表されました。

閣僚級コミュニケの中では、パートナー国の教育大臣達から、COVID-19の影響に加え、縮小する世界経済、食糧とエネルギーの不足、債務負担の増加、気候危機の悪化により、大きな学習損失が生じている緊急課題に直面していることが示されました。

これらの課題に対して教育を大規模に変革する必要性を訴え、 21世紀にふさわしい、公平で包括的、かつ強靭な教育システムを通じてアクセス、学習成果、男女平等を加速させることの必要性を強調し、国際社会に対して、以下の要求が示されました。

•援助の効率化、調和、変革に向けた国の優先事項や公約、そして教育の進歩の主な障害に対処するための制度との整合性を高めること。

•債務削減イニシアティブを含め、各国が教育に投資するための財政的余地を拡大することの支援を通し、教育資金をより多く動員すること。

•特に気候変動の悪影響に対処し、紛争や危機における教育を保護するために、特に最も周縁化された子どもたちにデジタル学習を提供する能力を向上させるなど、状況に応じた解決を支援する地域、国、グローバルなパートナーシップを強化し多様化させること。

「大規模な教育の変革に関する閣僚級コミュニケ」の詳細はこちら

バヌアツ:災害に強い教育システム構築による自然災害の影響への対応

バヌアツでは、2020年4月6日に熱帯サイクロン・ハロルドの上陸により、約885校の一部または全部が破壊されました。このサイクロンはインフラや生活に広範な被害をもたらし、約51,000人の生徒と2,400人の教師が直接被害を受けました。またバヌアツでは、サイクロンの余波に加え、COVID-19の影響にも対処が必要でした。GPEでは20、21年に合計425万ドルの支援を行いました。この支援には以下の内容が含まれます。GPEの支援は、教育省の実施計画に沿ったものであり、国内外の支援とも重複しないように設計されました。

•サイクロンで被害を受けた幼稚園に7,600点以上の教材を配布

•サイクロンの影響を受けた少なくとも83の小学校に水タンクを設置

•就学前と小学校の子どもを対象とした家庭学習用パッケージの作成支援 •保護者向けのホーム

•スクール・ガイドラインの作成支援

•407の小学校の学校の安全な再開と運営継続の支援

GPEによるバヌアツの支援についてさらに詳しく知りたい方は、バヌアツ:災害に強い教育システム構築による自然災害の影響への対応をご覧ください。

バヌアツの小学校で学習する児童 (Credit: GPE/Arlene Bax)

気候変動と教育に関するGPEの取り組み

気候変動により、災害の頻度と強度が高まり、長期的な環境悪化が加速しています。インフラの破壊、強制移住、生計が立たなくなること、健康への悪影響などの気候変動の影響により、子どもたちのウェルビーイングや就学に悪影響がもたらされます。GPEではこのような気候変動の影響を考慮した教育システム変革の支援を行っています。

質の高い教育は、気候変動の緩和を促進するための知識を人々に与え、気候変動に対応した経済を構築するためのスキルを身につけることにつながります。また、気候変動の影響を受けても子どもたちが学校に通い続けるためには、気候変動に対応した教育システムの構築が必要です。これには、リスクを考慮した設計、気候変動に強いインフラ、気候変動や災害リスクに関するカリキュラムや教師トレーニングなどが含まれます。

GPEは、幼児学習、基礎的スキル、様々な21世紀に必要なスキルを含む、教育の各段階における学習改善に向けて各国を支援しています。これには、カリキュラムや教師のトレーニングを通じて、気候変動教育や災害リスクの認識を促進することも含まれます。GPEによる気候変動に対応した教育システム構築に関するバヌアツの事例をご覧ください。

シエラレオネの学校で、アフリカを示す地球儀を持つ生徒。
シエラレオネ、2015年1月。(Credit: GPE/Stephan Bachenheimer)