G7首脳宣言を受けてラウラ・フリジェンティCEOのコメント

一昨日まで広島で開催されていたG7サミット。首脳宣言では教育の項目が設けられると同時に、GEPをはじめとする国際機関が言及されました。

これを受けて、弊基金CEOラウラ・フリジェンティがコメントを発表しました。英語の原文はこちらです。

教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)は、成長、回復、安定の原動力として教育を優先するというG7首脳の新たなコミットメントを歓迎するとともに、今年のG7においても教育が重要課題に掲げられるよう、リーダーシップを発揮された日本そして「教育チャンピオン」である岸田首相に謝意を表します。


G7首脳のコミュニケは、「職業教育を含め、包摂的で公平な質の高い教育の確保に向けて前進することにコミットし、強靱で生産的な社会を築くために、全ての人の生涯学習の機会を促進する」ことを求めています。


世界が未曾有の学習危機に直面している今、G7各国によるこのリーダーシップは極めて重要です。この危機に対処できなければ、社会的、政治的、経済的に悲惨な結果を招き、全世代の未来を危うくすることになります。


政治的な意思だけでは、拡大するこの教育の緊急事態に対応することはできません。声明は、具体的な行動と、国内外を問わず教育への追加的なリソースに変換されなければいけません。


したがって、私たちは、「各国が最も疎外された子どもたちのために、より強固な教育システムを構築することを支援するための主要なパートナーである「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」や「教育を後回しにはできない基金(ECW)」、また、国連教育科学文化機関(UNESCO)や国連児童基金(UNICEF)を含む国連機関に対する継続的な支援を求める。」するというコミットメントをとても歓迎します。


G7を含むドナー国で経済活動が低迷し、援助予算や教育予算の割り当てが削減される中でこれらのメッセージが発信されたことは、注目に値すると考えます。


2年前、イギリスが議長だった年、G7各国はGPEが掲げる資金調達目標額の約半分である27.5億ドルを拠出し、GPEのパートナーシップに対して目標の資金額を確保するためにコミットすることを約束しました。ただし、この目標はまだ達成されておらず、4,600万人以上の女児に教育を提供し、G7が採択した女児教育の世界目標を達成するための進捗を妨げています。


来年のG7はイタリアが議長国となりますが、イタリアが教育をG7の恒久的な議題とし、最重要課題の一つとして位置づけることを期待しています。そうすることで、教育システムの変革を促し、経済発展を促進し、より緑豊かで平和な未来への道を切り開くことを議長国としてイタリアが後押しできるのです。


未来は、ただ受動的に待っているものではなく、私たち自身が今日、積極的に形作るものなのです。G7首脳宣言は、有意義でインパクトのある変化のために必要な条件を作り出すことに、私たちを一歩近づかせました。

私たちは、G7各国がこの勢いに乗り、この言葉を、私たちが直面している危機の緊急性と重大性に見合った、具体的な行動と実質的な財政的コミットメントに変えることを求めます。

G7首脳宣言に「教育」の項目が。GPEにも言及

開催中のG7広島サミットにて、20日夜、「G7広島首脳宣言」が発表されました。
原文はこちらです:
https://www.g7hiroshima.go.jp/documents/pdf/Leaders_Communique_01_en.pdf

首脳宣言では、
ウクライナ、核軍縮・不拡散、インド太平洋地域、世界経済・金融などの項目に加えて、「教育」という項目も盛り込まれました。


原文では
「We welcome the UNSG’s Transforming Education Summit (TES) in September 2022, and call for continued support to the Global Partnership for Education (GPE), Education Cannot Wait (ECW) and UN agencies including the UNESCO and UNICEF as key partners in helping countries to build stronger education systems for the most marginalized children.」とGPEのことにも言及されています。

外務省から発表されてた日本語訳の該当箇所はこちらです。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100507034.pdfより)

<教育>

  1. 我々は、職業教育を含め、包摂的で公平な質の高い教育の確保に向けて前進することにコミットし、強靱で生産的な社会を築くために、全ての人の生涯学習の機会を促進する。近年の危機は、子どもや若者、特に女児や最も社会的に疎外され脆弱な状況にある人々の教育へのアクセスの減少や学習機会の損失の増大につながっている。教育は全てのSDGsの目標を達成するための触媒であるため、我々は、特にCOVID-19のパンデミック以降において教育を堅持し、より強靱な教育システムを構築する重要性を再確認する。我々は、全ての学習者の教育機会を保護し、ジェンダー平等とあらゆる多様性をもつ全ての女性及び女児のエンパワーメントを、この点に関する世界の政府開発援助(ODA)を優先することを含め、教育において、また、教育を通じて推進するというG7のこれまでのコミットメントを堅持することを改めて表明する。我々は、2022年9月の国連事務総長による教育変革サミット(TES)を歓迎し、各国が最も疎外された子どもたちのために、より強固な教育システムを構築することを支援するための主要なパートナーである「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」や「教育を後回しにはできない基金(ECW)」、また、国連教育科学文化機関(UNESCO)や国連児童基金(UNICEF)を含む国連機関に対する継続的な支援を求める。我々はまた、教育が人権の一つであることに留意しつつ、基礎学習の重要性及び全ての学習者、特に子供たちが成長し、自らの福祉を増進するために必要な知識と技能を備えた質の高い学習機会を提供するため、G7がより公平かつ効率的な方法で人への投資を拡大する必要性を改めて表明する。我々は、より強靭で、包摂的で、かつジェンダー分野で変革的な教育のために、就学前教育から高等教育まで、ジェンダーに関連する障壁や根本的な差別的社会規範を引き続き打破する。我々は、若者間の国際交流、学生・研究者間の国際的な人材の移動及び循環、並びに高等教育機関や研究機関との間の協力を引き続き奨励する。我々は、教育を通じて経済成長を実現すると同時に、社会的課題の解決に貢献できる人材支援への投資の重要性を認識する。我々は、学校の指導・運営体制の整備も含め、全ての子どもが自らの可能性を発揮できる教育環境及び生涯学習の機会の整備に向けて努力する。これには、デジタル格差を拡大させないようにしつつ、少人数学級の推進、改善された情報コミュニケーション技術(ICT)環境の整備、教育・学習を支援するデジタル技術の効果的な活用を含み得る。

既にお伝えしていますが、G7教育相会合では弊基金CEOのビデオメッセージが会場で流されていました。

G7教育大臣会合 応援事業

G7富山・金沢教育大臣会合の応援事業に弊基金が掲載されています。

事業として大きく
①重点的な開発支援と、迅速な緊急支援
②機能的な教育システム構築のサポート
③世界中の政府・団体と調整して資金を割り当て
を紹介しています。

→(pdfです)https://www.mext.go.jp/content/000026703-mxt_ope01-20230511_1.pdf

「国際開発ジャーナル」にインタビュー掲載中

現在発売中の「国際開発ジャーナル」の「Message to Japan」というページに弊基金CEOのインタビューが掲載されています。

こちらの雑誌は

・紀伊国屋書店 札幌本店
・丸善 丸の内本店
・三省堂書店 経済産業省売店
・ジュンク堂書店 池袋本店
・紀伊国屋書店 新宿本店
・ジュンク堂書店 大阪本店
の上記6店舗で常時取り扱いをしていて、それ以外の書店でも電話注文が可能です。

どうぞご覧ください。

G7国会議員、教育に関する共同声明に賛同

世界中の国会議員が一致団結し、G7首脳に対し、教育に対する政府開発援助(ODA)の保護や優先順位付け、増額を約束するよう要請しました。発表原文

声明

「G7各国の国会議員として、我々はG7諸国に対し:

・2023年のG7外相会合の際に国際教育協力を議題に入れること

・G7首脳のコミュニケの中に国際教育協力に関する資金の保護や優先順位付け、増加に対する明確なコミットメントを確保することにより持続可能な開発目標のゴール4の進展を早急に推進すること 以上を要請します」

この声明は、G7の国会議員が、教育を後回しにはできない基金(ECW)、International Parliamentary Network for Education(IPNED)、Global Campaign for Education(GCE)と共同で、教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)が主催するオンラインでの意見交換会に参加し、ハイチとエチオピアの教育大臣から、ずっと続く教育危機の深刻さと規模について現場からの状況の発表があり、その内容を受けて国会議員たちが立ち上がって出来たものです。

GPEのラウラ・フリジェンティCEOと共同議長を務めた鈴木貴子議員は、 「世界の主要な経済大国が広島に集まるG7首脳サミットで、多くの開発途上国において深刻な教育危機があることを認識しなければなりません。日本を含むG7諸国が、教育を最重要課題として取り上げ、国際教育協力に関する資金の増額を確保することは非常に重要です。私たちには、理想を語るだけではなく、行動を起こす責任があります。」と述べています。

GPEのラウラ・フリジェンティCEOは、2017年に遡って毎年G7諸国が国際教育協力を重要視する文言をG7首脳の共同コミュニケに盛り込んできた強力なレガシーに言及し、G7の国会議員間における団結を示したことを歓迎しました。 フリジェンティCEOは「G7の各国の代表が教育問題だけでなく、数多くの困難な国際課題に直面していることはあきらかです。その中でも平和と世界秩序を守るという決意をG7の議長国として表明している岸田首相に拍手を送ります」と述べています。

署名議員抜粋

日本:鈴木貴子衆議院議員、谷合正明参議院議員、高橋光男参議院議員

カナダ:ヘザー・マクファーソン下院議員ら

フランス:アンドレ・ヴァリニイゼール上院議員

ドイツ:スザンヌ・メンゲ連邦議会議員

イタリア:リア・クアルタペレ外交・地域問題委員会副委員長

イギリス:ヴィッキー・フォード元外務・英連邦・開発省大臣ら

アメリカ:ロイス・フランクル下院議員ら

コンゴ民主共和国の学校にて
出典:GPE/Elvix Kwanu

国会議員の意見交換会を開催

会議中の様子

G7サミット開催前の3月30日、G7の国会議員が、GPE主催のオンラインの意見交換会に参加し、G7首脳に対して教育に対する政府開発援助(ODA)の保護や優先順位付け、増額を約束するよう声明を発表しました。鈴木貴子議員には、GPE・ラウラ・フリジェンティCEOと共同議長を務めていただきました。世界各国の議員たちと英語でやり取りし、円滑に会議を仕切って頂きました。また、谷合正明議員、高橋光男議員も参加して下さいました。武井俊輔外務副大臣からもビデオメッセージを頂きました。

背景
私たちは現在、教育の危機に直面しています。新型コロナウイルスのパンデミックによって、子どもたちの将来の生涯年収は21兆米ドルも減るという試算が出ています。基礎教育を通じた人的資本への投資は、私たちの最大の脅威に対処し、持続可能で民主的、平和的で豊かな社会の基盤となる最も有望な解決策です。 教育システムを変革することで、人と地球の両方が繁栄することが可能になります。 しかし、これはG7が教育資金を保護し、優先し、増加させることによってのみ実現することができます。

発表された共同声明
G7各国の国会議員として、我々はG7諸国に対し:
・2023年のG7外相会合の際に国際教育協力を議題に入れること
・G7首脳のコミュニケの中に国際教育協力に関する資金の保護や優
先順位付け、増加に対する明確なコミットメントを確保することにより持続可能な開発目標のゴール4の進展を早急に推進すること
以上を要請します。

署名議員抜粋
日本:鈴木貴子衆議院議員、谷合正明参議院議員、高橋光男参議院議員​
カナダ:ヘザー・マクファーソン下院議員ら
フランス:アンドレ・ヴァリニイゼール上院議員
ドイツ:スザンヌ・メンゲ連邦議会議員
イタリア:リア・クアルタペレ外交・地域問題委員会副委員長
イギリス:ヴィッキー・フォード元外務・英連邦・開発省大臣ら
アメリカ:ロイス・フランクル下院議員ら

武井俊輔外務副大臣ビデオメッセージ
複数の危機のためにSDGsの達成に悲観的な見方が広がっていることを紹介。日本が人間の安全保障を推進するために不可欠な分野
として、国際基金への幅広い二国間プログラムおよび支援について言及しながら教育への支援を強調してきたことにも触れました。
日本はSDG4達成のために教育セクターへの支援に引き続き注力していくことを伝えました。

鈴木貴子議員のコメント(原文は英語)
意見交換会のあと、鈴木貴子議員からは、世界の主要な経済大国が広島に集まるG7首脳サミットで、多くの開発途上国において深
刻な教育危機があることを認識しなければならず、日本を含むG7諸国が、教育を最重要課題として取り上げ、国際教育協力に関す
る資金の増額を確保することは非常に重要だとコメントしています。また、国会議員たちには、理想を語るだけではなく、行動を
起こす責任があります」とも述べています。

谷合正明議員
日本が議長国であるということを振り返り、教育投資は人間の安全保障の一部であるとして、日本が教育への投資を強く提唱して
いることを改めて強調しました。

高橋光男議員
日本はG7議長国として国際教育協力をリードする必要があり、将来を担う子どもたちのために一層働きかけていくとの力強い言葉
を頂きました。

GPE幹部によるJapan Mission

12月15日、16日にポウレグ・パワー(最高財務責任者)、 カレン・シュロー(最高対外関係責任者代理)、 松吉由希子、(アジア地域における対外関係の上級責任者)が日本を訪問し、GPEと日本の各機関とのパートナーシップについて議論しまいた。

日本の訪問では、3名はまずFriends of Educationのキックオフ会に参加し、カレン・シュロー(最高対外関係責任者代理) が、参加者に対して来年のG7において「教育」を課題として掲げることの重要性を訴えました。また、外務省、経済産業省、文部科学省、財務省、JICA、日本財団、そして国会議員の方々を訪問させていただきました。ご対応いただいた皆様大変ありがとうございました。

G7外務・開発大臣会合で合意された女子教育に関する目標とGPEの取り組み

5月3日から5日にかけてロンドンにおいて行われたG7外務・開発大臣会合では、2026年までに更に4,000万人の女子を学校に通わせ、2,000万人の女子に10歳または小学校修了までに読解力を身につけるという、女子教育に関する新たな目標にG7が共同で合意しました。

G7で合意さえれた女子教育に関する目標の実現に向けてた、GPEの取り組みを紹介いたします。

GPEは、 すべての女子が質の高い教育を受けられるよう、パートナー国のジェンダー平等実現に向けて、資金援助を行っています。その一環として、女子が学校に行き学ぶ機会を変革することを目指し、2020年12月に2億5,000万米ドルの「女子教育アクセラレータ」を創設しました。

「女子教育アクセラレータ」の適格国は、2021927日現在、30カ国存在します。GPEのパートナー国における活動は「パートナーシップ・コンパクト」で示されている重点分野に沿って行われます。このコンパクトでジェンダー平等を対象としている国が適格国となります。

また、「女子教育アクセラレータ」は独立したグラントではありません。システム変革グラント(System Transformation Grant。GPE2020におけるEducation Sector Program Implementation Grant(ESPIG)がGE2025より改訂されたもの)またはマルチプライヤー (Multiplier)に追加で組み込むことができます。 「女子教育アクセラレータ」は、ジェンダー平等への効果を補完したり拡大したりすることで、これらのグラントにおける活動内容と連携して効果を発揮します。

G7首脳が共同でGPEに少なくとも27.5億ドルの拠出を発表

英国のカービスベイで開催された3日間のサミット終了後、G7首脳は最優先事項に関するコミュニケを発表しました。その中で、教育は「変化し続ける世界で成功するための基盤」であると認識しました。

コミュニケでは、G7諸国が「最大の疑問に答え、最大の課題を克服するために、民主主義、自由、平等、法の支配、人権の尊重の力を活用する。G7は、個人を尊重し、平等、特にジェンダー平等を促進することを通してこれを実行する。これには、4000万人以上の女子が、学校教育を受けられるようという目標を支持し、教育のためのグローバル・パートナーシップに少なくとも27億5千万ドルを拠出することが含まれる。」と記述されている。