サイドイベント:持続可能な開発のための教育

より良い未来のために学びを変える:持続可能な社会のための教育」と題するサイドイベントが、日本が共同議長を務める教育フレンズグループとUNESCOの共催により、7月12日に開催されました 。 北村友人東京大学教授がモデレーターを務め、GPEからはチャールズ・ノースCEO代理と、 サラ・ビアドモア氏がパネル・スピーカーとしてスピーチを行いました。

このサイドイベントでは、持続可能な社会の実現に向けて、教育の変革力を活用する方法を明らかにし、持続可能な開発のための教育(ESD)の政策と実践がより良い未来の構築にいかに貢献できるかについて議論が行われました。

石兼大使は冒頭に挨拶で、不確実性の高い時代において、最善の方法は人への投資であり、教育は共通の課題に取り組み、SDGsを達成するために人々が正しい判断を下せるようにする最も強力なツールであることを強調しました。

チャールズ・ノースGPE CEO代理は石兼大使に対し、スピーカーとして招待されたことに感謝の意を示しました。さらにCOVID-19によって引き起こされた学習危機について触れ、気候変動リスクに対応するために教育の力を引き出すことの重要性、パートナーシップを強化し、 各国独自の取り組みを支援し、革新的な考え方や資源、資金を提供して、大規模な変革を進めていくことの必要性を述べました。

教育フレンズグループのTwitterより

公式会議:SDG4のレビュー(質の高い教育)

SDG4(質の高い教育をみんなに)のレビューに関する公式会議が7月6日に開催されました。議長を 経済社会理事会副議長(ボリビア)が務め、チャールズ・ノースCEO代理や石兼大使を含む教育大臣や国際機関からの17名代表が出席しました。

この会議では、 前回2019年のHLPFからのSDG4の進捗状況、COVID-19からの教訓、世界共通のSDG4の進捗を妨げる事項や懸念事項、他の目標やターゲットとSDG4とのシナジー、成功事例や政策、パートナーシップ、連携を推進させる方法の示唆などの観点からSDG4進捗の現状についてレビューが行われました。

石兼大使は教育フレンズグループの共同議長の代表として、9月の「教育変革サミット」の準備に積極的に取り組んでいることなどを述べ、不確実性の時代において、最善の方法は人への投資であり、教育は、共通の課題に取り組み、SDGsを達成するために、人々が正しい意思決定を行うことを支援する最も強力なツールであると強調しました。

チャールズ・ノースGPE CEO代理は先日パリで行われた「国連教育の変革プレサミット」では、80以上の低所得国の教育大臣達が、教育の変革のビジョンのために立ち上がったこと、政策リーダー達が9月の教育変革サミットを、このビジョンを実現するための大胆なコミットメントを行う場として活用すること、男女平等の実現を理論だけでなく行動に移すことの必要性を強調しました。

「SDG4のレビュー」に関する公式会議を動画で見る

教育フレンズグループのTwitterより

持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)における、GPEと日本のSDG4に向けたコミットメント

持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(High‒Level Political Forum on Sustainable Development: HLPF)が7/5-15にニューヨークで開催されました。これは2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」をレビューするためのグローバル・レベルでのフォローアップ・プロセスに位置付けられる会議です。

2022年のHLPFのテーマは「持続可能な開発のための2030アジェンダの完全な実施を進めながら、COVID-19から復興する」です。 また、持続可能な開発目標(SDGs)のうち、質の高い教育に関する4、に加えて、5、14、15、17 のレビューが行われました。

HLPFには、GPEからはチャールズ・ノースCEO代理が、日本からは国際連合日本政府代表部の石兼大使が出席しました。この2名が登壇したセッションについて本ニュースレターで紹介いたします。

開発教育分野の潮流「教育システムの変革」とその日本との関係性

アントニオ・グテーレス国連事務総長とジャカヤ・キクウェテGPE理事会議長(Credit UN Photo/Eskinder Debebe)

第4回国際教育の日には、日本政府によるGPEへの拠出の発表以外にも、教育に関連する様々な団体・機関が、平和と発展に教育が重要な役割を果たすことを記念して、多くの発表やイベントを開催しました。

国際教育の日には、 アントニオ・グテーレス国連事務総長が、 各国の教育システムの変革に向けた革新的なアプローチを確認するため、今年の9月に「Transforming Education(教育の変革)」をテーマとしたサミットを開催することを発表しました。 GPEのマンデートは、途上国政府の能力強化を目指し、教育制度を変革してより持続可能な教育サービスを提供できるように支援を行うことであり、本サミットにおいても中心的な役割を果たす予定です。また、6月にはパリで、本サミットに向けた外務大臣レベルの会合が行われる予定です。

日本では、2015年9月に「持続可能な開発のための2030アジェンダ」採択に係る国連サミットにあわせ、 開発教育分野における戦略である「平和と成長のための学びの戦略」を発表しました。それから約7年、近年のCOVID-19の流行による世界中の教育システムの混乱、イノベーションの進化、気候変動の危機など多くの変化がありました。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「従来の教育システムでは、すべての人にとってより環境に優しく、より良い、より安全な未来を創造するために必要な知識、スキル、価値を提供することが難しくなっている」と言っています。世界の教育開発の潮流は、「教育システムの変革」へと向かっています。日本の開発教育分野の戦略の見直しに向けて、GPEもぜひ共に考えていきたいと思っています。

「教育システムの変革」に向けて、GPEでは国際教育の日に様々な発信を行いました。以下に一部を紹介します。「ジャカヤ・キクウェテGPE理事会議長の国連ニュースの独占インタビュー」「国連のプレスブリーフィングでチャールズ・ノースCEO代理が記者会見

G7外務・開発大臣会合で合意された女子教育に関する目標とGPEの取り組み

5月3日から5日にかけてロンドンにおいて行われたG7外務・開発大臣会合では、2026年までに更に4,000万人の女子を学校に通わせ、2,000万人の女子に10歳または小学校修了までに読解力を身につけるという、女子教育に関する新たな目標にG7が共同で合意しました。

G7で合意さえれた女子教育に関する目標の実現に向けてた、GPEの取り組みを紹介いたします。

GPEは、 すべての女子が質の高い教育を受けられるよう、パートナー国のジェンダー平等実現に向けて、資金援助を行っています。その一環として、女子が学校に行き学ぶ機会を変革することを目指し、2020年12月に2億5,000万米ドルの「女子教育アクセラレータ」を創設しました。

「女子教育アクセラレータ」の適格国は、2021927日現在、30カ国存在します。GPEのパートナー国における活動は「パートナーシップ・コンパクト」で示されている重点分野に沿って行われます。このコンパクトでジェンダー平等を対象としている国が適格国となります。

また、「女子教育アクセラレータ」は独立したグラントではありません。システム変革グラント(System Transformation Grant。GPE2020におけるEducation Sector Program Implementation Grant(ESPIG)がGE2025より改訂されたもの)またはマルチプライヤー (Multiplier)に追加で組み込むことができます。 「女子教育アクセラレータ」は、ジェンダー平等への効果を補完したり拡大したりすることで、これらのグラントにおける活動内容と連携して効果を発揮します。

質の高い教育を支える教師

7月28日、29日に開催されるGlobal Education Summitまで2週間を切りました。このサミットでは、グローバルリーダーたちがGPEに対して野心的なプレッジを行います。

この節目を前に、私たちは質の高い教育を実現するために不可欠な存在である「教師」を皆さんと一緒に祝うことができることを非常に嬉しく思います。

教師は何者にも代替できません。教師は全ての教育システムを支える存在です。GPEはパートナー国と協力して、教師をエンパワーし、彼らが資格を持ち、意欲を持ち、十分なサポートを受けられるようにすることで、教育の質を向上させることに専心しています。

教育の質は、GPEの新戦略「GPE2025」の優先分野の一つです。今後5年間、私たちはすべてのパートナー国において、質の高い教師と指導への投資を行います。これは、学校が基盤の他のどの要因よりも、教師の有効性が児童生徒の学習を予測する上で最も重要であることを認識しているからです。

教師に関する課題とGPEの成果

課題

SDG4を達成するためには、各国は2030年までに7,000万人近くの教師を新たに採用しなければならない(ユネスコ統計局)。

多くの教師は、指導に必要な知識や指導技術がない。また、教師教育や教員研修が実施されていないか、効果がないことが多く、教室の現実に立ち向かうための準備ができていない。

資金面での制約から、臨時の教師を雇うことも少なくない。教師不足は特に農村部や遠隔地で深刻で、資格のある教師を獲得し、集めて、維持することがより困難である。


政策対話に教師の声が届いていない。地域のニーズや現実を最もよく理解しているにもかかわらず、教師やその組織が意思決定のプロセスから取り残されていることがしばしばある。

GPEの成果

16年度から20年度の間に、GPEの助成金により160万人近くの教員が研修を受けた。

2020年のGPEの実施助成金の89%が、教員支援を含んでいた。

2017年に、72%の初等教育の教師の72%、65%の前期中等教育の教師がパートナー国で教員養成カリキュラムや現職研修を受けた。

2019年にGPEは2億米ドル以上を教員研修(教員の育成と管理)に投資した。

2020年のGPEの実施助成金の95%は、教員支援を含んでおり、その総額は1億7200万米ドルに上る。

訓練を受けた教師1人あたりの生徒数が40人未満のパートナー国は、2015年の25%であったが、2020年には39%であった。

2002年以降、さらに6,700万人の子どもたちが質の高い教師にアクセスできるようになった。

GPEの資金で訓練を受けた教師は、2014年は9万8千人であったが、2019年は46万5千人以上であった。

GPEが全額出資を受けた場合、どのように教師を支援するのか

50億米ドル以上の資金で、GPEは以下のことを実現します。
1億4,000万人の児童生徒が、専門的な訓練を受けた教師による指導を受けられるようにする。
社会的に疎外されたコミュニティで働く教師を含む、220万人の教師を訓練する。
78,000の新しい教室を建設する。

さらなる情報はこちらから:GPE 2021-2025 Strategic Plan | GPE Case for Investment [EN] | GPE Quality Teaching.

世界中の変革者を鼓舞する教師たち

50億ドルの5つの理由」と題したインタビューシリーズの一環として、パートナーシップに参加している25人以上の変革者たちに、学校時代について尋ねました。多くの人にとって、教師は自分の成長に大きく貢献し、今日の彼らを形成する旅の中心的な存在でした。教師は、すべての子どもたちが学校に通い、学ぶための世界的な取り組みにおいて、縁の下の力持ちです。   GPEでは、教師が発言を届け、トレーニングを行い、モチベーションを維持するための支援を行なっています。質の高い教育を求める25人以上の活動家に、教師が人生を変えるほどのインパクトを与えた思い出の一部を以下にご紹介します。

教師はあなたの人生にどのような影響を与えましたか?

“先生方は、私がファゴットを演奏したり、言語を探求したり、リーダーシップを発揮したりすることを応援してくれました。私が旅行や異文化を学ぶのが好きなのは、人文学の先生の影響もあると思います。先生方は、生徒が最高の自分になれるように挑戦し、刺激を与えてくる存在です。”

スザンヌ・エーラーズ
マララ基金CEO

最初の先生は、今でも私にとって最も重要な指導者である女性とのペアを組んでくれました。

この二人の女性は、私に教育の価値を教えてくれ、新しい未来を再構築するための扉を開いてくれました。

モハメド・シディベイ
平和活動家、GPEユースチャンピオン

最初の先生は、今でも私にとって最も重要な指導者である女性とのペアを組んでくれました。

この二人の女性は、私に教育の価値を教えてくれ、新しい未来を再構築するための扉を開いてくれました。

モハメド・シディベイ
平和活動家、GPEユースチャンピオン

“私の人生に足跡を残してくれた先生がいます。私は数学の先生と良い関係を築いていました。このおかげで私は数字や方程式が好きになり、銀行部門に参加することができました。

教育のおかげで、私は教育分野で有名な慈善団体を率いることができ、誇りに思っています。”

タリク・アル・グルグ博士
ドバイ・ケアの最高経営責任者

“私にとって最も重要な教師の一人は、彼女のクラスを批判的思考と民主主義を行使するための空間に変えました。

人生の意味、政治参加、教育の重要性についての彼女の問いかけは、解放的な教育を求める私の日々の闘いを鼓舞してくれます.”

ローラ・ジャンネッキーニ
CLADEの機関開発コーディネーター

教育:政府ができる最高の投資

COVID-19の危機により、既に過密状態にある教育制度の混乱がさらに深刻化している。この混乱の深刻化、経済的なショック、そして国家財政圧力の増大が相まって、教育資金の調達に致命的な影響を与える可能性がある。しかし、教育は明らかにパンデミックの犠牲者である一方で、適切な資金が提供されれば、長期的な回復のための解決策にもなり得る。
2021年2月25日、投稿者:国際教育議連上院議員Dr Getrude Musuruve Inimahと国際教育議連上院議員Hon Harriett Baldwin MP

Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch
Students share a texbtook at Nyamachaki Primary School, Nyeri County, Kenya
GPE/Kelley Lynch