ウェビナー「教育におけるエビデンスの活用」のご案内

SUMMA(The Laboratory for Research and Innovation in Education for Latin America and the Caribbean)とOECS(Organisation of Eastern Caribbean States)が、GPE と IDRC の支援の下で行われる「教育におけるエビデンスの活用」というタイトルでウェビナーを2日連続で開催します。

日時:
①9月27日(水)(26日(火)24時)から1時間
②9月28日(水)(27日(火)24時)から1時間

①27日の内容
・「教育政策におけるリサーチの役割」経済協力開発機構(OECD)Dr. Nóra Révaiプロジェクトリーダー兼アナリスト
・「教育政策立案者のエビデンス・ニーズへのより良い対応による「知ること」と「行うこと」のギャップへの対処」 Education.org Dr. Suzanne Grant Lewis教育科学・政策委員長
・「エビデンスを学校システムに統合する」エビデンス・シンセシスDr. Jonathan Kay責任者
・「教育における社会正義のためのエビデンスの動員~グローバル・サウスからの経験~」 SUMMA Dr. Javier Gonzalezディレクター
・質疑応答

②28日の内容
・「エルサルバドルにおける教育の変革~エルサルバドル教育省「Mi Nueva Escuela」プログラムの経験~」エルサルバドル教育・科学技術省 José Mauricio Pineda Rodríguez教育大臣

・「教育の未来に向けて~教育セクタープラン2021-2025. ガイアナ教育省の経験~」ガイアナ教育省 Nicola Marcia Johnsonチーフ・プランニング・オフィサー

・「東カリブ諸国における教育データ強化のための地域戦略~教訓と課題~」 OECS シニア・テクニカル・スペシャリスト

イベントの詳細はこちらをご覧ください。
日本では遅い時間帯ですが、皆さまのご参加をお待ちしております。

コラム「国際教育協力における日本の NGO の役割、今後の展望 」

教育協力NGOネットワーク(JNNE: Japan NGO Network for Education)の三宅隆史事務局長に「国際教育協力における日本の NGO の役割、今後の展望 」というテーマでコラムを書いて頂きました。

三宅隆史さん

万人のための教育目標に真摯に取り組むすべての国は資金不足のせいでその達成が妨げられてらならない」という誓約が2000年のダカール会合で合意された。この誓約を具現化した国際協力の仕組みがGPEである。NGOは2002年のGPEの設立のために世界銀行と共に主導的役割を果たした。以来NGOは教員組織と共に市民社会を代表して、GPEの理事を務めその方針策定に関与するとともに、先進国政府にGPEへの貢献を働きかけてきた。

日本の教育分野NGOの連合体である教育協力NGOネットワーク(JNNE)は、日本政府の基礎教育援助の拡充のためのアドボカシーとキャンペーンを行っている。JNNEの日本政府への提言の一つがGPEへの拠出増額である(https://jnne.org/action/参照)。

低所得国の教育予算の9割は教員給与であり、圧倒的な資金不足に低所得国政府は直面している。教員は不足しかつ給与は悪い。GPEは低所得国の教育予算不足を軽減し、教育制度を改善する最大の援助機関である。今年度日本政府は、新開発協力大綱およびG7広島サミット首脳宣言に沿って教育協力政策を改訂する予定である。JNNEはGPEとの連携強化を含む基礎教育支援の拡充が新政策の優先分野となるよう働きかけていく。

国連総会におけるGPEのイベント

国連総会が開幕中です。
GPEも、いくつかのイベントを主催したり、参加しています。

※開催場所がニューヨークのため、時間は全て現地時間です。

GPEが主催しているイベント
■9月16日(土)
「Unlocking the Next Generation of Changemakers」
時間:11時15分~12時45分
場所:国連本部
主催:GPE, UNF, Unlock Coalition

■9月18日(月)
「Climate, Gender and Education: Intersections」
時間:09時30分~11時30分
場所:Population Council Office
主催:PopCouncil, Girl Rising, Brookings CUE, GPE

■9月18日(月)
Investing in Education Systems for Sustainable Development and Children’s Wellbeing
時間:15時30分~17時
場所:国連本部 CR11
主催:RFF, Kenya, Switzerland, UNICEF, GPE

■9月20日(水)
Shaping the Future: What is Education Systems Transformation and How Do We Actually Achieve It?
時間:8時~9時30分
場所:Goals House, Tavern on the Green, West 67th St, New York, NY 10023
主催:GPE, Brookings CUE, and the Cambridge Partnership for Education

■9月21日(木)
Reimagining the Future: Centering Education, Gender, and Climate for a Sustainable World
時間:09時~11時30分
場所:Population Council Office
主催:Population Council, Girl Rising, Brookings CUE, GPE, EGER

GPEが参加するイベント
■9月17日(日)
「High Impact Initiative on Transforming Education at SDG Action Weekend」
時間:10時~
場所:国連本部
主催:UN DSG

■9月19日(火)
「Tony Elumelu Foundation (TEF) Breakfast Roundtable」
時間:8時~
場所:575 5th Avenue, 32nd Floor
主催:GenU, UNICEF, UNDP

■9月19日(火)
「Human Capital Africa」
時間:13時~
場所:Harvard Club in New York
主催:Human Capital Africa

■9月20日(水)
「High-Level Dialogue on Financing for Development」
時間:10時45分~12時
場所:Trusteeship Council Chamber, UNHQ
主催: UN PGA

GPE Japan Youth企画: GPE Staff Interview Series第3回 木部崎彩職員

GPEのユースリーダーの活動の1つにGPEの現場で働く職員をインタビューするGPE Staff Interview Seriesという企画があります。GPEの職員が日頃どのような活動をしているのか、実際に働いている人にユースリーダーが話を聞いていくものです。

今回はユースリーダー・高橋真理奈さんが、GPE事務局シニア・カントリー・オペレーション・オフィサーの木部崎彩さんにお話を伺いました。動画はこちらです。

インタビューに答える木部崎さん

高橋: まずはじめに、自己紹介もかねて、木部崎さんのGPEにおける役割や仕事内容について教えてください。
木部崎さん: GPE事務局のカントリーチームリードという仕事をしています。GPEのフレームワーク、ツールそれから資金をつかってパートナー国の基礎教育がどうやって強化していけるだろうかというサポートを国ごとにチームで仕事をしていて、それをまとめる役割をしています。具体的には、GPEにはローカル;エデュケーション・グループ (LEG)といって、教育省を中心としたパートナーシップをつくって強化しようということをしていて、いろいろな教育のステークホルダーを教育省がリーダーシップを握りつつ国際機関や企業、学術機関、先生、PTA、市民社会すべてのステークホルダーが集まって、どうやって教育を良くしていくか、どうやって政策の改善につながるだろうかと一緒に考えることが一番重要です。

高橋: 木部崎さんはユニセフのカントリーオフィスで勤務されたのち、GPEに参画されたとのことですが、ユニセフなどほかの国際機関と比べて、GPEの教育支援の特徴は何でしょうか。
木部崎さん:最大の特徴はやはりパートナーシップですね。英語ではレバレッジといいますが、パートナーシップをつかって、より大きな結果につなげていこうとしているところが大きな特徴です。LEGを通じて改善していこうとしていて、彼ら自身が実施していくことをサポートしていきます。パートナー国では、「“GPE”がではなく、あなたたちがどうしたいか、あなたたちが教育をよくしてくかを考え、一緒に進んでいくためにGPEがサポートしている」とよく言っています。また、プログラムレベルでなくセクターレベルでものごとを考えている点もあります。GPEでプログラムもやっていますが、プログラムをマクロでとらえるセクターでみています。例えば、プログラムは予算が限られていますけれど、国家予算は大きいので、国家予算のどのくらいが教育に使われているか、どうやって教育に割り当てられるのか、割り当てられていても無駄がなく使われているか、貧困層や女子、障害のある子どもに行き届いているかー。資金を増やす、それから、ある予算をどうやって使うかを見ています。教育省とLEGに一緒に分析してもらい、改善の必要性を感じてもらい、それによってより大きな結果につなげていくことを目指しています。うまくいけば大きなインパクトが得られますし。

それから、GPEは援助機関ではなくパートナーシップなので、ユニセフ、ユネスコ、世界銀行など他の機関への資金供与を通して教育を支援しているのも大きな特徴です。そして、GPEのプログラムの内容については「このお金がどうやったら子どもに一番有効に使えるか」はLEGに決めてもらっているのです。他の援助機関もプログラムをつくるときにステークホルダーコンサルテーションで意見を聞いていますが、GPEではさらに重点をおいている点が他の機関と異なる特徴です。

高橋: ユース時代はどのようにお過ごしでしたか?GPEで働くようになった経緯や、教育協力に興味を持ったきっかけがありましたらお聞かせください。
木部崎さん:小さいころアメリカで7年過ごしているんですけど、9歳のときに家族旅行でメキシコに行ってその時に初めて途上国の貧困を目の当たりにしました。ホームレスの親子を見てハッとしたのが初めのきっかけです。中学生になって日本に戻ったとき、テレビでコソボの紛争が放送されていて、その中に、日本人女性に着目した番組があって、その方のことをいいなと思ったことがありました。それから、日本ユニセフ協会がファンドレイジングの番組をやっていたのをみて、中3の時に、子どものために仕事をするのっていいなと思い、ユニセフに入りたいと思いました。ユニセフで働くためには大学院に行く必要があり、入学前にNGOのインターンシップでHIV予防プログラムをやっていて、コートジボワールにモニタリングに行ってきてくださいと言われました。3ヶ月間田舎で過ごして、衝撃的でいい経験になったのですが、その時に、「どうやったらたくさんの人のサポートができるだろう」と考えた時に、教育だと思いました。モノやお金をあげても解決にならない、みんなが自分の人生をどうやって良くしていけるかー、その切り開いていく力、社会を良くしていける力を得るのは教育だと思い教育に決めました。

ユニセフのマダガスカル事務所、ネパール事務所で仕事をして、女子教育や幼児教育に携わってきて、そのあと、ユニセフの次のポストを探さなきゃという時、マダガスカル時代の上司のすすめもあり、GPEに応募しました。一生ユニセフと思っていたので自分でも驚きでしたが、マダガスカル時代に出張で来ていた尊敬する女性から、「ユニセフもいいけどほかの国際機関やNGOなど、違うところで経験を積むとあなたの視野が広がる」と言われて、挑戦することにしました。結局、GPEが楽しくてもうすぐ10年目になります。

高橋: GPEが途上国で活動する上で苦労したことや、GPEだからこそ発揮できる強味はありましたか。
木部崎さん: 苦労といえば、人と仕事をしていくので楽しい醍醐味でもあるのですが、自分たちでやるのではなく、アドバイスをすることによって動いてもらうので、パートナー国で教育省の人も国際機関の人もステークホルダーは日々やらないといけない仕事があり、その中で、セクターレベル(教育開発計画や国家予算の分析など)の仕事いきましょうと声を上げるのは大変なことも国によってはあります。

GPEだからこそというと、ミャンマーが何年か前にGPEのメンバー国になりましたが、GPEはエクイティ、一番助けを必要としている人に教育が何を出来るかを啓蒙しているのですが、その時ロヒンギャの問題が注目され始めていて、ミャンマーではすでに国内避難民が発生している状況でした。GPEに加盟することでミャンマー政府にとって資金を受けられるなどいい面もありますが、パートナーシップであったりロヒンギャであったり難民であったり、そういった状況がどうやって改善しているかは聞かれるので、それを啓蒙する機会になりました。最初にLEGに説明したとき、他の国際機関から、「国をベースにしているドナーからはセンシティブな話題は触れられないでいたが、GPEが来てくれて、聞いてくれることによって、それを活用して議論を進めていくことができる」と言ってもらえました。それに続くGPEのグラントミーティングで80ミリオンドルの資金からしっかりロヒンギャや少数民族に割り当てられたグラントをつくることを政府が承認してくれました。クーデターでそのプログラムの実施は難しくなってしまいましたが、うれしかった成果でしたね。GPEが外にいる大きなパートナーだからこそ、プッシュできたことだと思います。

高橋: 教育協力でパートナーシップはなぜ重要なのでしょうか?また、パートナーシップを尊重して活動する中で心がけていることがあれば、教えていただきたいです。
木部崎さん: 個人やひとつの組織でできることは限られていると思います。月並みですけどみんなの力を合わせることによって、より大きな結果により早く到達することができるようになると思います。

教育協力のエリアで考えると、幼児教育や基礎教育、中等基礎教育に重きを置いている団体もいれば、職業訓練が大事だと考える団体もありますよね。でも結局、問題とか解決策はどこかでつながっていると思うんです。たとえば、教員養成のシステムを強化したり、カリキュラムや教材を見直すといったときも、1学年とか初等教育だけを見るわけにはいかないですよね。つながっているので、全体をみて連携して、教育システムとしてどうやって改善していくのだろうかとする姿勢が大事だと思います。一つの機関でできることがかぎられていても、みんなの強みをいかして、うまく連携してサポートをすればもっと効果的になるのではないかなと。そういった面でパートナーシップは大事だなと感じます。例えば、私が担当しているある国では、大きな組織やNGOを含めると、教員の質の改善と国語・算数の教材の改善をしている団体・プログラムがいっぱいあるんですよ。でも、みんながツールやプログラムを最初から作り上げるのは、もちろんいいのですが効率的でない面もあります。こんなに多くの団体があるのに、まだ全ての子どもがカバーされていないんですね。でも、みんながツールや知見を持ち寄って、どうやったらより多くの子どもに届けることができるだろうと考えてアプローチができると思うんです。みんなの意見を持ち寄って調整することは短期的には困難なことでもありますが、中長期的にみると大きな支援につながるので、このあたりでパートナーシップはすごく大事だと思います。

私自身も、ほかのGPE事務局の職員も気を付けていることは、政府の主導権とLEGの働きを尊重して、少しずつアドバイスをすることでしょうか。ここは強化できるのではないかと思うことがあっても、こうしなさいというのではなく、どう思いますかと働きかけることが大事ですね。先ほどの例のように、似たようなプログラムが混在している状況であれば、その状況で生じた弊害はあったか、どうやったら改善できると思うかと問いかけ、問題意識を持ったもらい改善につなげてもらっています。LEGのコーディネーションがうまくいっていない場合には他国の事例も交えながら、国の状況に合わせてアドバイスをしています。

アドバイスをする時には、その国の状況がわかっていないといけません。会議や書類だけでは分からないこともたくさんあり、パートナー国のいろいろな人と信頼関係をつくることによって、LEGや教育省でおきていることを知ると、解決策がみえてきやすくなるかなと思います。

高橋: 木部崎さん、興味深いお話をありがとうございました。GPEの職員が日々経験していることを生でお聞きするのはとても貴重な機会でした。教育協力に長年携わってきた木部崎さんのお話を聞くことができ、学ぶことが多くありました。また、同じ日本人としてたくさんのインスピレーションを受けることができました。

木部崎彩さん(きべさき あや)
GPE事務局シニア・カントリー・オペレーション・オフィサー。バングラディッシュ、カンボジア、ミャンマー、ネパール、ベトナムのカントリー・リーダー。前職のユニセフではエデュケーションスペシャリストとしてブータン、マダガスカル、ネパールに勤務。シドニー大学で国際教育学の修士号、サセックス大学でジェンダーと開発の修士号を取得。

高橋真理奈(たかはし まりな)
日本でマイノリティとして育った経験を通じて、教育の力を実感する。大学卒業後はコンサルティング会社に入社。現在はNPO法人のカントリーマネージャーとして遠隔地へ映像授業を提供している。

高橋真理奈さん

インタビューを終えて
教育協力のキャリアを歩みたいと思っている私にとって、大切な姿勢をお聞きすることができたインタビューでした。教育は、一度実施したら終わりでなく届け続けること、そして、とりこぼされる人がいないことが重要です。いろいろなプログラム・団体が教育を届けていますが、それぞれの強みがいかされ、長期的に教育システムがよい方向に向かっていくためにも、パートナーシップは重要な働きをしていることを改めて認識しました。(高橋)

エジプトがGPEのパートナ国に

エジプトの学校にて
(出典:UNICEF/Egypt 2017/Ahmed Hayman)

本日9月7日、エジプト・アラブ共和国がGPEのパートナー国に加わりました。エジプトは、5,000万ドルのGPEマルチプライヤーのグラントと、最大440万ドルのシステムキャパシティーグラントの対象となります。
詳細は英語のホームページをご覧ください。

第5回国際教育協力に関する勉強会「気候変動危機に対処するための教育協力」を開催します

9月26日(火)15:30~17:00に衆議院第一議員会館国際会議場にてFriends of Educationを開催します。

今回の勉強会特別セッションでは、GPEの副最高責任者Charles Northが来日し、気候変動危機に対処するためになぜ教育協力が重要なのかについて講和。気候変動危機に最も晒されている開発途上国の教育現場で何が起きているのか、モザンビークの現場をバーチャル・リアリティーで体験できる企画も用意しています。また、UNESCO-IIEP(ユネスコ教育計画研究所)の水野谷優部長も迎え、教育協力を通じた気候変動に対する多様なステークホルダーの取り組みについて発表いただく予定です。

なお、本イベントはTICAD30周年記念公式サイドイベントに認定されています。

4回目の勉強会の様子
写真右から高橋議員、牧島議員、鈴木議員、山本議員

マルチプライヤーを活用したJICAとの取り組みがGPEのブログ(英語版)に掲載されました


強力なパートナーシップは、教育を変革するGPEの活動の中核とな
っています。
マルチプライヤーを通じて、JICA とGPEはパートナーシップを深め、
日本の知識を活用して、パートナー国での教育の前進、学習危機
対策に取り組んでいます。パプアニューギニアとパキスタンでの活
動の模様がGPEのホームページ(英語)で紹介されましています。
こちらをご覧ください。

「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」にGPEユースが登壇しました

7月4日に開催された広島大学と筑波大学主催の「持続可能な開発目標達成に向けた国際教育協力日本フォーラム」(18th JEF for SDGs)にGPEユースの高橋真理奈さんが登壇しました。

フォーラムのプログラムはこちらです:
【テーマ】脆弱な立場に置かれている人々の 教育の質、学びの成果
【主催】広島大学,筑波大学
【後援】文部科学省,外務省,国際協力機構(JICA)
【スケジュール】
1) 開会挨拶、キックオフトーク
2)パネルセッション① (コロナ禍・ポストコロナ教育対応からの教訓)
ジョン・アーノルド(SEAMEO 副事務局⻑ プログラム・開発担当)
山脇智志(キャスタリア株式会社CEO)
西方憲広(JICA国際協⼒専⾨員))
高橋真理奈(GPEユース)
モデレーター…アントニス・マノス(UNESCO GEMリポートディレクター)
3)パネルセッション② (脆弱な⽴場に置かれた⼈たちの教育)
クアシス・シヤブ(ヨルダン教育省)
ロイズ・ギチュヒ(ナイロビ大学)
菊地翔(セーブザチルドレン)
モデレーター…日下部 尚徳(立教大学)
4)質疑応答・ディスカッション
5)閉会挨拶

高橋さんに当時のことを振り返ってもらいました。

フォーラムで発言する高橋さん(左下)

今年のJEFは「脆弱な立場に置かれている人々の教育の質、学びの成果」をテーマとし、特にコロナ禍による「学びの損失」について、コロナ禍を通して教育はどのように変わったのか、脆弱な⽴場に置かれた⼈々へどのように教育の機会を提供できるかなど、ほかの登壇者とともに多様な視点からと議論しました。
登壇したパネルセッションでは「コロナ禍・ポストコロナ教育対応からの教訓」について、コロナ渦の学習を遮断させないためのユースの活動を紹介しました。

コロナ渦では、GPEの67のパートナー国のうち63カ国で休校処置がとられ、子どもたちは教育へのアクセスを失っただけでなく、栄養のある給食や衛生へのアクセスも失いました。テクノロジーを活用した遠隔授業が各地で実施されていましたが、GPEユースは、女子生徒や農村部の生徒など、より困難な状況にある子どもたちが取り残されないために、各国のリーダーへ手紙を届けたり、GPE公式ホームページへの寄稿を通して教育格差について声を上げました。

アフターコロナで教育が徐々に回復する中、パートナー国のユースは、このような災害が教育を妨げないこと、どのような状況にあっても子どもたちに教育が届く支援を続けてほしいと訴えていることを紹介しました。

ドナー国のユースとして、日本はG7首脳宣言で表明された敎育へのコミットメントを実現するため、積極的なリーダーシップを発揮すること、そして、教育危機を乗り越えるために、短期的な支援だけでなく、GPEフレームワークを活用し、現地で活動している他の援助機関・国際機関・NGO・民間・財団等と連携をしながら、長期的な政策・計画を基に教育制度を包括的に支援することを訴えました。

参加者の皆さん

JICAが共同出資するエチオピアにおけるマルチプライヤーの関心表明書(Expression of Interest)がGPEの理事会において承認されました

エチオピアの学校給食プログラムの様子 (今年1月撮影)
出典:GPE/Translieu

エチオピアの教育省がGPEに提出していたマルチプライヤーの関心表明書(Expression of Interest)が2023年6月に承認されました。

当該マルチプライヤーは共同出資者であるJICAからの資金(約8百万USドル)を基に、GPEのマルチプライヤー資金(約2百万USドル)と合わせ、合計10.7百万USドルが承認されました。

エチオピアのマルチプライヤー事業では、紛争の影響が色濃く残るティグレイ州、アムハラ州を中心に、教育関連施設の修繕・改修を行います。実施にあたっては、共同出資者であるJICAが中心となり、現地のグラント・エージェントであるUNICEFエチオピア事務所と協働しながら取り組みます(詳細はインタビュー記事を参照)。
GPEマルチプライヤーの枠組みを活用することで、JICAとUNICEFが協働的に現地の教育問題に取り組み、連携を通じて支援の効果が高められることが期待されます。 GPEが推進する「パートナーシップ」:援助協調がJICAと共に実現できる良い例とも言えます。